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JP5235437B2 - 二次電池用非水電解液及び非水電解液二次電池 - Google Patents

二次電池用非水電解液及び非水電解液二次電池 Download PDF

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Description

本発明は、二次電池用非水電解液及びこのような非水電解液を用いた非水電解液二次電池に係り、特に、非水電解液が電極と反応するのを抑制し、高温条件下においても電池容量が低下するのを抑制して、長期にわたって良好な電池特性が得られるようにした点に特徴を有するものである。
近年、高出力,高エネルギー密度の新型二次電池として、非水電解液を用い、リチウムイオンを正極と負極との間で移動させて充放電を行うようにした非水電解液二次電池が広く利用されている。
そして、このような非水電解液二次電池において、良好な充放電特性が得られるようにするため、従来においては、上記の非水電解液として、非水系溶媒に、エチレンカーボネート等の環状炭酸エステルと、ジエチルカーボネート,エチルメチルカーボネート,ジメチルカーボネート等の鎖状炭酸エステルとを混合させた混合溶媒を用い、この混合溶媒にLiPF6やLiBF4等のリチウム塩からなる電解質を溶解したものが使用されている。
しかし、上記のような非水電解液を用いた非水電解液二次電池の耐久性等を評価するために、このような非水電解液二次電池を充電状態で高温条件下に放置させる充電保存試験を行った場合、上記の非水電解液が正極や負極と副反応を起こし、電池容量が低下するという問題があった。
そこで、近年においては、各種のフッ素化鎖状カルボン酸エステルを、非水電解液の非水系溶媒として用いたり、非水電解液に添加させたりすることが提案されている。(例えば、特許文献1〜5参照。)
ここで、一般的に溶媒分子構造中にフッ素を導入すると、耐酸化性が向上することから、正極と非水電解液との反応を抑制することができる。しかし、フッ素を導入すると非水電解液の粘度の増加が起こり、また、耐還元性が低下することから負極との反応性が増大してしまう。特に、フッ素を導入する位置は、負極との反応性を大きく左右する。
しかし、これらの特許文献においては、どのような種類のフッ素化鎖状カルボン酸エステルを用いるかは様々であり、フッ素が置換される炭素の位置について、特許文献1,2においては、α炭素における水素がフッ素で置換されたものが示されているだけであり、また特許文献3,4においては、α炭素とそれ以外の炭素の何れであってもよいとされており、また特許文献5においては、α炭素における水素がフッ素で置換されたものが好ましいと記載されている。
そして、非水電解液の非水系溶媒として、α炭素における水素がフッ素で置換されたフッ素化鎖状カルボン酸エステルを用いた場合、例えば、トリフルオロ酢酸エチルCF3COOCH2CH3を用いた場合には、電解質として用いるLiPF6等のリチウム塩が適切に溶解されなくなるという問題があった。また、ジフルオロ酢酸エチルCHF2COOCH2CH3を用いた場合には、電解質として用いるLiPF6等のリチウム塩が溶解されるが、負極との反応性が高くなり、この非水電解液二次電池を充電状態で高温条件下に放置させると、電池容量や電池特性が大きく低下するという問題があった。このように、α炭素における水素がフッ素で置換されたフッ素化鎖状カルボン酸エステルでは、十分な電池特性が得られなかった。
さらに、非水系溶媒として、α炭素以外の炭素における水素がフッ素で置換されたフッ素化鎖状カルボン酸エステルを用いた場合においては、負極との反応性を低減させることができるが、依然として、この非水電解液二次電池を充電状態で高温条件下において放置させた場合に、電池容量や電池特性が低下するという問題があり、またこのようなフッ素化鎖状カルボン酸エステルを他の非水系溶媒と組み合わせて使用する場合においても、組み合わせる他の溶媒が適切でないと、この非水電解液二次電池における初期容量が低下し、また高温条件下に放置させた場合に、電池容量や電池特性が低下するという問題があった。
このように、非水系溶媒のフッ素化により、正極との反応を抑制することができても、負極との反応性が増大することから、良好な電池特性を得ることはできなかった。
特開平8−298134号公報 特開平11−86901号公報 特開平6−20719号公報 特開2003−282138号公報 特開2006−32300号公報
本発明は、非水電解液を用いた非水電解液二次電池における上記のような問題を解決することを課題とするものであり、非水電解液が電極と反応するのが抑制されて、高温条件下においても電池容量が低下するのが抑制され、長期にわたって良好な電池特性が得られるようにすることを課題とするものである。
