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JPWO2018173435A1 - 熱可塑性樹脂組成物、成形体及び車両用部材 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物、成形体及び車両用部材 Download PDF

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JPWO2018173435A1
JPWO2018173435A1 JP2018508260A JP2018508260A JPWO2018173435A1 JP WO2018173435 A1 JPWO2018173435 A1 JP WO2018173435A1 JP 2018508260 A JP2018508260 A JP 2018508260A JP 2018508260 A JP2018508260 A JP 2018508260A JP WO2018173435 A1 JPWO2018173435 A1 JP WO2018173435A1
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治夫 植田
治夫 植田
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Mitsubishi Chemical Corp
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Abstract

成形体の耐傷付性、耐衝撃性に優れ、かつ、流動性に優れる熱可塑性樹脂組成物を提供する。本発明の熱可塑性樹脂組成物は、(メタ)アクリル樹脂(A)、シリコーン(B)、脂肪酸化合物(C)及び耐衝撃性改良剤(D)を含み、前記(メタ)アクリル樹脂(A)が、メチルメタクリレート由来の繰り返し単位を、該(メタ)アクリル樹脂(A)の総質量に対して80質量%以上含む。

Description

本発明は、熱可塑性樹脂組成物、成形体及び車両用部材に関する。
本願は、2017年3月21日に日本に出願された特願2017−53969、2017年6月14日に日本に出願された特願2017−116993、2017年10月5日に日本に出願された特願2017−194805、及び2017年12月21日に日本に出願された特願2017−244797に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
(メタ)アクリル樹脂は、その優れた外観、耐傷付性、耐薬品性から、洗面化粧台、浴槽、水洗便器等の住宅設備向け材料;建築材料;車両の内外装材料等の車両用部材等、多くの用途に広く用いられている。
(メタ)アクリル樹脂を上記用途に用いる場合、人や物との接触により製品に傷が付くことがあるため、(メタ)アクリル樹脂には、より優れた耐傷付性、耐衝撃性が求められている。また、最近では軽量化の観点から、成形体の耐傷付性と耐衝撃性を維持しつつ、成形体を薄厚化することが可能な、流動性に優れた(メタ)アクリル樹脂が求められている。
これらの課題を解決する方法として、例えば、特許文献1には、耐衝撃性改良剤とシロキサン化合物を含むアクリル樹脂組成物が開示されている。
特許文献2には、ゴム、エチレン・ビニル共重合体、脂肪酸アミド及びグラフト共重合体を含む表面物性改良剤を配合したアクリル樹脂組成物が開示されている。
特表2013−504680号公報 特開2015−131948号公報
特許文献1で開示されているアクリル樹脂組成物は、成形体の表面滑り性が十分でなく、成形体の耐傷付性に劣る。また、耐衝撃性改良剤を含むため、アクリル樹脂組成物の流動性が不十分である。
特許文献2で開示されているアクリル樹脂組成物は、耐スクラッチ性、流動性が不十分である。また、表面物性改良剤を構成する材料が多く含有されているため、成形体の耐衝撃性に劣り、アクリル樹脂の特徴である透明性が損なわれてしまう。
そこで、本発明の目的は、成形体の耐傷付性と耐衝撃性に優れ、かつ、流動性に優れる熱可塑性樹脂組成物を提供することにある。
前記課題は、以下の本発明によって解決される。
[1](メタ)アクリル樹脂(A)、シリコーン(B)、脂肪酸化合物(C)及び耐衝撃性改良剤(D)を含む熱可塑性樹脂組成物であって、
前記(メタ)アクリル樹脂(A)が、メチルメタクリレート由来の繰り返し単位を、該(メタ)アクリル樹脂(A)の総質量に対して80質量%以上含む、熱可塑性樹脂組成物。
[2]前記耐衝撃性改良剤(D)の含有量が、前記(メタ)アクリル樹脂(A)100質量部に対し、5質量部〜99質量部である、[1]に記載の熱可塑性樹脂組成物。
[3]前記シリコーン(B)の含有量が、前記(メタ)アクリル樹脂(A)100質量部に対し、0.1質量部〜10質量部である、[1]又は[2]に記載の熱可塑性樹脂組成物。
[4]前記シリコーン(B)が、少なくともシリコーンオイル又はシリコーンレジンのいずれかを含む、[1]〜[3]のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
[5]前記シリコーンオイルが、ジメチルシリコーン、メチルフェニルシリコーン及びメチルハイドロジェンシリコーンからなる群より選ばれる少なくとも1種を含む、[4]に記載の熱可塑性樹脂組成物。
[6]前記シリコーンオイルが有機変性シリコーンを含む、[4]又は[5]に記載の熱可塑性樹脂組成物。
[7]前記有機変性シリコーンが、ポリエステル変性シリコーンを含む、[6]に記載の熱可塑性樹脂組成物。
