以下、添付図面を適宜参照しながら、本開示に係る通信装置、ワイヤレスマイクシステム及び通信方法を具体的に開示した各実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することは意図されていない。
各実施の形態に係るワイヤレスマイクシステムは、複数のマイク子機と、複数のマイク子機のそれぞれにより収音された音声信号を受信する親機と、を含む構成である。また、各実施の形態に係るワイヤレスマイクシステムでは、親機は、複数のマイク子機のそれぞれとの間で、例えば時分割多元接続(TDMA:Time Division Multiple Access)方式を用いて、収音された音声信号を多重化して無線通信を行う。
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1におけるワイヤレスマイクシステム5のシステム構成例を概略的に示す図である。ワイヤレスマイクシステム5は、複数(例えば、m個)のマイク子機2と、受信機の一例としての親機3と、ミキサー受信機8と、を含む構成である。mは2以上の整数である。以下の説明において、複数のマイク子機2C1,2C2,…,2Cmのそれぞれを特に区別しない場合、マイク子機2という。
マイク子機2と親機3との間では、無線信号(例えば、音声信号もしくは制御信号)が、時分割多元接続方式の通信規格(例えば、時分割多重通信方式)に則った無線回線を通じて送受信される。マイク子機2の使用者(ユーザ)はマイク子機2に音声を入力する(例えば声を発する)と、マイク子機2により収音された音声信号は、無線回線を通じて親機3に送信される。各実施の形態において、時分割多重通信方式の通信規格として、例えば2011年に策定されたディジタルコードレス電話機の標準規格である周波数帯1.9GHzのDECT(Digital Enhanced Cordless Telecommunications)方式を用いる。
親機3は、各マイク子機2からの音声信号を受信可能な複数(例えば、k個)の無線処理部WU1,WU2,…,WUkを有する。kは2以上の整数である。複数の無線処理部WU1〜WUkを特に区別しない場合、無線処理部WUという。無線処理部WUの詳細については後述する。親機3は、無線処理部WUにより受信された音声信号に基づいて、音声をスピーカ29(図5参照)で出力して再生し、また更に、ミキサー受信機8にも出力する。ミキサー受信機8は、親機3から入力された1つ以上の音声信号を合成し、音声合成後の音声信号を内蔵スピーカ81から出力する。
図2は、DECT方式の通信で使用されるキャリアの周波数帯域を説明する図である。DECT方式の通信は、1.9GHz帯(具体的には、1895,616MHz〜1902.528MHz)において5つの周波数帯域が使用される。5つの周波数帯域は、具体的には、f1(1895.616MHz)を中心周波数とするキャリア(つまり、搬送波。以下同様。)と、f2(1897.344MHz)を中心周波数とするキャリアと、f3(1899.072MHz)を中心周波数とするキャリアと、f4(1900.800MHz)を中心周波数とするキャリアと、f5(1902.528MHz)を中心周波数とするキャリアと、f6(1904.256MHz)を中心周波数とするキャリアである。
これらの周波数帯域は、重ならないので、電波干渉が起こりにくく、通信障害を低減できる。また、1.9GHz帯を用いるDECT通信は、例えば無線LAN(Local Area Network)や電子レンジ等の機器が発する電波とも干渉しないので、ワイヤレスマイクシステムの音声品質を維持できる。また、親機3は、DECT通信の1フレーム期間毎に、各周波数帯域のチャネルの使用状況(例えば、キャリアやスロットなどのリソースの空き具合)を常時モニタリングしており、最適な周波数帯域のチャネルを選択することで、1.9GHz帯を効率良く利用できる。
図3は、親機3とマイク子機2との間で無線信号が送受信されるタイムスロットを示す図である。以下、タイムスロットを「スロット」と略記する。図4は、DECT通信における信号のフレーム構成を示す図である。親機3とそれぞれのマイク子機2との間では、1フレーム期間毎に、通信規格に従って定まる既定数(例えば、n個)のスロットを用いて無線信号が送受信される。通信規格がDECT方式である場合、1フレーム期間が10msに対応し、例えばn=24スロット(つまり、ダウンリンク用に12スロット、アップリンク用に12スロット)で構成される。
DECT方式を用いた無線通信(以下、「DECT通信」という)では、一般的に、ダウンリンク用のスロットS0〜スロットS11は、親機3からマイク子機2への通信に使用される。アップリンク用のスロットS12〜スロットS23は、マイク子機2から親機3への通信に使用される。親機3とマイク子機2との間の通信では、スロットS0とスロットS12、スロットS1とスロットS13などのように、1/2周期に対応する5ms離れた位置関係にあるスロットを組み合わせて(ペアスロットで)使用される。このペアスロットは、1つのチャネル(例えば、制御情報を送受信するための制御チャネル、音声信号を送受信するための通信チャネル)を構成する。
また、親機3からマイク子機2へ送信が行われる12スロット中、少なくとも1つのスロット(例えばスロットS0)は、親機3からマイク子機2への制御情報が含まれた制御信号を送るための制御スロットとされる。制御信号は、1フレーム期間を構成する既定数のスロットのうち1つのスロットを用いて、親機3からそれぞれのマイク子機2に送信される。なお、親機3からマイク子機2への制御信号の送信中に電波干渉が発生した場合、空きスロット(言い換えると、未使用のスロット)を制御スロットとして使用してもよい。例えば、スロットS0で電波干渉等が発生した場合、親機3は、制御スロットをスロットS0から他の空いているスロット(例えば、後述する切替用のスロット)に切り替えて使用してもよい。これと連動して、制御スロットに対する応答スロット(つまり、制御スロットに対する応答に用いられ、マイク子機2から親機3への送信に使用されるスロット)は、スロットS12から他の空いているスロット(例えば、同様に後述する切替用のスロット)に変更される。このように、親機3は、DECT通信の1フレーム期間毎に、制御チャネルや通信チャネルとして使用するスロットを、親機3とマイク子機2のそれぞれとの間の電波状況等に応じて動的に決定する。例えば、コードレスフォン等の機器では、前半のスロットS0〜S11では親機が送信側で子機が受信側であり、後半のスロットS12〜S23では親機が受信側で子機が送信側である。
一方、ワイヤレスマイクシステム5では、親機3は、複数のマイク子機2のそれぞれから送信される音声信号を受信する。また、親機3は、各マイク子機2に対して1フレーム期間中に1回、制御信号を送信すればよい。従って、本実施の形態では、前半のスロットS0〜S11を、マイク子機2が送信側となるアップリンク用のスロット(通信スロット)として使用できるように、親機3は、スロットS0〜S11を動的に決める。
例えば、親機3は、1フレーム期間内のスロットS0を制御信号を送るための制御チャネルとして決め、この制御チャネルを通じて制御信号をマイク子機2に送信する。制御信号に含まれる制御情報には、例えばシステム情報、スロット情報、キャリア情報である。具体的には、制御情報は、例えば、キャリアかつスロットを用いた通信相手であるマイク子機2の識別情報とそのキャリアやスロットの識別情報、各スロットのビジー状態、使用可能な空きスロットの指定、接続されているマイク子機の数、親機の無線エラー状況、無線干渉によるスロット切り換え等の情報が含まれる。
DECT通信の1フレームを構成するそれぞれのスロットは、416.67μs(=10ms/24)の時間幅で規定され、具体的には、同期信号フィールドと制御ビットフィールドとCRC1フィールドとデータビットフィールドとCRC2フィールドとから構成される。同期信号フィールドは、ビット同期を取るためのデータ列とスロットの同期を取るためのデータ列とから構成される固定データを含む。制御ビットフィールドは、上述した制御信号を含む。制御信号に含まれる制御情報の量が多くなる場合、例えば制御ビットフィールドだけではなく、データビットフィールドの領域の一部を使用してもよい。CRC1フィールドは、制御ビットフィールドのデータ列に基づいて算出されたCRC(Cyclic Redundancy Check:巡回冗長検査)符号を含み、制御ビットフィールドの伝送誤り検出に用いられる。データビットフィールドは音声通信に用いられる。CRC2フィールドは、データビットフィールドのデータ列に基づいて算出されたCRC符号を含み、データビットフィールドの伝送誤り検出に用いられる。