本発明においては、上記のような課題を解決するため、非水系溶媒に電解質のリチウム塩が含有された二次電池用非水電解液において、上記の非水系溶媒に、下記の式(1)に示したフッ素化鎖状カルボン酸エステルと、金属リチウムとリチウムイオンとの平衡電位を基準として+1.0〜3.0Vの範囲で分解される被膜形成化合物とを含み、上記のフッ素化鎖状カルボン酸エステルが、非水系溶媒全体に対して20〜80体積%の範囲で含有されるようにした。
また、本発明においては、非水系溶媒に電解質のリチウム塩が含有され、上記の非水系溶媒に、下記の式(1)に示したフッ素化鎖状カルボン酸エステルと、金属リチウムとリチウムイオンとの平衡電位を基準として+1.0〜3.0Vの範囲で分解される被膜形成化合物とを含み、上記の被膜形成化合物が、4−フルオロエチレンカーボネート、エチレンサルファイト、ビニルエチレンカーボネート、LiB(C 2 4 2 、LiBF 2 (C 2 4 )から選択される少なくとも1種であるようにした。
R1−CH2−COO−R2 (1)
(式中、R1は水素又はアルキル基、R2はアルキル基を表し、R1とR2とにおける炭素数の和が3以内であり、R1が水素である場合には、R2における水素の少なくとも一部がフッ素で置換され、R1がアルキル基である場合には、R1及び/又はR2における水素の少なくとも一部がフッ素で置換されている。)
このように、フッ素化鎖状カルボン酸エステルとして、上記のようにR1とR2とにおける炭素数の和が3以内のものを用いると、非水電解液の粘度が上昇して負荷特性が低下するのが防止されることを見出したのである。また、R1が水素である場合に、R2における水素の少なくとも一部がフッ素で置換され、R1がアルキル基である場合に、R1及び/又はR2における水素の少なくとも一部がフッ素で置換されたものを用いるようにすると、α炭素における水素がフッ素で置換されたフッ素化鎖状カルボン酸エステルを用いた場合における前記のような問題が生じないようになることを見出したのである。
そして、このようなフッ素化鎖状カルボン酸エステルとしては、3,3,3−トリフルオロプロピオン酸メチルCF3CH2COOCH3と酢酸2,2,2−トリフルオロエチルCH3COOCH2CF3とから選択される少なくとも1種を用いることが好ましい。特に、正極の電位が金属リチウム基準で4.35V以上になるようにし、負極活物質に黒鉛系材料を用いた場合において、電池電圧が4.25V以上になるまで充電させる場合には、フッ素化鎖状カルボン酸エステルとして、3,3,3−トリフルオロプロピオン酸メチルCF3CH2COOCH3を用いることがより好ましい。
ここで、非水系溶媒中における上記のフッ素化鎖状カルボン酸エステルの量が少ないと、高温条件下における上記のような特性を十分に向上させることが困難になる一方、その量が多くなりすぎると、非水電解液中に含有させる上記の被膜形成化合物の量が減少して、負極に十分な被膜が形成されなくなるため、上記のフッ素化鎖状カルボン酸エステルの量を、非水系溶媒全体に対して5〜90体積%の範囲にすることが好ましく、特に、20〜80体積%の範囲にすることがより好ましい。
また、上記のように金属リチウムとリチウムイオンとの平衡電位を基準として、+1.0〜3.0Vの範囲で分解される被膜形成化合物を含有させると、上記のフッ素化鎖状カルボン酸エステルが負極と反応して分解するのが抑制され、或いはこのフッ素化鎖状カルボン酸エステルが負極の被膜形成に部分的に関与し、過大に分解するのが抑制される。
例えば、上記のフッ素化鎖状カルボン酸エステルであるCF3CH2COOCH3やCH3COOCH2CF3に対して1mol/lとなるようLiPF6を溶解させ、黒鉛負極を作用電極として用い、走査速度1mV/secの測定条件にてCV測定した場合、金属リチウムとリチウムイオンとの平衡電位に対して、CF3CH2COOCH3の場合には+1.2V程度、CH3COOCH2CF3の場合には+0.8V程度で還元分解される。このため、+1.0V以上で分解する被膜形成化合物を含有させることで、上記のフッ素化鎖状カルボン酸エステルが負極と反応して分解するのを抑制することができ、或いはこのフッ素化鎖状カルボン酸エステルが負極の被膜形成に部分的に関与し、過大に分解するのを抑制することができる。また、非水電解液を注液した時の黒鉛負極の電位は+3.0V程度であるため、+3.0V以下で分解する被膜形成化合物を含有させる必要がある。
そして、上記のような被膜形成化合物を含有させることにより、フッ素化鎖状カルボン酸エステルと負極との反応を抑制でき、またフッ素化鎖状カルボン酸エステルを溶媒に用いることで正極との反応を抑制でき、良好な電池特性を得ることができる。
そして、上記のような被膜形成化合物としては、例えば、4−フルオロエチレンカーボネート、エチレンサルファイト、ビニルエチレンカーボネート、LiB(C242、LiBF2(C24)から選択される少なくとも1種を用いることができ、特に、負極に適切な被膜を形成すると共に非水系溶媒として有効に機能する4−フルオロエチレンカーボネートを用いることが好ましい。ここで、金属リチウムとリチウムイオンとの平衡電位を基準として分解される電位は、4−フルオロエチレンカーボネートでは約1.2V、エチレンサルファイトでは約1.1V、ビニルエチレンカーボネートでは約1.3V、LiB(C242では約2.0V、LiBF2(C24)では約1.7Vである。また、4−フルオロエチレンカーボネートの誘導体、エチレンサルファイトの誘導体、ビニルエチレンカーボネートの誘導体としても、金属リチウムとリチウムイオンとの平衡電位を基準として分解される電位が+1.0〜3.0Vの範囲のものを用い、好ましくは+1.1〜2.0Vの範囲のものを用いるようにする。