[8]前記ポリエステル変性シリコーンの含有量が、前記(メタ)アクリル樹脂(A)100質量部に対し、0.1質量部以上1.0質量部未満である、[7]に記載の熱可塑性樹脂組成物。
[9]前記ポリエステル変性シリコーンの含有量が、前記(メタ)アクリル樹脂(A)100質量部に対し、0.2質量部以上0.5質量部未満である、[8]に記載の熱可塑性樹脂組成物。
[10]前記脂肪酸化合物(C)が、脂肪酸アミドを含む、[1]〜[9]のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
[11]前記脂肪酸アミドが、不飽和脂肪酸アミドを含む、[10]に記載の熱可塑性樹脂組成物。
[12]前記シリコーン(B)が、ジメチルシリコーン及びポリエステル変性シリコーンを含み、前記脂肪酸化合物(C)が、脂肪酸アミドを含む、[1]〜[11]のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
[13]前記脂肪酸化合物(C)の含有量が、前記(メタ)アクリル樹脂(A)100質量部に対し、0.1質量部〜10質量部である、[1]〜[12]のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
[14][1]〜[13]のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物を成形してなる成形体。
[15][14]に記載の成形体を含む車両用部材。
[16]ヘッドランプカバー、リアランプカバー、ドアミラーカバー、フェンダミラーカバー、バイザー、フロントプロテクター、ピラーカバー、ライセンスガーニッシュ、フロントランプガーニッシュ、ピラーガーニッシュ、ナンバープレートガーニッシュ、フォグガーニッシュ、フロントグリル、リアグリル及びエンブレムのいずれかである、[15]に記載の車両用部材。
[17]透明又は半透明のヘッドランプカバー又はリアランプカバーと、前記ヘッドランプカバー又は前記リアランプカバーの外周又は外枠の少なくとも一部の領域に配設された、[1]〜[13]のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物を成形してなる成形体とを有する、[15]に記載の車両用部材。
[18]平台に設置した熱可塑性樹脂組成物の成形体からなる試験片について、学振型摩擦試験機(染色物摩擦堅牢度試験機)を用いて、前記試験片の射出成型時のゲート位置からMD方向(成型時の流れ方向)に、長さ20mm、幅20mmの平面形摩擦子にガーゼを重ねて装着した摩擦子(荷重250)が前記試験片の表面中央部を通過するように、距離100mmを50往復させることにより行われる耐傷付性試験による耐傷付性試験前後の前記試験片について、色彩計を用いてJIS Z 8722に記載の5(分光測色方法)に準拠して測定した、耐傷付性試験前の明度指数(L)が7以下、かつ、耐傷付性試験前後の明度指数(L)の差(ΔL)が2以下である、熱可塑性樹脂組成物の成形体を含む車両用部材。
[19]ヘッドランプカバー、リアランプカバー、ドアミラーカバー、フェンダミラーカバー、バイザー、フロントプロテクター、ピラーカバー、ライセンスガーニッシュ、フロントランプガーニッシュ、ピラーガーニッシュ、ナンバープレートガーニッシュ、フォグガーニッシュ、フロントグリル、リアグリル、又はエンブレムのいずれかである、[18]に記載の車両用部材。
本発明により、高い耐傷付性と耐衝撃性を有する成形体を得ることができ、かつ、流動性に優れる熱可塑性樹脂組成物、及び高い耐傷付性と耐衝撃性を有する成形体を安定に提供することができる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物及び成形体は、車両用部材、住宅設備向け材料、建築材料等の内外装材料等の用途に好適である。
本発明の成形体の評価に用いる耐傷付性試験の概要を説明する模式図である。なお、図中の矢印は、実施例における射出成型時のゲート位置からのMD方向(成型時の流れ方向)を示す。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明において、「(メタ)アクリレート」は、「アクリレート」及び「メタクリレート」から選ばれる少なくとも1種を意味し、「(メタ)アクリル酸」は、「アクリル酸」及び「メタクリル酸」から選ばれる少なくとも1種を意味する。
本発明において、「単量体」は未重合の化合物を意味し、「繰り返し単位」は単量体が重合することによって形成された前記単量体に由来する単位を意味する。繰り返し単位は、重合反応によって直接形成された単位であってもよく、ポリマーを処理することによって前記単位の一部が別の構造に変換された単位であってもよい。
本発明において、「質量%」は全体量100質量%中に含まれる所定の成分の含有量を示す。
特に断らない限り、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載された数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味し、「A〜B」は、A以上B以下であることを意味する。
[熱可塑性樹脂組成物]
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、後述する(メタ)アクリル樹脂(A)、後述するシリコーン(B)、後述する脂肪酸化合物(C)及び後述する耐衝撃性改良剤(D)を含む樹脂組成物である。
(メタ)アクリル樹脂(A)、シリコーン(B)、脂肪酸化合物(C)及び耐衝撃性改良剤(D)を含むことにより、熱可塑性樹脂組成物の流動性が良好となり、熱可塑性樹脂組成物を成形した成形体の耐傷付性と耐衝撃性のバランスが優れた熱可塑性樹脂組成物となる。