図5は、親機3のハードウェア構成例を示すブロック図である。親機3は、各部を制御する制御部の一例としての親機制御部20と、複数(例えば、k個)の無線処理部WUと、複数(例えば、k個)の親機アンテナ221〜22kと、複数(例えば、k個)のメモリ271〜27kとを含む構成を有する。親機アンテナ221〜22kを特に区別しない場合、親機アンテナ22という。同様に、メモリ271〜27kを特に区別しない場合、メモリ27という。これらの各部の機能については後述する。ここで、k個の無線処理部WUの数と、m個のマイク子機2の数と、1フレーム期間におけるn個のスロットの数は、数式(1)の関係を有する。数式(1)において、Cは、m個のマイクの通信可能なチャネルの数を示す。
つまり、本実施の形態では、親機3がDECT通信において1フレーム期間に多重可能な(言い換えると、通信可能な)m個のマイク子機2の通信可能なチャネル数(Cに相当)は、親機3が有するそれぞれの無線処理部WUの数を示すkと、1フレーム期間における最大の多重数(n/2)から制御スロットに用いるスロット数である1を減算した{(n/2)−1}との積よりも大きいと言える。これにより、親機3は、上述した特許文献1のような従来技術に比べて、1フレーム期間で多重可能だったマイク子機の最大の多重数(n/2)よりも多くのマイク子機との多重が可能となり、良好な音質の音声信号を出力可能となる。
また、親機3は、操作部23と、表示部24と、記憶部25とを含む構成である。操作部23は、ユーザインタフェースとしての音量ボリュームや電源スイッチを含む。表示部24は、操作部23による設定内容等を表示する。記憶部25は、不揮発性メモリで構成される。
また、親機3は、電源26と、音声処理部28と、スピーカ29と、外部インタフェース部30とを含む構成である。電源26は、親機3の各部に電力を供給する。スピーカ29は、音声信号を出力して再生する。外部インタフェース部30は、ミキサー受信機8に接続され、親機3で音声処理されたマイク子機2からの音声信号をミキサー受信機8に伝送する。また、外部インタフェース部30は、電話回線を介して他の機器との間で音声信号を送受信する。外部インタフェース部30は、無線回線を介して、親機3で音声処理されたマイク子機2からの音声信号を伝送できる。また、外部インタフェース部30は、インターネット等のネットワークに接続にされてもよく、ネットワークを介して音声信号を配信できる。
親機制御部20は、記憶部25とバス等で結合されている。親機制御部20は、親機3の各部の動作を制御し、操作部23を介して入力された操作内容を取得する。また、親機制御部20は、複数の無線処理部WUのそれぞれや音声処理部28に対し、これらの動作タイミングを設定する。また、親機制御部20は、後述する通信テーブル100(図7参照)を生成して記憶部25に記憶する。親機制御部20は、記憶部25に記憶された通信テーブル100を、各無線処理部WUの無線制御部311〜31kに渡す。無線制御部311〜31kを特に区別しない場合、無線制御部31という。通信テーブル100には、キャリアかつスロット毎に、制御信号をマイク子機2へ報知するための制御用のスロットか、又はマイク子機2との通信に用いるための通信用のスロットかが割り当てて登録される。また、各通信用のスロットには、通信チャネルを確立する無線処理部WUとマイク子機2とが対応付けて登録される。通信テーブル100の詳細については後述する。
また、親機制御部20は、マイク子機2から送信された圧縮信号の伝送エラーを検出する。具体的に、親機制御部20は、無線処理部WU内の無線部21がマイク子機2から送信された圧縮信号を受信した際、エラー検出フィールドであるCRC2フィールド54を参照することで、伝送エラーの有無を検出する。無線部211〜21kを特に区別しない場合、無線部21という。
複数の無線処理部WUのそれぞれは、無線制御部31及び無線部21を有し、6つの異なる中心周波数f1〜f6を有してそれぞれ重ならないキャリアのいずれかを用いて無線通信を行う。無線処理部WUの数は、2以上であれば6つでもよいし、6つより多くても少なくてもよい。各無線制御部31は、それぞれマイク子機2との無線接続を制御し、親機制御部20から指定されたキャリア及びスロットを、各無線部21に指示する。つまり、各無線制御部31は、親機制御部20から受け取った通信テーブル100を基に、指定されたキャリアかつスロットに対応付けられたマイク子機2と通信を行うように、無線部21を制御する。無線部21は、無線アンテナ22を介して、指定されたキャリア及びスロットでマイク子機2との間で通信を行う。また、各無線制御部31は、それぞれマイク子機2からの音声信号を各メモリ27に記憶する。メモリ27は、デュアルポートRAMで構成され、リングバッファとして機能する。
また、複数の無線制御部311〜31kのうち、例えば無線制御部311は、それぞれの無線処理部WU1〜WUkにおけるDECT通信の動作を同期させるためのクロック信号を生成し、他の無線制御部312〜31kに同一のクロック信号を供給する。これにより、親機3は、複数のマイク子機2との間でDECT通信を行う際に、通信信号の位相ずれやスロットずれを防止できる。なお、クロック信号の供給元は、無線制御部311に限らず、他の無線制御部312〜31kのいずれが行ってもよい。また、無線制御部311〜31kに限らず、親機制御部20が全ての無線制御部311〜31kに同一のクロック信号を供給してもよく、同様に、通信信号の位相ずれやスロットずれを防止できる。
図6は、マイク子機2のハードウェア構成例を示すブロック図である。マイクの一例としてのマイク子機2は、マイク制御部10と、マイク無線部11と、マイク無線部11に接続されたマイクアンテナ12とを含む構成である。また、マイク子機2は、ユーザインタフェースとしての音質設定ボタンや電源をON/OFFするスイッチを含む操作部13と、操作部13による設定内容等を表示する表示部14と、不揮発性メモリで構成された記憶部15とを有する。また、マイク子機2は、マイク子機2の各部に電力を供給する電池16と、デュアルポートRAM(Random Access Memory)で構成され、リングバッファとして機能するメモリ17と、マイク音声処理部18と、音声を入力するマイクロフォン19とを含む構成を有する。
マイク制御部10は、記憶部15とバス等で結合されるCPU(Central Processing Unit)を備える。マイク制御部10は、マイク子機2の各部の動作を制御し、例えば音質設定ボタンが押下されたことを検出する。また、マイク制御部10は、マイク無線部11や音声処理部18に対し、これらの動作タイミングを設定する。
図7は、キャリア及びスロット毎に設定される通信チャネルを示す通信テーブル100の登録内容の一例を示す図である。通信テーブル100は、例えば記憶部25に記憶される。通信テーブル100の各列は、時間軸としてDECT通信における1フレーム周期の前半の12個のスロットS0〜S11を示す。また、通信テーブル100の各行は、周波数軸として、DECT通信において使用される総数6のキャリアを示す。図7では、キャリアを示すために、それぞれのキャリアの中心周波数f1〜f6(図2参照)が用いられている。
図7に示すように、通信テーブル100には、スロットかつキャリア単位に割り当てられる、無線処理部WUの制御チャネル(矩形で示す)と、無線処理部WUが多重化する通信相手であるマイク子機2との間の通信チャネル(マイクで示す)と、が登録される。
親機制御部20は、DECT通信の1フレーム期間毎に、キャリア毎に各スロットの通信状況を監視し、通信状況に応じて、キャリア毎の各スロットに割り当てられる制御チャネルや通信チャネルを決定し、通信テーブル100を書き換える。例えば、図7では、親機制御部20は、中心周波数f1のキャリアのスロットS0を、それぞれの無線処理部WU1〜WUkが1フレーム期間内においてどのスロットにどのマイク子機と通信するかを定めた制御情報を、親機3に接続されている全てのマイク子機2C1〜2Cmに対して報知するための無線処理部WU1の制御チャネルとして決定する。同様に、親機制御部20は、中心周波数f6のキャリアのスロットS1を、上述した制御情報を報知するための無線処理部WU2の制御チャネルとして決定する。同様に、親機制御部20は、中心周波数f6のキャリアのスロットS5を、上述した制御情報を報知するための無線処理部WUkの制御チャネルとして決定する。