そして、上記の被膜形成化合物として4−フルオロエチレンカーボネートを非水系溶媒に含有させる場合、4−フルオロエチレンカーボネートの量が少ないと、負極に十分な被膜が形成されず、フッ素化鎖状カルボン酸エステルが還元分解されて、非水電解液二次電池を充電状態で高温条件下において放置させた場合における保存特性が低下する。一方、4−フルオロエチレンカーボネートの量が多くなり過ぎると、非水電解液の粘度が上昇して負荷特性が低下する。このため、4−フルオロエチレンカーボネートの量を非水系溶媒全体に対して2〜40体積%の範囲にすることが好ましく、特に、5〜30体積%の範囲にすることがより好ましい。
また、被膜形成化合物として、エチレンサルファイト及びその誘導体、ビニルエチレンカーボネート及びその誘導体を用いる場合には、その含有量が電解質を含めた非水電解液の総量に対して0.1〜10重量%、特に0.2〜5重量%の範囲になるようにすることが好ましい。また、LiB(C242やLiBF2(C24)からなるLi塩を被膜形成化合物として用いる場合には、その含有量が非水系溶媒に対して0.01〜0.4mol/l、特に0.05〜0.2mol/lの範囲になるようにすることが好ましい。これは、これらの被膜形成化合物の量が、上記の範囲より少なくなると、負極に十分な被膜が形成されず、フッ素化鎖状カルボン酸エステルが還元分解されて、良好な高温充電保存特性が得られなくなる一方、上記の範囲より多くなると、これらの被膜形成化合物の分解が顕著に起こり、内部抵抗の増加やガス発生を引き起こすおそれがあるためである。
また、上記の二次電池用非水電解液においては、上記の非水系溶媒に、上記のフッ素化鎖状カルボン酸エステルと被膜形成化合物との他に、他の非水系溶媒を加えることも可能であり、このような非水系溶媒としては、例えば、ジメチルカーボネートCH3OCOOCH3、エチルメチルカーボネートCH3OCOOC25、ジエチルカーボネートC25OCOOC25、酢酸メチルCH3COOCH3、プロピオン酸メチルC25COOCH3、酢酸エチルCH3COOC25等を用いることが好ましく、特に、非水電解液の粘度を低減させて負荷特性を向上させるためには、酢酸メチル、プロピオン酸メチル、酢酸エチル、ジメチルカーボネートから選択される少なくとも1種の低粘度溶媒を加えることが好ましい。さらに、非水電解液の導電率を高めるために、高誘電率溶媒であるエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトン等を混合させることも可能である。
また、上記の二次電池用非水電解液において、上記の非水系溶媒に溶解させるリチウム塩からなる電解質としては、上記の被膜形成化合物として用いるLiB(C242やLiBF2(C24)に加えて、非水電解液二次電池において一般に使用されているリチウム塩を用いることができる。そして、上記のリチウム塩としては、例えば、LiPF6,LiBF4,LiCF3SO3,LiClO4,LiN(CF3SO22,LiN(C25SO22,LiN(CF3SO2)(C49SO2),LiC(CF3SO23,LiC(C25SO23等を用いることができ、特にLiPF6,LiBF4,LiN(CF3SO22を用いることが好ましい。
また、本発明における非水電解液二次電池においては、非水電解液として、上記のような二次電池用非水電解液を用いるようにした。
ここで、この非水電解液二次電池の正極に用いる正極活物質としては、リチウムを吸蔵、放出することができ、その電位が貴な材料であれば特に限定されず、一般に使用されている公知の正極活物質を用いることができ、例えば、層状構造や、スピネル型構造や、オリビン型構造を有するリチウム遷移金属複合酸化物を単独又は複数組み合わせて使用することができる。特に、高エネルギー密度の非水電解液二次電池を得るためには、層状構造を有するリチウム遷移金属複合酸化物を用いることが好ましく、具体的には、リチウム・コバルト複合酸化物、リチウム・コバルト・ニッケル・マンガン複合酸化物、リチウム・コバルト・ニッケル・アルミニウム複合酸化物からなるリチウム遷移金属複合酸化物を用いることが好ましい。特に、結晶構造の安定性の観点からは、Al或いはMgが結晶内部に固溶され、かつZrが粒子表面に固着したコバルト酸リチウムを用いることが好ましい。
また、この非水電解液二次電池の負極に用いる負極活物質としては、リチウムを吸蔵、放出することができる材料であれば特に限定されず、一般に使用されている公知の負極活物質を用いることができ、例えば、金属リチウム、リチウム−アルミニウム合金,リチウム−鉛合金,リチウム−シリコン合金,リチウム−スズ合金等のリチウム合金、黒鉛,コークス,有機物焼成体等の炭素材料、SnO2、SnO、TiO2等の電位が正極活物質に比べて卑な金属酸化物を用いることができ、特に、リチウムの吸蔵、放出に伴う体積変化が少なくて可逆性に優れる黒鉛系の炭素材料を用いることが好ましい。
本発明においては、非水系溶媒に電解質のリチウム塩が含有された二次電池用非水電解液に、上記の式(1)に示したフッ素化鎖状カルボン酸エステルと、金属リチウムとリチウムイオンとの平衡電位を基準として+1.0〜3.0Vの範囲で分解される被膜形成化合物とを含む非水系溶媒を用いるようにした。
この結果、このような非水電解液を用いた非水電解液二次電池においては、上記の被膜形成化合物により負極に適切な被膜が形成されて、上記のフッ素化鎖状カルボン酸エステルが分解するのが抑制され、高温条件下においても電池容量が低下するのが抑制されて、良好な電池特性が得られるようになった。
次に、本発明に係る二次電池用非水電解液を用いた非水電解液二次電池について実施例を挙げて具体的に説明すると共に、本発明の非水電解液二次電池は、高容量化させた場合においても高温での保存特性が向上することを、比較例を挙げて明らかにする。
(実施例1)
実施例1においては、下記のようにして作製した正極と負極と非水電解液とを用い、図1に示すような円筒型で、充電終止電圧が4.2V、設計容量が2300mAhの非水電解液二次電池を作製した。
[正極の作製]
正極を作製するにあたっては、正極活物質として、コバルト酸リチウムLiCoO2にAlとMgとがそれぞれ1.0mol%固溶されると共にその固溶体の粒子表面にZrが0.05mol%付与されたものを用いた。
そして、この正極活物質と、導電剤の炭素と、結着剤のポリフッ化ビニリデンとが95:2.5:2.5の重量比になるようにして、これらをN−メチル−2−ピロリドン溶液中で混練して正極合剤スラリーを作製した。次いで、この正極合剤スラリーをアルミニウム箔からなる正極集電体の両面に塗布し、これを乾燥させた後、圧延させて正極を作製した。
[負極の作製]
負極を作製するにあたっては、負極活物質の黒鉛と、結着剤のスチレン・ブタジエンゴムと、増粘剤のカルボキシメチルセルロースとを97.5:1.5:1の重量比になるようにして、これらを水溶液中において混練して負極合剤スラリーを作製した。そして、この負極合剤スラリーを銅箔からなる負極集電体の両面に塗布させ、これを乾燥させた後、圧延させて負極を作製した。
[非水電解液の作製]
非水電解液を作製するにあたっては、非水系溶媒として、金属リチウムとリチウムイオンとの平衡電位を基準とした分解電位が1.0〜3.0Vの範囲にある被膜形成化合物の4−フルオロエチレンカーボネート(4−FEC)と、上記の式(1)に示したフッ素化鎖状カルボン酸エステルであるCF3CH2COOCH3とを2:8の体積比で混合させた混合溶媒を用いた。そして、この混合溶媒に電解質としてヘキサフルオロリン酸リチウムLiPF6を1mol/lの割合で溶解させて、非水電解液を作製した。
ここで、フッ素化鎖状カルボン酸エステルとして用いた上記のCF3CH2COOCH3(3,3,3−トリフルオロプロピオン酸メチル)の合成方法を下記に示す。
1リットルのナス型フラスコに、ジイソプロピルアミン35g(350mmol)とテトラヒドロフラン300mlとを仕込み、氷冷、攪拌しながら、1.6Mノルマルブチルリチウム/ヘキサン219ml(350mmol)を徐々に滴下し、更に室温で30分間攪拌してリチウムジイソプロピルアミドを調製した。次いで、このリチウムジイソプロピルアミド溶液を−80℃に冷却し、メチルアセテート26g(350mmol)を徐々に滴下して、15分間熟成した後に、クロロトリメチルシラン38g(350mmol)を加えてクエンチし、室温で一晩攪拌した。そして、生成した固体を濾別した後、溶媒を留去して得た黄色のオイルをノルマルヘキサン200mlに溶解し、−78℃に冷却し、攪拌しながらヨードトリフルオロメタン70g(360mmol)を加えた。そして、1Mトリエチルボラン/ヘキサン10ml(10mmol)を加え、約2時間で室温まで昇温した。次いで、水200mlを加えてクエンチした後、分液ロートにより有機層を分離し、硝酸マグネシウムで乾燥させた。その後、蒸留により精製を行い、3,3,3−トリフルオロプロピオン酸メチルを10g(収率20%)得た。
そして、この実施例の非水電解液二次電池を作製するにあたっては、図1に示すように、上記のようにして作製した正極1と負極2との間に、セパレータ3としてリチウムイオン透過性のポリエチレン製の微多孔膜を介在させ、これらをスパイラル状に巻いて電池缶4内に収容させた後、この電池缶4内に上記の非水電解液を注液して封口し、上記の正極1を正極タブ5により、正極蓋6に取り付けられた正極外部端子9に接続させると共に、上記の負極2を負極タブ7により電池缶4に接続させ、電池缶4と正極蓋6とを絶縁パッキン8により電気的に分離させた。
(実施例2)
実施例2においては、上記の実施例1における非水電解液の作製において、非水系溶媒として、実施例1と同じ被膜形成化合物の4−フルオロエチレンカーボネート(4−FEC)と、上記の式(1)に示したフッ素化鎖状カルボン酸エステルであるCH3COOCH2CF3とを2:8の体積比で混合させた混合溶媒を用い、それ以外は、上記の実施例1の場合と同様にして非水電解液二次電池を作製した。