また、親機制御部20は、中心周波数f1のキャリアのスロットS1,S2,S4〜S7,S9,S10、…、中心周波数f6のキャリアのスロットS2〜S4,S7〜S10を、複数の無線処理部WU1〜WUkのいずれかと制御情報により特定されたマイク子機2のいずれかとの間で音声信号を受信するための通信チャネルに決定する。例えば、中心周波数f1のキャリアのスロットS2は、無線処理部WU5とマイク子機2C13との間の通信チャネルとして登録される。また、中心周波数f6のキャリアのスロットS8は、無線処理部WU3とマイク子機2C8との間の通信チャネルとして登録される。
また、親機制御部20は、中心周波数f1のキャリアのスロットS3,S8,S11、中心周波数f6のキャリアのスロットS0,S6,S11のそれぞれを、例えば電波干渉が多い通信チャネルの代わりに同スロットを通信チャネルとして切り替えて使用可能とするための空きチャネルとして確保しておくように決定する。例えば、親機制御部20は、中心周波数f1のキャリアのスロットS4の通信チャネルの通信状況が良くないと判断した場合、その通信チャネルを中心周波数f6のキャリアのスロットS6に切り替えることを決定する。
このように、親機3は、各スロットにおいて複数のキャリアを使用し、スロット毎に多重化する通信相手として割り当てられた複数のマイク子機2のそれぞれから、通信テーブル100において指定された複数の通信チャネルを介して音声信号を受信する。なお、通信テーブル100には、前半のダウンリンク用のスロットであるスロットS0〜S11の各チャネルが示されたが、後半のアップリンク用のスロットであるスロットS12〜S23の各チャネルにおいても同様である。
次に、本実施の形態に係るワイヤレスマイクシステム5の動作について説明する。
図8は、親機3の複数の無線処理部WU1〜WUkのそれぞれと複数のマイク子機2C1〜2Cmのそれぞれとの間で行われる音声通信の接続手順の一例を示すシーケンス図である。図8では、例えば、無線制御部311を含む無線処理部WU1とマイク子機2C1との間で行われる音声通信の接続手順が示され、同様に、無線制御部31kを含む無線処理部WUkとマイク子機2Cmとの間で行われる音声通信の接続手順とが示されている。
図8において、音声通信の開始前、親機制御部20は、音声通信可能な全てのマイク子機2のそれぞれの識別情報を取得して記憶部25に保持し、通信テーブル100を生成して記憶部25に保存する。さらに、親機制御部20は、通信テーブル100のデータを各無線処理部WUの無線制御部31に通知する。
無線処理部WU1の無線制御部311は、親機3に接続されている全てのマイク子機2に対し、中心周波数f1のキャリアかつスロットS0を用いて制御情報J1を報知する(T1)。制御情報J1は、送信側の観点では、例えば無線処理部WU1が1フレーム期間においてどのスロットにどのマイク子機2との間で通信するのか、さらに、どの中心周波数のキャリアを用いるかを定めた情報である。言い換えると、制御情報J1には、受信側の観点では、マイク子機2が通信チャネルとして使用可能なキャリア及びスロットの番号が含まれる。マイク子機2C1は、電源オフである場合、無線処理部WU1からの制御情報J1を受信できない。無線制御部311は、例えば、DECT通信の次の1フレーム期間において、再び中心周波数f1のキャリアかつスロットS0を用いて、同様に制御情報J1をマイク子機2C1に報知する(T2)。
マイク子機2C1は、例えばユーザ操作による電源オンで起動すると(T3)、無線制御部311からの制御情報J1を受信する。起動後、マイク子機2C1は、無線制御部311との間で通信を行うための同期を確立する。マイク子機2C1は、受信された制御情報J1を基に、使用可能な番号の中心周波数fxのキャリアかつスロットSy(例えば、DECT通信においては、xは1〜6の整数のいずれか、yは0〜11の整数のいずれか)を用いて、無線制御部311に対し音声接続を要求する(T4)。
無線制御部311は、マイク子機2C1からの音声接続要求に応答する(T5)。これにより、無線処理部WU1とマイク子機2C1との間で、中心周波数fxのキャリアかつスロットSyを用いて音声通信が開始する(T6)。音声通信が開始されると、親機3は、無線処理部WU1で受信した音声信号をスピーカ29で再生することもできるし、又は、ミキサー受信機8に出力する。ミキサー受信機8は、無線処理部WU1で受信した音声信号と、他の無線処理部で受信した音声信号とを合成して音声合成された音声信号を出力する。
その後、マイク子機2C1は、例えばユーザ操作による電源オフになると(T7)、無線制御部311に対して音声切断を要求する(T8)。無線制御部311は、マイク子機2C1からの音声切断に応答する(T9)。音声が切断されると、無線制御部311は、手順T1と同様、制御情報の報知を継続する(T10)。この制御情報の報知は、親機3によって1フレーム期間毎、又は幾つかのフレーム期間毎に生成される通信テーブル100を基に、他のマイク子機2に対しても行われる。なお、ここで幾つかのフレーム期間毎に通信テーブル10が生成されてもよいのは、例えば1フレーム内で親機3内の全ての処理が完了できない可能性を考慮し、その場合には親機3は数フレーム期間を要して通信テーブル10を更新してもよいためである。以後、同様の動作が行われる。
また、手順T1〜T10と同様の動作は、無線処理部WU2〜WUkにおいても行われる。つまり、音声通信の接続が行われる、無線処理部WU1〜WUkとマイク子機2C1〜2Cmの組み合わせは、任意である。例えば、無線処理部WUkとマイク子機2Cmの組み合わせでは、次のような動作が行われる。
無線処理部WUkの無線制御部31kは、通信テーブル100を基に該当するスロットにおける通信相手(多重化先)として特定されたマイク子機2Cmに対し、中心周波数f2のキャリアかつスロットS0を用いて制御情報J2を報知する(T11)。制御情報J2は、送信側の観点では、例えば無線処理部WU2が1フレーム期間においてどのスロットにどのマイク子機2との間で通信するのか、さらに、どの中心周波数のキャリアを用いるかを定めた情報である。言い換えると、制御情報J2には、受信側の観点では、例えばマイク子機2Cmが制御チャネルや通信チャネルとして使用可能なキャリア及びスロットの番号が含まれる。マイク子機2Cmは、電源オフである場合、無線処理部WUkからの制御情報J2を受信できない。無線制御部31kは、例えば、DECT通信の次の1フレーム期間において、再び中心周波数f2のキャリアかつスロットS0を用いて、同様に制御情報J2をマイク子機2Cmに報知する(T12)。
マイク子機2Cmは、例えばユーザ操作による電源オンで起動すると(T13)、無線制御部31kからの制御情報J2を受信する。起動後、マイク子機2Cmは、無線制御部31kとの間で通信を行うための同期を確立する。マイク子機2Cmは、受信された制御情報J2を基に、使用可能な番号の中心周波数fzのキャリアかつスロットSw(例えば、DECT通信においては、zは1〜6の整数のいずれか、wは0〜11の整数のいずれか)を用いて、無線制御部31kに対し音声接続を要求する(T14)。
無線制御部31kは、マイク子機2Cmからの音声接続要求に応答する(T15)。これにより、無線処理部WUkとマイク子機2Cmとの間で、中心周波数fzのキャリアかつスロットSwを用いて音声通信が開始する(T16)。音声通信が開始されると、親機3は、無線処理部WUkで受信した音声信号をスピーカ29で再生することもできるし、又は、ミキサー受信機8に出力する。ミキサー受信機8は、無線処理部WUkで受信した音声信号と、他の無線処理部で受信した音声信号とを合成し音声合成された音声信号を出力する。
その後、マイク子機2Cmは、例えばユーザ操作による電源オフになると(T17)、無線制御部31kに対して音声切断を要求する(T18)。無線制御部31kは、マイク子機2Cmからの音声接続切断に応答する(T19)。音声が切断されると、無線制御部31kは、手順T11と同様、制御情報の報知を継続する(T20)。この制御情報の報知は、親機3によって1フレーム期間毎又は数フレーム期間毎に生成される通信テーブル100を基に、他のマイク子機2に対しても行われる。以後、同様の動作が行われる。
図9は、親機3における無線処理部WUの無線制御部31の動作手順を示すフローチャートである。無線制御部31は、DECT通信の1フレーム期間毎又は数フレーム期間毎に、上述した制御情報を生成し、その制御情報を、親機3に接続されている全てのマイク子機2に対して報知する(ST1)。制御情報の報知後、無線制御部31は、制御情報に含まれる通信テーブル100で特定されたマイク子機2から音声接続要求があったか否かを判別する(ST2)。音声接続要求が無い場合(ST2、NO)、無線制御部31の処理はステップST1に戻り、無線制御部31は、例えば、DECT通信の次の1フレーム期間において、制御情報Jを再度報知する。