ここで、フッ素化鎖状カルボン酸エステルとして用いた上記のCH3COOCH2CF3(酢酸2,2,2−トリフルオロエチル)の合成方法を下記に示す。
1リットルのセパラブルフラスコに、トリフルオロエタノール85g(0.85mol)とジエチルエーテル80mlとを仕込み、さらにトリエチルアミン129g(1.27mol/1.5eq)を加えた。そして、これを氷冷、攪拌しながら、アセチルクロリド100g(1.27mol/1.5eq)をジエチルエーテル80mlで希釈した液を、滴下ロートにて滴下した。反応液の温度が27〜35℃になるように滴下し、20分間で終了した。その後、室温で1.5時間攪拌した後、水350mlを加えて反応を終了した。次いで、分液ロートにより有機層を分離し、硝酸マグネシウムで乾燥させた後、蒸留により精製を行い、酢酸2,2,2−トリフルオロエチルを88g(収率73%)得た。
(実施例3)
実施例3においては、上記の実施例1における非水電解液の作製において、非水系溶媒として、実施例1と同じ被膜形成化合物の4−フルオロエチレンカーボネート(4−FEC)と、上記の式(1)に示したフッ素化鎖状カルボン酸エステルであるCF3CH2COOCH3とを1:9の体積比で混合させた混合溶媒を用い、それ以外は、上記の実施例1の場合と同様にして非水電解液二次電池を作製した。
(実施例4)
実施例4においては、上記の実施例1における非水電解液の作製において、非水系溶媒として、実施例1と同じ被膜形成化合物の4−フルオロエチレンカーボネート(4−FEC)と、上記の式(1)に示したフッ素化鎖状カルボン酸エステルであるCF3CH2COOCH3とを3:7の体積比で混合させた混合溶媒を用い、それ以外は、上記の実施例1の場合と同様にして非水電解液二次電池を作製した。
(実施例5)
実施例5においては、上記の実施例1における非水電解液の作製において、非水系溶媒として、実施例1と同じ被膜形成化合物の4−フルオロエチレンカーボネート(4−FEC)と、上記の式(1)に示したフッ素化鎖状カルボン酸エステルであるCF3CH2COOCH3と、ジメチルカーボネート(DMC)を2:4:4の体積比で混合させた混合溶媒を用い、それ以外は、上記の実施例1の場合と同様にして非水電解液二次電池を作製した。
(実施例6)
実施例6においては、上記の実施例1における非水電解液の作製において、非水系溶媒として、実施例1と同じ被膜形成化合物の4−フルオロエチレンカーボネート(4−FEC)と、上記の式(1)に示したフッ素化鎖状カルボン酸エステルであるCF3CH2COOCH3と、フッ素化されていない鎖状カルボン酸エステルであるプロピオン酸メチルCH3CH2COOCH3を2:4:4の体積比で混合させた混合溶媒を用い、それ以外は、上記の実施例1の場合と同様にして非水電解液二次電池を作製した。
(比較例1)
比較例1においては、非水系溶媒として、エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)とを3:7の体積比で混合させた混合溶媒を用い、この混合溶媒に電解質としてヘキサフルオロリン酸リチウムLiPF6を1mol/lの割合で溶解させ、これに対してビニレンカーボネート(VC)を2重量%の割合で添加した非水電解液を用いた。そして、それ以外は、上記の実施例1の場合と同様にして非水電解液二次電池を作製した。
(比較例2)
比較例2においては、上記の実施例1における非水電解液の作製において、非水系溶媒として、実施例1と同じ被膜形成化合物の4−フルオロエチレンカーボネート(4−FEC)と、フッ素化されていない鎖状カルボン酸エステルであるプロピオン酸メチルCH3CH2COOCH3とを2:8の体積比で混合させた混合溶媒を用い、それ以外は、上記の実施例1の場合と同様にして非水電解液二次電池を作製した。
(比較例3)
比較例3においては、上記の実施例1における非水電解液の作製において、非水系溶媒として、実施例1と同じ被膜形成化合物の4−フルオロエチレンカーボネート(4−FEC)と、フッ素化を行っていない鎖状カルボン酸エステルであるCH3COOCH2CH3とを2:8の体積比で混合させた混合溶媒を用い、それ以外は、上記の実施例1の場合と同様にして非水電解液二次電池を作製した。
(比較例4)
比較例4においては、上記の実施例1における非水電解液の作製において、非水系溶媒として、実施例1と同じ被膜形成化合物の4−フルオロエチレンカーボネート(4−FEC)と、α炭素における水素がフッ素で置換されたフッ素化鎖状カルボン酸エステルであるCHF2COOCH2CH3とを2:8の体積比で混合させた混合溶媒を用い、それ以外は、上記の実施例1の場合と同様にして非水電解液二次電池を作製した。
(比較例5)
比較例5においては、上記の実施例1における非水電解液の作製において、非水系溶媒として、実施例1と同じ被膜形成化合物の4−フルオロエチレンカーボネート(4−FEC)と、α炭素における水素がフッ素で置換されたフッ素化鎖状カルボン酸エステルであるCHF2COOCH3とを2:8の体積比で混合させた混合溶媒を用い、それ以外は、上記の実施例1の場合と同様にして非水電解液二次電池を作製した。
(比較例6)
比較例6においては、上記の実施例1における非水電解液の作製において、非水系溶媒として、金属リチウムとリチウムイオンとの平衡電位を基準とした分解電位が1.0〜3.0Vの範囲外の0.6Vであるエチレンカーボネートと、上記の式(1)に示したフッ素化鎖状カルボン酸エステルであるCF3CH2COOCH3とを2:8の体積比で混合させた混合溶媒を用い、それ以外は、上記の実施例1の場合と同様にして非水電解液二次電池を作製した。
(比較例7)
比較例7においては、上記の実施例1における非水電解液の作製において、非水系溶媒として、金属リチウムとリチウムイオンとの平衡電位を基準とした分解電位が1.0〜3.0Vの範囲外の0.6Vであるエチレンカーボネートと、上記の式(1)に示したフッ素化鎖状カルボン酸エステルであるCH3COOCH2CF3とを2:8の体積比で混合させた混合溶媒を用い、それ以外は、上記の実施例1の場合と同様にして非水電解液二次電池を作製した。
そして、上記のように作製した実施例1〜6及び比較例1〜7の各非水電解液二次電池を、それぞれ25℃において、460mAの定電流で4.2Vになるまで充電し、さらに4.2Vの定電圧で電流値が46mAになるまで定電圧充電させた後、460mAの定電流で2.75Vになるまで放電させて、各非水電解液二次電池の初期放電容量を測定した。そして、比較例1の非水電解液二次電池における初期放電容量を100として、各非水電解液二次電池の初期放電容量を算出し、その結果を下記の表1に示した。なお、表1においては、4−フルオロエチレンカーボネートを4−FEC、ジメチルカーボネートDMC、エチレンカーボネートをEC、エチルメチルカーボネートをEMC、ビニレンカーボネートをVCとして示した。
Figure 0005235437
この結果、非水系溶媒として、上記の式(1)に示したフッ素化鎖状カルボン酸エステルであるCF3CH2COOCH3やCH3COOCH2CF3と、金属リチウムとリチウムイオンとの平衡電位を基準として分解される電位が+1.0〜3.0Vの範囲から外れたエチレンカーボネートとの混合溶媒を用いた比較例6,7の各非水電解液二次電池は、実施例1〜6及び比較例1〜5の各非水電解液二次電池に比べて、初期放電容量が大きく低下していた。
次に、上記の実施例1〜6及び比較例1〜7の各非水電解液二次電池について、それぞれ25℃において、460mAの定電流で4.2Vになるまで充電し、さらに4.2Vの定電圧で電流値が46mAになるまで定電圧充電させた後、460mAの定電流で2.75Vになるまで放電させて保存前の放電容量D1を測定した。
次いで、上記の各非水電解液二次電池を、それぞれ25℃において、2300mAの定電流で4.2Vになるまで充電し、さらに4.2Vの定電圧で電流値が46mAになるまで定電圧充電させ、この状態で各非水電解液二次電池を恒温槽内において60℃で10日間保存した後、保存後の各非水電解液二次電池について、それぞれ25℃において、460mAの定電流で2.75Vになるまで放電させて保存後の残存容量D2を求めた。
その後、上記の各非水電解液二次電池を、それぞれ25℃において、460mAの定電流で4.2Vになるまで充電し、さらに4.2Vの定電圧で電流値が46mAになるまで定電圧充電させた後、460mAの定電流で2.75Vになるまで放電させて保存後の復帰容量D3を測定した。
そして、上記のように測定した保存前の放電容量D1、保存後の残存容量D2及び保存後の復帰容量D3に基づき、下記の式により実施例1〜6及び比較例1〜7の各非水電解液二次電池の保存後における容量残存率(%)及び容量復帰率(%)を求め、その結果を下記の表2に示した。
容量残存率(%)=(D2/D1)×100
容量復帰率(%)=(D3/D1)×100
Figure 0005235437
この結果、非水系溶媒として、金属リチウムとリチウムイオンとの平衡電位を基準とした分解電位が+1.0〜3.0Vの範囲にある被膜形成化合物の4−フルオロエチレンカーボネートと、上記の式(1)に示したフッ素化鎖状カルボン酸エステルとの混合溶媒を用いた実施例1〜6の各非水電解液二次電池は、フッ素化を行っていない鎖状カルボン酸エステルを用いた比較例2,3の非水電解液二次電池や、金属リチウムとリチウムイオンとの平衡電位を基準として分解される電位が+1.0〜3.0Vの範囲から外れたエチレンカーボネートを用いた比較例6,7の非水電解液二次電池や、従来より一般に用いられているエチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとの混合溶媒にビニレンカーボネートを添加させたものを用いた比較例1の非水電解液二次電池に比べて、保存後の容量残存率が明らかに向上していると共に、保存後の容量復帰率も向上していた。