一方、無線制御部31は、マイク子機2から音声接続要求があった場合(ST2、YES)、マイク子機2が要求するキャリア及びスロットを用いて音声接続可能であるか否かを、例えば通信テーブル100に基づいて判別する(ST3)。音声接続できない場合(ST3、NO)、無線制御部31は、音声接続拒否を応答する(ST4)。この後、無線処理部WUの処理はステップST1に戻る。
一方、音声接続可能である場合(ST3、YES)、無線制御部31は、要求されたキャリア及びスロットを用いて音声接続を応答する(ST5)。これにより、無線処理部WUとマイク子機2との間で音声通信が開始する。
その後、無線制御部31は、音声通信が開始されたマイク子機2から音声切断要求があったか否かを判別する(ST6)。音声切断要求が無い場合(ST6、NO)、無線処理部WUは、ステップST6の処理を繰り返す。また、マイク子機2から音声切断要求があった場合(ST6、YES)、無線制御部31は、音声切断を応答する(ST17)。音声切断後、無線制御部31の処理はステップST1に戻り、無線制御部31は、例えば、DECT通信の次の1フレーム期間において、再び制御情報Jをフレーム間隔で報知する。
図10は、マイク子機2におけるマイク制御部10の動作手順を示すフローチャートである。図10に示すマイク子機2の動作は、例えばユーザ操作によってマイク子機2が電源オンになると、開始する。マイク子機2は、電源オン後、親機3の無線処理部WUから送信された制御情報を受信し、無線処理部WUとの間で無線通信を行うための同期を確立したか否かを判別する(ST11)。無線処理部WUとの間で無線通信を行うための同期を確立していない場合(ST11、NO)、マイク子機2の処理はステップST11に戻る。
一方、マイク制御部10は、無線処理部WUとの間で無線通信を行うための同期を確立すると(ST11、YES)、無線処理部WUに対し、受信された制御情報を基にキャリア及びスロットの番号を決定し、音声接続を要求する(ST12)。
マイク制御部10は、無線処理部WUからこの要求に対する音声接続の応答があったか否かを判別する(ST13)。音声接続の応答が無かった場合(ST13、NO)、マイク制御部10は、無線処理部WUから音声接続拒否の応答があったか否かを判別する(ST14)。音声接続拒否の応答が無かった場合(ST14、NO)、マイク制御部10の処理はステップST12に戻り、マイク制御部10は、再度、受信された制御情報を基に、キャリア及びスロットの番号を決定して音声接続を要求する(ST12)。
一方、無線処理部WUから音声接続拒否の応答があった場合(ST14、YES)、マイク制御部10の処理はステップST11に戻り、マイク制御部10は、他の無線処理部WUとの間で無線通信を行うための同期の確立を試み、他の無線処理部WUとの無線同期を確立したか否かを判別する。
一方、無線処理部WUから音声接続の応答があった場合(ST13、YES)、マイク制御部10は、無線処理部WUに対して音声通信を開始する(ST15)。音声通信中、マイク制御部10は、ユーザによって電源オフに操作されるまで待つ(ST16)。電源オフに操作されると、マイク制御部10は、無線処理部WUに対して音声切断を要求する(ST17)。マイク制御部10は、この要求に対して無線処理部WUから音声切断の応答を受信すると、電源オフになる。
以上により、実施の形態1のワイヤレスマイクシステム5では、親機3は、時分割多重通信方式(例えば、DECT方式)に基づく既定数6のキャリアと、DECT方式の1フレーム期間を構成するn(n:既定の正の整数)個のスロットとを用いて、m(m:2以上の整数)個のマイク子機2との通信に用いるキャリア及びスロットを1フレーム期間ごとに設定した通信テーブル100を親機制御部20において生成する。親機3は、生成された通信テーブル100に基づいて、m個のうち該当する個々のマイク子機2との間で、DECT方式を用いた通信をk(k:2以上の整数)個の無線処理部WUにおいて行う。k個の無線処理部WUは、それぞれ同一のクロック信号に基づいて同期して動作する。また、m個のマイク子機2が通信可能なチャネル数を示すCは、C>k*{(n/2)−1}の関係がある。
これにより、親機3は、時分割多重通信方式の1フレーム期間を構成する既定数のスロットを用いた多重数以上のマイク子機2との間で通信チャネルを確立でき、キャリア及びスロット毎に通信チャネルを各マイク子機2に割り当てることができる。例えば、多重数が12通信チャネルである場合、キャリア毎に、制御チャネルを1チャネルに、また、通信チャネルを最大11チャネルに割り当てることができる。従って、キャリアが6つである場合、通信チャネルを6*11チャネル以上に確立できる。*(アスタリスク)は乗算の演算子である。従って、親機3に接続可能なマイク子機2の数を増やすことができ、また、音声データの量が増加し、音質を向上させることができる。また、複数の無線処理部WUの動作を同一のクロック信号で同期させるので、無線処理部WU間で位相ずれ及びスロットずれが起こることを防止できる。このように、親機3は、通信相手であるマイク子機2との間で行われる通信に関する通信方式において1フレーム期間内に通信可能な多重数以上の子機との間で通信を行い、音質の良好な音声信号を高精度に出力することができる。
また、k個の無線処理部WUのうちいずれかは、クロック信号を生成して残りの(k−1)個の無線処理部に供給する。これにより、k個の無線処理部WUに供給されるクロック信号を共用することができる。また、クロック信号を個々の無線処理部WUが生成する場合と比べ、部品点数を削減できる。
また、k個の無線処理部WUは、通信テーブル100に基づいて、m個のうち該当するマイク子機2から、キャリア及びスロットの各情報を含む音声接続要求を受信すると、そのマイクとの間で通信を開始する。これにより、各無線処理部WUは、該当するマイク子機2との通信を確実に開始することができ、混信を回避できる。
また、k個の無線処理部WUは、通信が行われていたm個のうち該当するマイク子機2から、音声切断要求を受信すると、そのマイク子機2との間で通信を切断(終了)する。これにより、各無線処理部WUは、該当するマイク子機2との通信を確実に切断できる。
(実施の形態2)
実施の形態1では、親機3における複数の無線処理部WUのそれぞれが複数のマイク子機2に対して制御情報を報知し、いずれかのマイク子機との間で無線接続を行っていた。実施の形態2では、親機3における複数の無線処理部を、それぞれ1対1のペアを構成する2つの無線処理部の組に分け、ペアのうち一方をメイン無線処理部とし、もう一方をサブ無線処理部とし、それぞれの組においてメイン無線処理部がサブ無線処理部の無線制御を兼ねる例を説明する。従って、本実施の形態では、ペアは(k/2)個形成される。kは、本実施の形態では、2の倍数の自然数である。
実施の形態2のワイヤレスマイクシステムのハードウェア構成は、実施の形態1のワイヤレスマイクシステムのハードウェア構成と同一である。実施の形態1と同一の構成要素については同一の符号を用いることで、その説明を省略する。
図11は、実施の形態2における親機3の無線接続に係わる部分の構成を概略的に示す図である。複数の無線処理部WUを、1つのメイン無線処理部と1つのサブ無線処理部とからなる2つの無線処理部のペア(組)に分ける。例えば、無線処理部WU1をメイン無線処理部とし、無線処理部WU2をサブ無線処理部とするペアを形成する。また、無線処理部WU3をメイン無線処理部とし、無線処理部WU4をサブ無線処理部とするペアを形成する。同様に、無線処理部WU5をメイン無線処理部とし、無線処理部WU6をサブ無線処理部とするペアを形成する。
無線処理部WU1は、無線処理部WU2の無線制御を代行する。この代行時、無線処理部WU1は、マイク子機2から要求されたキャリア及びスロットを用いた音声接続を親機制御部20に伝送する。親機制御部20は、無線処理部WU1から伝送されたキャリア及びスロットを用いた音声接続を無線処理部WU2に通知する。また、無線処理部WU1は、マイク子機2から要求されたキャリア及びスロットを用いた音声切断を親機制御部20に伝送する。親機制御部20は、無線処理部WU1から伝送されたキャリア及びスロットを用いた音声切断を無線処理部WU2に通知する。これらの代行動作は、他のメイン無線処理部(例えば、無線処理部WU3,WU5)と他のサブ無線処理部(例えば無線処理部WU4,WU6)の間でも同様に行われる。
図12は、キャリア及びスロット毎に設定される通信チャネルを示す通信テーブル100の登録内容の一例を示す図である。図7と同様、通信テーブル100は、例えば記憶部25に記憶される。通信テーブル100の各列は、時間軸としてDECT通信における1フレーム周期の前半の12個のスロットS0〜S11を示す。また、通信テーブル100の各行は、周波数軸として、DECT通信において使用される総数6のキャリアを示す。図12では、キャリアを示すために、それぞれのキャリアの中心周波数f1〜f6(図2参照)が用いられている。