また、α炭素における水素がフッ素で置換されたフッ素化鎖状カルボン酸エステルであるCHF2COOCH2CH3やCHF2COOCH3を用いた比較例4,5の非水電解液二次電池においては、保存後の容量残存率及び容量復帰率が大きく低下していた。これは、α炭素に電子吸引性の高いフッ素が結合することで、隣接するカルボニル炭素の電子密度が低下して、非水電解液が負極と反応したためであると考えられる。
(実施例7)
実施例7においては、上記の実施例1における非水電解液の作製において、非水系溶媒として、実施例1と同じ被膜形成化合物の4−フルオロエチレンカーボネート(4−FEC)と、プロピレンカーボネート(PC)と、上記の式(1)に示したフッ素化鎖状カルボン酸エステルであるCF3CH2COOCH3とを20:5:75の体積比で混合させた混合溶媒を用い、この混合溶媒に電解質としてヘキサフルオロリン酸リチウムLiPF6を1.1mol/lの割合で溶解させ、それ以外は、上記の実施例1の場合と同様にして、図1に示すような円筒型で、充電終止電圧が4.3V、設計容量が2700mAhの非水電解液二次電池を作製した。
(実施例8)
実施例8においては、上記の実施例1における非水電解液の作製において、非水系溶媒として、実施例1と同じ被膜形成化合物の4−フルオロエチレンカーボネート(4−FEC)と、プロピレンカーボネート(PC)と、上記の式(1)に示したフッ素化鎖状カルボン酸エステルであるCH3COOCH2CF3とを20:5:75の体積比で混合させた混合溶媒を用い、この混合溶媒に電解質としてヘキサフルオロリン酸リチウムLiPF6を1.1mol/lの割合で溶解させ、それ以外は、上記の実施例1の場合と同様にして、実施例7の場合と同様の円筒型で、充電終止電圧が4.3V、設計容量が2700mAhの非水電解液二次電池を作製した。
(比較例8)
比較例8においては、上記の実施例1における非水電解液の作製において、非水系溶媒として、実施例1と同じ被膜形成化合物の4−フルオロエチレンカーボネート(4−FEC)と、プロピレンカーボネート(PC)と、エチルメチルカーボネート(EMC)とを20:5:75の体積比で混合させた混合溶媒を用い、この混合溶媒に電解質としてヘキサフルオロリン酸リチウムLiPF6を1.1mol/lの割合で溶解させ、それ以外は、上記の実施例1の場合と同様にして、実施例7,8の場合と同様の円筒型で、充電終止電圧が4.3V、設計容量が2700mAhの非水電解液二次電池を作製した。
そして、上記のように作製した実施例7,8及び比較例8の各非水電解液二次電池を、それぞれ25℃において、1000mAの定電流で4.3Vになるまで充電し、さらに4.3Vの定電圧で電流値が54mAになるまで定電圧充電させた後、540mAの定電流で3.0Vになるまで放電させて、各非水電解液二次電池の初期放電容量を測定した。そして、比較例8の非水電解液二次電池における初期放電容量を100として、各非水電解液二次電池の初期放電容量を算出し、その結果を下記の表3に示した。
Figure 0005235437
この結果、実施例7,8及び比較例8の各非水電解液二次電池においては、略同じ初期放電容量が得られた。
次に、上記の実施例7,8及び比較例8の各非水電解液二次電池について、それぞれ25℃において、1000mAの定電流で4.3Vになるまで充電し、さらに4.3Vの定電圧で電流値が54mAになるまで定電圧充電させた後、2700mAの定電流で3.0Vになるまで放電させて保存前の放電容量D1を測定した。
次いで、上記の各非水電解液二次電池を、それぞれ25℃において、1000mAの定電流で4.3Vになるまで充電し、さらに4.3Vの定電圧で電流値が54mAになるまで定電圧充電させ、この状態で各非水電解液二次電池を恒温槽内において60℃で20日間保存した。
そして、保存前と保存後とにおける各非水電解液二次電池の電池電圧を測定し、電圧変化の結果を下記の表4に示した。
また、保存後の各非水電解液二次電池について、それぞれ25℃において、2700mAの定電流で3.0Vになるまで放電させて保存後の残存容量D2を求めた。
その後、上記の各非水電解液二次電池を、それぞれ25℃において、1000mAの定電流で4.3Vになるまで充電し、さらに4.3Vの定電圧で電流値が54mAになるまで定電圧充電させた後、2700mAの定電流で3.0Vになるまで放電させて保存後の復帰容量D3を測定した。
そして、上記のように測定した保存前の放電容量D1、保存後の残存容量D2及び保存後の復帰容量D3に基づき、実施例1〜6及び比較例1〜7の各非水電解液二次電池の場合と同じ前記の式により、保存後における容量残存率(%)及び容量復帰率(%)を求め、その結果を下記の表4に示した。
Figure 0005235437
この結果、非水系溶媒として、金属リチウムとリチウムイオンとの平衡電位を基準とした分解電位が+1.0〜3.0Vの範囲にある被膜形成化合物の4−フルオロエチレンカーボネートと、上記の式(1)に示したフッ素化鎖状カルボン酸エステルとを含む混合溶媒を用いた実施例7,8の各非水電解液二次電池は、上記の式(1)に示したフッ素化鎖状カルボン酸エステルに代えてエチルメチルカーボネート(EMC)を用いた比較例8の非水電解液二次電池に比べ、保存後の電池電圧及び容量残存率が向上していた。