図12に示すように、通信テーブル100には、キャリア及びスロット毎に割り当てられる、無線処理部WUの制御チャネル(矩形で示す)と、無線処理部WUが多重化する通信相手であるマイク子機2との間の通信チャネル(マイクで示す)と、が登録される。
親機制御部20は、DECT通信の1フレーム期間毎に、キャリア毎に各スロットの通信状況を監視し、通信状況に応じて、キャリア毎の各スロットに割り当てられる制御チャネルや通信チャネルを決定し、通信テーブル100を書き換える。例えば、図12では、親機制御部20は、中心周波数f1のキャリアのスロットS0を、それぞれのペアのメイン無線処理部が自己や同ペアのサブ無線処理部が1フレーム期間内においてどのスロットにどのマイク子機2と通信するかを定めた制御情報を、親機3に接続されている全てのマイク子機2C1〜2Cmに対して報知するための制御チャネルとして決定する。これにより、親機3は、実施の形態1と比べて、それぞれのペアにおけるサブ無線処理部に、制御情報をそれぞれのマイク子機に報知するための制御チャネルを割り当てる必要がなくなる。従って、親機3は、実施の形態1と比べて、サブ無線処理部に制御チャネルを割り当てるためのキャリア及びスロットを、マイク子機2との間の通信チャネルに割り当てることが可能となる(図7の中心周波数f6のキャリアかつスロットS0参照)。
同様に、親機制御部20は、中心周波数f6のキャリア及びスロットS8を、同様な制御情報を報知するための制御チャネルとして決定する。従って、同様に、親機3は、実施の形態1と比べて、サブ無線処理部に制御チャネルを割り当てるためのキャリア及びスロットを、マイク子機2との間の通信チャネルに割り当てることが可能となる(図7の中心周波数f1のキャリアかつスロットS8参照)。
また、親機制御部20は、実施の形態1と同様、中心周波数f1のキャリアのスロットS1,S2,S5,S6,S8〜S10、…、中心周波数f6のキャリアのスロットS0〜S2,S4〜S6,S9,S10を、複数の無線処理部WU1〜WUkのいずれかと制御情報により特定されたマイク子機2のいずれかとの間で音声信号を受信するための通信チャネルに決定する。
また、親機制御部20は、実施の形態1と同様、中心周波数f1のキャリアのスロットS3,S7,S11、…、中心周波数f6のキャリアのスロットS3,S7,S11を、それぞれ例えば電波干渉が多い通信チャネルの代わりに同スロットを通信チャネルとして切り替えて使用可能とするための空きチャネルとして確保しておくように決定する。
次に、本実施の形態に係るワイヤレスマイクシステム5の動作について説明する。
図13は、メイン無線処理部とマイク子機との間、及びサブ無線処理部とマイク子機2C5との間でそれぞれ行われる音声通信の接続手順の一例を示すシーケンス図である。図13では、メイン無線処理部及びサブ無線処理部のペアとして、それぞれ無線処理部WU1及び無線処理部WU2を例示するが、他のペアにおいても同様である。
図13において、音声通信の開始前、親機制御部20は、音声通信可能な全てのマイク子機2のそれぞれの識別情報を取得して記憶部25に保持し、通信テーブル100を生成して記憶部25に保存する。さらに、親機制御部20は、通信テーブル100のデータを各無線処理部WUの無線制御部31に通知する。
無線処理部WU1の無線制御部311は、親機3に接続されている全てのマイク子機2に対し、中心周波数f1のキャリアかつスロットS0を用いて制御情報J3を報知する(T31)。制御情報J3は、送信側の観点では、メイン無線処理部(例えば無線処理部WU1)が自己や同ペアのサブ無線処理部(例えば無線処理部WU2)が1フレーム期間においてどのスロットにどのマイク子機2との間で通信するのか、さらに、どの中心周波数のキャリアを用いるかを定めた情報である。言い換えると、制御情報J3には、受信側の観点では、マイク子機2が制御チャネルや通信チャネルとして使用可能なキャリア及びスロットの番号が含まれる。2つのマイク子機2C3,2C5のいずれも、電源オフであるので、無線処理部WU1からの制御情報J3を受信できない。無線制御部311は、例えば、DECT通信の次の1フレーム期間において、再び中心周波数f1のキャリアかつスロットS0を用いて、同様に制御情報J3を通信先となるマイク子機(例えば、マイク子機2C3,2C5)に報知する(T32)。
マイク子機2C3は、例えばユーザ操作による電源オンで起動すると(T33)、無線処理部WU1からの制御情報J3を受信する。起動後、マイク子機2C3は、無線処理部WU1との間で通信を行うための同期を確立する。マイク子機2C3は、受信された制御情報J3を基に、使用可能な番号の中心周波数fx1のキャリアかつスロットSy1(例えば、DECT通信においては、x1は1〜6の整数のいずれか、y1は0〜11の整数のいずれか)を用いて、例えばfx1(x1=1)かつスロットS2(y1=2)を用いて無線制御部311に対し音声接続を要求する(T34)。
無線制御部311は、マイク子機2C3からの音声接続要求に応答する(T35)。無線制御部311とマイク子機2C3との間で、中心周波数f1のキャリアかつスロットS2を用いて音声通信が開始する(T36)。音声通信が開始されると、親機3は、無線処理部WU1で受信した音声信号をスピーカ29で再生することもできるし、又は、ミキサー受信機8に出力する。ミキサー受信機8は、無線処理部WU1で受信した音声信号と、他の無線処理部で受信した音声信号とを合成して音声合成された音声信号を出力する。
一方、マイク子機2C5は、例えばユーザ操作による電源オンで起動すると(T37)、無線処理部WU1からの制御情報J3を受信する。起動後、マイク子機2C5は、無線処理部WU1との間で通信を行うための同期を確立する。マイク子機2C5は、受信された制御情報J3を基に、使用可能な番号の中心周波数fx2のキャリアかつスロットSy2(例えば、DECT通信においては、x2は1〜6の整数のいずれか、y2は0〜11の整数のいずれか)を用いて、例えば中心周波数f6(x2=6)のキャリアかつスロットS6(y2=6)を用いて無線制御部311に対し音声接続を要求する(T38)。
無線制御部311は、マイク子機2C5からの音声接続要求に応答する(T39)。さらに、無線制御部311は、親機制御部20を介して、無線処理部WU2に対しマイク子機2C5から要求された中心周波数f5のキャリア及びスロットS6を用いた音声接続を通知する(T40)。
無線処理部WU2に中心周波数f6のキャリア及びスロットS6を用いた音声接続が通知されると、無線処理部WU2の無線制御部312とマイク子機2C5との間で、中心周波数f6のキャリアかつスロットS6を用いた音声通信が開始される(T41)。音声通信が開始されると、親機3は、無線処理部WU2で受信した音声信号をスピーカ29で再生することもできるし、又は、ミキサー受信機8に出力する。ミキサー受信機8は、無線処理部WU2で受信した音声信号と、他の無線処理部(例えば、無線処理部WU1)で受信した音声信号とを合成して音声合成された音声を出力する。
その後、マイク子機2C3は、例えばユーザ操作により電源オフになると(T42)、無線処理部WU1に対し音声切断を要求する(T43)。無線処理部WU1は、マイク子機2C3からの音声切断に応答する(T44)。無線処理部WU1は、マイク子機2C3との音声通信を切断する(T45)。
また、マイク子機2C5は、例えばユーザ操作により電源オフになると(T46)、無線処理部WU1に対し音声切断を要求する(T47)。無線処理部WU1は、マイク子機2C5からの音声切断に応答する(T48)。さらに、無線処理部WU1は、親機制御部20を介して、無線処理部WU2の無線制御部312に対し中心周波数f2のキャリア及びスロットS6を用いた音声切断を通知する(T49)。無線制御部312は、無線処理部WU1から音声切断の通知を受けると、マイク子機2C5との音声通信を切断する(T50)。
マイク子機2C3,2C5との間で音声が切断されると、無線処理部WU1は、手順T31と同様、制御情報の報知を継続する(T51)。この制御情報の報知は、親機3によって1フレーム期間毎に生成される通信テーブル100を基に、他のマイク子機2に対しても行われる。以後、同様の動作が行われる。
図14は、親機3におけるメイン無線処理部の無線制御部の動作手順の一例を示すフローチャートである。図13と同様に、メイン無線処理部を無線処理部WU1とし、サブ無線処理部を無線処理部WU2として説明するが、他のペアのメイン無線処理部及びサブ無線処理部においても同様である。メイン無線処理部に対応する無線制御部311は、DECT通信の1フレーム期間毎又は数フレーム期間毎に、上述した制御情報J3を生成し、その制御情報J3を、親機3に接続されている全てのマイク子機2に対して報知する(ST21)。制御情報J3の報知後、無線制御部311は、複数のマイク子機2のいずれかから音声接続要求があったか否かを判別する(ST22)。接続要求が無い場合(ST22、NO)、無線制御部311の処理はステップST21に戻り、無線制御部311は、例えば、DECT通信の次の1フレーム期間において、制御情報J3を再度報知する。
一方、無線制御部311は、マイク子機2(例えばマイク子機2C3もしくはマイク子機2C5)から音声接続要求があった場合(ST22、YES)、マイク子機2C3もしくはマイク子機2C5が要求するキャリア及びスロットを用いて音声接続可能であるか否かを、例えば通信テーブル100に基づいて判別する(ST23)。音声接続できない場合(ST23、NO)、無線制御部311は、サブ無線処理部に対応する無線処理部WU2で音声接続可能であるか否かを判別する(ST24)。無線処理部WU2で音声接続できない場合(ST24、NO)、無線制御部311は、そのマイク子機2に対し音声接続拒否を応答する(ST25)。この後、無線制御部311の処理はステップST22に戻る。
一方、無線制御部311が音声接続可能である場合(ST23、YES)、無線制御部311は、要求されたキャリア及びスロットを用いてマイク子機2C3もしくはマイク子機2C5に対し音声接続を応答する(ST27)。これにより、無線処理部WU1とマイク子機2の間で音声通信が開始される。
また、無線処理部WU2が音声接続可能である場合(ST24、YES)、無線制御部311は、通信テーブル100に基づいて、無線処理部WU2に対して該当するキャリア及びスロットを通知する(ST26)。無線処理部WU2が音声接続可能である場合、無線制御部311は、マイク子機2(例えばマイク子機2C5)に対し音声接続を応答する。これにより、無線処理部WU2とマイク子機2C5の間で音声通信が開始される。
その後、無線制御部311は、音声通信が開始されたマイク子機2C3もしくはマイク子機2C5からキャリア及びスロットの音声切断要求があったか否かを判別する(ST28)。音声切断要求が無い場合(ST28、NO)、無線制御部311は、ステップST28の処理を繰り返す。また、マイク子機2C3もしくはマイク子機2C5から音声切断要求があった場合(ST28、YES)、無線制御部311は、無線処理部WU1による音声通信が行われていたか否かを判別する(ST29)。無線処理部WU1による音声通信が行われていた場合(ST29、YES)、無線制御部311は、マイク子機2C3もしくはマイク子機2C5に対し音声切断を応答する(ST31)。これにより、メイン無線処理部WU1とマイク子機2との間で音声通信が切断される。
一方、無線処理部WU2による音声通信が行われていた場合(ST29、NO)、無線制御部311は、親機制御部20を介して、無線処理部WU2の無線制御部312に音声切断を通知する(ST30)。そして、無線制御部311は、ステップST31において、マイク子機2C5に対し音声切断を応答する。これにより、サブ無線処理部WU2とマイク子機2C5との間で音声通信が切断される。
音声切断後、無線制御部311の処理はステップST21に戻り、無線制御部31は、例えば、DECT通信の次の1フレーム期間において、再び制御情報をフレーム間隔で報知する。
以上により、実施の形態2のワイヤレスマイクシステム5では、k個(kは2以上の偶数)の無線処理部WUは、それぞれ1対1のペアを構成する(k/2)個ずつのメイン無線処理部及びサブ無線処理部を有する。親機制御部20は、それぞれ1対1のペアを構成するメイン無線処理部及びサブ無線処理部において、そのメイン無線処理部が1フレーム期間に通信可能なマイクの数より、そのサブ無線処理部が1フレーム期間に通信可能なマイクの数を多くなるように通信テーブル100を生成する。
これにより、メイン無線処理部は、サブ無線処理部の無線制御を兼ねることができる。つまり、実施の形態1と比べて、親機3の(k/2)個のメイン無線処理部は、自己と同じペアを構成するサブ無線処理部が1フレーム期間において使用する予定であった少なくとも1つの制御チャネルを通信チャネルとして利用できる。従って、親機3は、サブ無線処理部が無線制御を行う際に必要とする制御チャネル数を減らすことができ、その分、通信チャネルの数を増加できる。このように、無線処理部の数が増えても、制御チャネル数の増加が抑えられるので、通信チャネル数の減少を抑制できる。これにより、同時に通信可能なマイク子機の数を増やすことができる。
また、ペアを構成するメイン無線処理部は、m個のうち該当するマイク子機2との間で音声通信の接続制御(言い換えると、マイク子機2からの接続に関する信号の通信)を行う。ペアを構成するサブ無線処理部は、自己とペアを構成するメイン無線処理部により、m個のうち該当するマイク子機2と音声通信の接続制御が行われた後、そのマイク子機2からの音声信号を受信する。これにより、サブ無線処理部は、音声通信の接続制御を行わない分、通信チャネルに割り当てられるスロットを増やすことができる。これにより、同時に通信可能なマイク子機の数を増やすことができる。
また、ペアを構成するメイン無線処理部は、m個のうち該当するマイク子機2との間で音声通信の切断制御(言い換えると、マイク子機2からの切断に関する信号の通信)を行う。ペアを構成するサブ無線処理部は、自己とペアを構成するメイン無線処理部により、m個のうち該当するマイク子機2と音声通信の切断制御が行われた後、そのマイク子機2との音声通信を切断する。これにより、サブ無線処理部は、音声通信の切断制御を行わない分、通信チャネルに割り当てられるスロットを増やすことができる。これにより、同時に通信可能なマイク子機の数を増やすことができる。
(実施の形態3)
実施の形態2では、親機3は、それぞれ同数(具体的には、(k/2)個ずつ)のメイン無線処理部とサブ無線処理部とのペアを複数有し、各メイン無線処理部がそれぞれペアとなっているサブ無線処理部の無線制御を兼ねた。実施の形態3では、親機3は、k個の無線処理部WU1〜WUkのうち、メイン無線処理部を1つ有し、サブ無線処理部を(k−1)個有し、メイン無線処理部が全てのサブ無線処理部の無線制御を行う例を説明する。
実施の形態3のワイヤレスマイクシステムのハードウェア構成は、実施の形態1のワイヤレスマイクシステムのハードウェア構成と同一である。実施の形態1と同一の構成要素については同一の符号を用いることで、その説明を省略する。
図15は、実施の形態3における親機3の無線接続に係わる部分の構成を概略的に示す図である。複数の無線処理部WUを、1つのメイン無線処理部(例えば、無線処理部WU1)と(k−1)個のサブ無線処理部(例えば、無線処理部WU2〜WUk)とに分ける。
図16において、無線処理部WU1は、複数のマイク子機2のそれぞれとの間で音声通信を行う全ての無線処理部WU2〜WUkの無線制御を代行し、自己は複数のマイク子機2のそれぞれとの間では音声通信を行わない。無線処理部WU2〜WUkは、それぞれ無線処理部WU1からの通知に従い、通信テーブル100に基づいて特定された複数のマイク子機2のそれぞれとの間で音声接続を開始し、また音声接続を切断する。
図16は、キャリア及びスロット毎に設定される通信チャネルを示す通信テーブル100の登録内容の一例を示す図である。図7や図12と同様、通信テーブル100は、例えば記憶部25に記憶される。通信テーブル100の各列は、時間軸としてDECT通信における1フレーム周期の前半の12個のスロットS0〜S11を示す。また、通信テーブル100の各行は、周波数軸として、DECT通信において使用される総数6のキャリア(搬送波)を示す。図16では、キャリアを示すために、それぞれのキャリア(搬送波)の中心周波数f1〜f6(図2参照)が用いられている。
図16に示すように、通信テーブル100には、スロットかつキャリア毎に割り当てられる、メイン無線処理部(例えば無線処理部WU1)の制御チャネル(矩形で示す)と、サブ無線処理部(例えば無線処理部WU2〜WUk)が多重化する通信相手であるマイク子機2との間の通信チャネル(マイクで示す)と、が登録される。