特に、上記の式(1)に示したフッ素化鎖状カルボン酸エステルとして、3,3,3−トリフルオロプロピオン酸メチルCF3CH2COOCH3を用いた実施例7の非水電解液二次電池においては、保存後の容量残存率及び容量復帰率がさらに向上していた。
本発明の実施例1〜8及び比較例1〜8において作製した非水電解液二次電池の概略断面図である。
符号の説明
1 正極
2 負極
3 セパレータ
4 電池缶
5 正極タブ
6 正極蓋
7 負極タブ
8 絶縁パッキン
9 正極外部端子

Claims (12)

  1. 非水系溶媒に電解質のリチウム塩が含有され、上記の非水系溶媒に、下記の式(1)に示したフッ素化鎖状カルボン酸エステルと、金属リチウムとリチウムイオンとの平衡電位を基準として+1.0〜3.0Vの範囲で分解される被膜形成化合物とを含み、上記のフッ素化鎖状カルボン酸エステルが、非水系溶媒全体に対して20〜80体積%の範囲で含有されている二次電池用非水電解液。
    R1−CH2−COO−R2 (1)
    (式中、R1は水素又はアルキル基、R2はアルキル基を表し、R1とR2とにおける炭素数の和が3以内であり、R1が水素である場合には、R2における水素の少なくとも一部がフッ素で置換され、R1がアルキル基である場合には、R1及び/又はR2における水素の少なくとも一部がフッ素で置換されている。)
  2. 請求項1に記載の二次電池用非水電解液において、上記のフッ素化鎖状カルボン酸エステルが、3,3,3−トリフルオロプロピオン酸メチルCF3CH2COOCH3と酢酸2,2,2−トリフルオロエチルCH3COOCH2CF3とから選択される少なくとも1種である二次電池用非水電解液。
  3. 請求項2に記載の二次電池用非水電解液において、上記のフッ素化鎖状カルボン酸エステルが、3,3,3−トリフルオロプロピオン酸メチルCF3CH2COOCH3である二次電池用非水電解液。
  4. 請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の二次電池用非水電解液において、上記の被膜形成化合物が、4−フルオロエチレンカーボネート、エチレンサルファイト、ビニルエチレンカーボネート、LiB(C 2 4 2 、LiBF 2 (C 2 4 )から選択される少なくとも1種である二次電池用非水電解液。
  5. 非水系溶媒に電解質のリチウム塩が含有され、上記の非水系溶媒に、下記の式(1)に示したフッ素化鎖状カルボン酸エステルと、金属リチウムとリチウムイオンとの平衡電位を基準として+1.0〜3.0Vの範囲で分解される被膜形成化合物とを含み、上記の被膜形成化合物が、4−フルオロエチレンカーボネート、エチレンサルファイト、ビニルエチレンカーボネート、LiB(C242、LiBF2(C24)から選択される少なくとも1種である二次電池用非水電解液。
    R1−CH 2 −COO−R2 (1)
    (式中、R1は水素又はアルキル基、R2はアルキル基を表し、R1とR2とにおける炭素数の和が3以内であり、R1が水素である場合には、R2における水素の少なくとも一部がフッ素で置換され、R1がアルキル基である場合には、R1及び/又はR2における水素の少なくとも一部がフッ素で置換されている。)
  6. 請求項5に記載の二次電池用非水電解液において、上記のフッ素化鎖状カルボン酸エステルが、3,3,3−トリフルオロプロピオン酸メチルCF 3 CH 2 COOCH 3 と酢酸2,2,2−トリフルオロエチルCH 3 COOCH 2 CF 3 とから選択される少なくとも1種である二次電池用非水電解液。
  7. 請求項6に記載の二次電池用非水電解液において、上記のフッ素化鎖状カルボン酸エステルが、3,3,3−トリフルオロプロピオン酸メチルCF 3 CH 2 COOCH 3 である二次電池用非水電解液。
  8. 請求項1〜請求項7の何れか1項に記載の二次電池用非水電解液において、上記の被膜形成化合物が、4−フルオロエチレンカーボネートである二次電池用非水電解液。
  9. 請求項8に記載の二次電池用非水電解液において、上記の4−フルオロエチレンカーボネートが、非水系溶媒全体に対して5〜30体積%の範囲で含有されている二次電池用非水電解液。
  10. 請求項1〜請求項9の何れか1項に記載の二次電池用非水電解液において、上記の非水系溶媒に、CH 3 COOCH 3 、C 2 5 COOCH 3 、CH 3 COOC 2 5 、CH 3 OCOOCH 3 から選択される少なくとも1種の低粘度溶媒が含まれている二次電池用非水電解液。
  11. 正極と負極とセパレータと非水電解液とを備え、その非水電解液に請求項1〜請求項10の何れか1項に記載の二次電池用非水電解液を用いた非水電解液二次電池。
  12. 請求項11に記載の非水電解液二次電池において、上記の正極の電位が金属リチウム基準で4.35V以上まで充電される非水電解液二次電池。
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