親機制御部20は、DECT通信の1フレーム期間毎に、キャリア毎に各スロットの通信状況を監視し、通信状況に応じて、キャリア毎の各スロットに割り当てられる制御チャネルや通信チャネルを決定し、通信テーブル100をフレーム毎に書き換える。例えば、図16では、親機制御部20は、中心周波数f1のキャリアのスロットS0を、メイン無線処理部が(k−1)個のサブ無線処理部が1フレーム期間内においてどのスロットにどのマイク子機2と通信するかを定めた制御情報を、全てのマイク子機2に報知するための制御チャネルとして決定する。これにより、親機3は、実施の形態1,2と比べて、全てのサブ無線処理部のそれぞれに対して少なくとも1つの制御チャネルを割り当てる必要がなくなるので、全てのサブ無線処理部に対してDECT通信における通信チャネルを効率的に割り当てることができる。
例えば、親機制御部20は、中心周波数f6のキャリアのスロットS0を、制御情報を報知するための制御チャネルではなく、いずれかのサブ無線処理部といずれかのマイク子機2との間の通信チャネルに利用できる。
同様に、親機制御部20は、中心周波数f6のキャリアのスロットS8を、制御情報を報知するための制御チャネルではなく、いずれかのサブ無線処理部といずれかのマイク子機2との間の通信チャネルに利用できる。
また、親機制御部20は、中心周波数f1のスロットS4や、中心周波数f6のキャリアのスロットS4も、上記と同様に通信チャネルとして決定する。
また、親機制御部20は、実施の形態1,2と同様、中心周波数f1のキャリアのスロットS1,S2,S4〜S6,S8〜S10、…、中心周波数f6のスロットS0〜S2,S4〜S6,S8〜S10を、それぞれ複数のサブ無線処理部(例えば、無線処理部WU2〜WUk)のいずれかと制御情報により特定されたマイク子機2のいずれかとの間で音声信号を受信するための通信チャネルに決定する。
また、親機制御部20は、実施の形態1,2と同様、中心周波数f1のキャリアのスロットS3,S7,S11、…、中心周波数f5のキャリアのスロットS3,S7,S11を、それぞれ例えば電波干渉が多い通信チャネルの代わりに同スロットを通信チャネルとして切り替えて使用可能とするための空きチャネルとして確保しておくように決定する。
次に、本実施の形態に係るワイヤレスマイクシステム5の動作について説明する。
図17は、1つのメイン無線処理部及び複数のサブ無線処理部と複数のマイク子機2C1〜2Cmとの間で行われる音声通信の接続手順の一例を示すシーケンス図である。図17では、メイン無線処理部を無線処理部WU1、サブ無線処理部を無線処理部WU2〜WUkを例示して説明する。
図17において、音声通信の開始前、親機制御部20は、音声通信可能な全てのマイク子機2のそれぞれの識別情報を取得して記憶部25に保持し、通信テーブル100を生成して記憶部25に保存する。さらに、親機制御部20は、通信テーブル100のデータを各無線処理部WUの無線制御部31に通知する。
メイン無線処理部の無線制御部311は、親機3に接続されている全てのマイク子機2に対し、中心周波数f1のキャリアかつスロットS0を用いて制御情報J4に報知する(T61)。制御情報J4は、送信側の観点では、メイン無線処理部(例えば無線処理部WU1)が(k−1)個のサブ無線処理部(例えば無線処理部WU2〜WUk)が1フレーム期間においてどのスロットにどのマイク子機2との間で通信するのか、さらに、どの中心周波数のキャリアを用いるかを定めた情報である。言い換えると、制御情報J4には、受信側の観点では、マイク子機2が制御チャネルや通信チャネルとして使用可能なキャリア及びスロットの番号が含まれる。マイク子機2C1〜2Cmのいずれも、電源オフであるので、無線処理部WU1からの制御情報J4を受信できない。無線処理部WU1は、例えば、DECT通信の次の1フレーム期間において、再び中心周波数f1のキャリアかつスロットS0を用いて、同様に制御情報J4を通信先となるマイク子機2C1〜2Cmに報知する(T62)。
マイク子機2C1は、例えばユーザ操作による電源オンで起動すると(T63)、無線処理部WU1からの制御情報J4を受信する。起動後、マイク子機2C1は、無線処理部WU1との間で通信を行うための同期を確立する。マイク子機2C1は、受信された制御情報J4を基に、使用可能な中心周波数fx1のキャリアかつスロットSy1(例えば、DECT通信においては、x1は1〜6の整数のいずれか、y1は0〜11の整数のいずれか)を用いて、例えばfx1(x1=1)かつスロットSy1(y1=2)を用いて無線処理部WU1に対し音声接続を要求する(T64)。
無線処理部WU1は、マイク子機2C1からの音声接続要求に応答する(T65)。無線処理部WU1は、親機制御部20を介して、サブ無線処理部(例えば無線処理部WU5)に対しマイク子機2C1から要求された中心周波数f1のキャリアかつスロットS2を用いた音声接続を通知する(T66)。
無線処理部WU5に中心周波数f1のキャリア及びスロットS2を用いた音声接続が通知されると、無線処理部WU5とマイク子機2C1との間で、中心周波数f1のキャリアかつスロットS2を用いた音声通信が開始される(T67)。音声通信が開始されると、親機3は、無線処理部WU5で受信した音声信号をスピーカ29で再生することもできるし、又は、ミキサー受信機8に出力する。ミキサー受信機8は、無線処理部WU5で受信した音声信号と、他の無線処理部で受信した音声信号とを合成して音声合成された音声信号を出力する。
一方、マイク子機2Cmは、例えばユーザ操作による電源オンで起動すると(T68)、無線処理部WU1からの制御情報J4を受信する。起動後、マイク子機2Cmは、無線処理部WU1との間で通信を行うための同期を確立する。マイク子機2Cmは、受信された制御情報J4を基に、使用可能な中心周波数fx2のキャリアとスロットSy2(例えば、DECT通信においては、x1は1〜6の整数のいずれか、y1は1〜12の整数のいずれか)を用いて、例えばfx2(x2=6)かつスロットSy2(y2=6)を用いて無線処理部WU1に対し音声接続を要求する(T69)。
無線処理部WU1は、マイク子機2Cmからの音声接続要求に応答する(T70)。無線処理部WU1は、親機制御部20を介して、サブ無線処理部(例えば無線処理部WUk)に対しマイク子機2Cmから要求された中心周波数f6のキャリア及びスロットS6を用いた音声接続を通知する(T71)。
無線処理部WUkに中心周波数f6のキャリア及びスロットS6を用いた音声接続が通知されると、無線処理部WUkとマイク子機2Cmとの間で、中心周波数f6のキャリアかつスロットS6を用いた音声通信が開始される(T72)。音声通信が開始されると、親機3は、無線処理部WUkで受信した音声信号をスピーカ29で再生することもできるし、又は、ミキサー受信機8に出力する。ミキサー受信機8は、無線処理部WUkで受信した音声信号と、他の無線処理部で受信した音声信号とを合成して音声合成された音声信号を出力する。
その後、マイク子機2C1は、例えばユーザ操作による電源オフになると(T73)、無線処理部WU1に対し音声切断を要求する(T74)。無線処理部WU1は、マイク子機2C1からの音声切断に応答する(T75)。無線処理部WU1は、親機制御部20を介して、無線処理部WU5に対し中心周波数f1のキャリア及びスロットS2を用いた音声切断を通知する(T76)。無線処理部WU5は、マイク子機2C1との音声通信を切断する(T77)。
また、マイク子機2Cmは、例えばユーザ操作による電源オフになると(T78)、無線処理部WU1に対し音声切断を要求する(T79)。無線処理部WU1は、マイク子機2Cmからの音声切断に応答する(T80)。さらに、無線処理部WU1は、親機制御部20を介して、無線処理部WUkに対し中心周波数f6のキャリア及びスロットS6を用いた音声切断を通知する(T81)。無線処理部WUkは、無線処理部WU1から音声切断の通知を受けると、マイク子機2Cmとの音声通信を切断する(T82)。
マイク子機2C1,2Cmとの間で音声が切断されると、無線処理部WU1は、手順T61と同様、制御情報の報知を継続する(T83)。以後、同様の動作が行われる。
図18は、親機3におけるメイン無線処理部の無線制御部の動作手順の一例を示すフローチャートである。図17と同様に、メイン無線処理部を無線処理部WU1とし、サブ無線処理部を無線処理部WU2〜WUkとして説明する。メイン無線処理部に対応する無線制御部311は、DECT通信の1フレーム期間毎又は数フレーム期間毎に、上述した制御情報J4を全てのマイク子機2に報知する(ST51)。制御情報J4の報知後、無線制御部311は、いずれかのマイク子機2から音声接続要求があったか否かを判別する(ST52)。接続要求が無い場合(ST52、NO)、無線制御部311の処理はステップST51に戻り、無線制御部311は、例えば、DECT通信の次の1フレーム期間において、制御情報J4を再度報知する。
一方、無線制御部311は、いずれかのマイク子機2から音声接続要求があった場合(ST52、YES)、制御情報J4を基に、そのマイク子機2が要求するキャリア及びスロットを用いてサブ無線処理部(例えば無線処理部WU2)が音声接続可能であるか否かを判別する(ST53)。音声接続できない場合(ST53、NO)、無線制御部311は、他のサブ無線処理部(例えば無線処理部WU3)で音声接続可能であるか否かを判別する(ST54)。そのサブ無線処理部で音声接続できない場合(ST53、NO)、無線制御部311は、同様の判別処理を繰り返し、最後のサブ無線処理部WUkで音声接続可能であるか否かを判別する(ST55)。
最後のサブ無線処理部(例えば無線処理部WUk)で音声接続できない場合(ST55、NO)、無線制御部311は、マイク子機2に対し音声接続拒否を応答する(ST56)。この後、無線制御部311の処理はステップST52に戻る。
一方、サブ無線処理部(例えば無線処理部WU2)が音声接続可能である場合(ST53、YES)、無線制御部311は、そのサブ無線処理部に対し、マイク子機2が要求するキャリア及びスロットを通知する(ST57)。無線制御部311は、そのマイク子機2に対し音声接続を応答する(ST60)。これにより、サブ無線処理部(例えば無線処理部WU2)とマイク子機2の間で音声通信が開始される。
また、サブ無線処理部(例えば無線処理部WU3)が音声接続可能である場合(ST54、YES)、無線制御部311は、そのサブ無線処理部に対し、マイク子機2が要求するキャリア及びスロットを通知する(ST58)。無線制御部311は、そのマイク子機2に対し音声接続を応答する(ST60)。これにより、サブ無線処理部(例えば無線処理部WU3)とマイク子機2の間で音声通信が開始される。
同様に、サブ無線処理部(例えば無線処理部WUk)が音声接続可能である場合(ST55、YES)、無線制御部311は、そのサブ無線処理部に対し、マイク子機2が要求するキャリア及びスロットを通知する(ST59)。無線制御部311は、そのマイク子機2に対し音声接続を応答する(ST60)。これにより、サブ無線処理部(例えば無線処理部WUk)とマイク子機2の間で音声通信が開始される。
その後、無線処理部WU1は、音声通信が開始されたマイク子機2からキャリア及びスロットの音声切断要求があったか否かを判別する(ST61)。音声切断要求が無い場合(ST61、NO)、メイン無線処理部(例えば無線処理部WU1)は、ステップST61の処理を繰り返す。また、マイク子機2から音声切断要求があった場合(ST61、YES)、無線制御部311は、サブ無線処理部(例えば無線処理部WU2)による音声通信が行われていたか否かを判別する(ST62)。そのサブ無線処理部による音声通信が行われていた場合(ST62、YES)、無線制御部311は、そのサブ無線処理部に対し、マイク子機2との音声通信切断を通知する(ST63)。無線処理部WU1は、マイク子機2に対し音声切断を応答する(ST64)。この後、無線処理部WU2の無線制御部312は、マイク子機2との音声通信を切断する。
一方、サブ無線処理部WU2による音声通信が行われていない場合(ST62、NO)、メイン無線処理部(例えば無線処理部WU1)は、他のサブ無線処理部(例えば無線処理部WU3)による音声通信が行われていたか否かを判別する(ST65)。そのサブ無線処理部による音声通信が行われていた場合(ST65、YES)、無線制御部311は、親機制御部20を介して、そのサブ無線処理部に音声切断を通知する(ST66)。無線制御部311は、マイク子機2に対し音声切断を応答する(ST64)。この後、無線処理部WU3の無線制御部313は、マイク子機2との間で音声通信を切断する。
また、サブ無線処理部WU3による音声通信が行われていない場合(ST65、NO)、メイン無線処理部は、ステップST62,ST65と同様の判別処理(つまり、他のサブ無線処理部による音声通信が行われていたかどうかの判別処理)を繰り返す。サブ無線処理部(つまり、無線処理部WU4〜WUk−1)のいずれにおいても音声通信が行われていない場合、無線制御部311は、親機制御部20を介して、サブ無線処理部WUkに音声切断を通知する(ST67)。無線制御部311は、マイク子機2に対し音声切断を応答する(ST64)。この後、無線処理部WUkの無線制御部31kは、マイク子機2との音声通信を切断する。
音声切断後、無線制御部311の処理はステップST51に戻り、無線制御部311は、例えば、DECT通信の次の1フレーム期間において、再び制御情報をフレーム間隔で報知する。
以上により、実施の形態3のワイヤレスマイクシステム5では、k個の無線処理部WUは、1個のメイン無線処理部(例えば無線処理部WU1)及び(k−1)個のサブ無線処理部(例えば無線処理部WU2〜WUk)を有する。親機制御部20は、1個の無線処理部WU1が1フレーム期間に通信可能なマイク子機2の数をゼロと設定し、さらに、(k−1)個のサブ無線処理部WU2〜WUkのそれぞれが1フレーム期間に通信可能なマイクの数を(n/2)と設定する。
これにより、親機3において、メイン無線処理部は、全てのマイク子機との無線制御に集中制御することができる。従って、親機3は、実施の形態1,2に比べて、マイク子機2との無線制御を必要とする無線処理部の数を更に減らすことができ、低コストで多重数を増加できる。また、更にメイン無線処理部が1つとなったことで、親機制御部20の一部機能をメイン無線処理部に持たせることにより、親機制御部20の機能が信号合成の処理機能に特化することによって、親機制御部20を安価なFPGA(Field Programmable Gate Array)などによって実現可能となり、より低コストで多重数を増加することが可能となる。
また、1個のメイン無線処理部WU1は、m個のうち該当するマイク子機2からの接続に関する信号の通信を行う。(k−1)個のサブ無線処理部(例えば、無線処理部WU2〜WUk)は、メイン無線処理部(例えば、無線処理部WU1)により、m個のうち該当するマイク子機2との音声通信の接続制御が行われた後、そのマイク子機2からの音声信号を受信する。これにより、無線処理部WU2〜WUkは、音声通信の接続制御を行わない分、通信チャネルに割り当てられるスロットを増やすことができる。これにより、同時に通信可能なマイク子機の数を増やすことができる。
また、1個のメイン無線処理部WU1は、m個のうち該当するマイク子機2からの切断に関する信号の通信を行う。(k−1)個のサブ無線処理部(例えば、無線処理部WU2〜WUk)は、メイン無線処理部(例えば、無線処理部WU1)により、m個のうち該当するマイク子機2との切断に関する信号の通信が行われた後、そのマイク子機2との音声通信を切断する。これにより、無線処理部WU2〜WUkは、音声通信の切断制御を行わない分、通信チャネルに割り当てられるスロットを増やすことができる。これにより、同時に通信可能なマイク子機の数を増やすことができる。
なお、実施の形態3では、親機3に含まれる全ての無線処理部WU1〜WUkを、1つのメイン無線処理部とその他のサブ無線処理部とに分けたが、メイン無線処理部の数は1つに限定されない。例えば、k個の無線処理部のうち、一部(例えば、2〜3個)のメイン無線処理部とその他の(例えば、(k−3)〜(k−2)個の)サブ無線処理部とに分けてもよい。
以上、図面を参照しながら各種の実施の形態について説明したが、本開示はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例、修正例、置換例、付加例、削除例、均等例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した各種の実施の形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
例えば、上述した実施の形態では、前述したように、DECT方式の無線通信の1フレーム期間において、前半(ダウンリンク用)のスロットS0〜S11に対し、キャリアかつスロット毎に無線処理部とマイク子機を通信チャネル及び制御チャネルに対応付けることを示した。後半(アップリンク用)のスロットS12〜S23に対しても、同様に、キャリアかつスロット毎に無線処理部とマイク子機を通信チャネルに対応付けてもよい。
また、上述した実施の形態では、各無線処理部WUは、親機制御部20から通信テーブル100を受け取り、通信テーブル100を基に接続可能なマイク子機を判断していたが、親機制御部20が通信テーブル100を基に全ての無線処理部WUと接続可能なマイク子機を判断してもよい。
また、上述した実施の形態では、通信方式として、周波数帯1.9GHzのDECTが用いられたが、この周波数帯及び通信規格に限らず、周波数帯2.4GHzの無線LAN等の通信方式が用いられてもよい。