その理由は定かではないが、(メタ)アクリル樹脂(A)、シリコーン(B)、脂肪酸化合物(C)の相互作用により、耐衝撃性改良剤(D)が、熱可塑性樹脂組成物中に均一に分散することで、熱可塑性樹脂組成物の流動性と成形体の耐衝撃性のバランスが良好になると推察される。さらに、(メタ)アクリル樹脂(A)と、シリコーン(B)及び脂肪酸化合物(C)との相互作用により、成形体の表面の摩擦係数が小さくなることに加え、熱可塑性樹脂組成物の弾性が高まり、成形体が衝撃物に接触した場合に、成形体の表面が可塑的に変形したり、接触した部分が欠損したりしにくくなるので、成形体の耐傷付性が良好になるものと推察される。
<(メタ)アクリル樹脂(A)>
(メタ)アクリル樹脂(A)は、本発明の熱可塑性樹脂組成物の構成成分の1つである。
本発明における(メタ)アクリル樹脂(A)は、メチルメタクリレート由来の繰り返し単位を、該(メタ)アクリル樹脂(A)の総質量に対して80質量%以上含む。
本発明における(メタ)アクリル樹脂(A)の一実施形態としては、メチルメタクリレートの単独重合体であるか、又は、(メタ)アクリル樹脂(A)に占めるメチルメタクリレート由来の繰り返し単位の含有割合が80質量%以上100質量%未満であるメチルメタクリレート共重合体(以下、「重合体(A1)」とも言う。)を挙げることができる。
<重合体(A1)>
重合体(A1)は、メチルメタクリレートの単独重合体、又は、80質量%以上100質量%未満のメチルメタクリレート由来の繰り返し単位と、0質量%を超え20質量%以下の他の単量体由来の繰り返し単位とを含有するメチルメタクリレート共重合体である。
(メタ)アクリル樹脂(A)は、重合体(A1)を1種又は2種以上含むことが好ましく、より好ましくは重合体(A1)を主成分とし、特に好ましくは重合体(A1)のみからなる。
これらの重合体(A1)の中でも、(メタ)アクリル樹脂本来の性能を損ないにくいことから、メチルメタクリレート由来の繰り返し単位を、重合体(A1)に占めるメチルメタクリレート由来の繰り返し単位の含有割合が90質量%以上の共重合体若しくはメチルメタクリレートの単独重合体が好ましく、重合体(A1)に占めるメチルメタクリレート由来の繰り返し単位の含有割合が95質量%以上の共重合体若しくはメチルメタクリレートの単独重合体がより好ましい。
他の単量体としては、メチルメタクリレートと共重合可能な単量体であれば特に制限されないが、例えば、以下のa)〜h)が挙げられる。
a)メチルアクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、iso−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、テトラシクロドデカニル(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシメチル−2−メチルビシクロヘプタン、4−(メタ)アクリロイルオキシメチル−2−メチル−2−エチル−1,3−ジオキソラン、4−(メタ)アクリロイルオキシメチル−2−メチル−2−イソブチル−1,3−ジオキソラン等の、メチルメタクリレート以外の(メタ)アクリレート化合物;
b)(メタ)アクリル酸;
c)(メタ)アクリロニトリル;
d)(メタ)アクリルアミド、N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、メチレンビス(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド化合物;
e)スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物;
f)ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル等のビニルエーテル化合物;
g)酢酸ビニル、酪酸ビニル等のカルボン酸ビニル化合物;
h)エチレン、プロピレン、ブテン、イソブテン等のオレフィン化合物。
これらの他の単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの他の単量体の中でも、(メタ)アクリル樹脂本来の性能を損ないにくいことから、メチルメタクリレート以外の(メタ)アクリレート化合物が好ましく、成形体の耐熱分解性に優れる傾向にあることから、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレートがより好ましく、メチルアクリレート、エチルアクリレートがさらに好ましい。
重合体(A1)に他の単量体由来の繰り返し単位が含まれる場合、重合体(A1)100質量%に占める他の単量体由来の繰り返し単位の含有割合は、(メタ)アクリル樹脂本来の性能を損ないにくいことから、0質量%を超えて20質量%以下が好ましく、0質量%を超えて10質量%以下がより好ましく、0質量%を超えて5質量%以下がさらに好ましい。
なお、上述したように、他の単量体由来の繰り返し単位を含まない、メチルメタクリレートの単独重合体を重合体(A1)として用いることもできる。
重合体(A1)の製造方法としては、例えば、塊状重合法、懸濁重合法、乳化重合法、溶液重合法等が挙げられる。これらの重合方法の中でも、生産性に優れる傾向にあることから、重合体(A1)は、塊状重合法、懸濁重合法によって製造されることが好ましく、塊状重合によって製造されることがより好ましい。
重合体(A1)の質量平均分子量は、20,000〜200,000が好ましく、50,000〜150,000がより好ましい。
重合体(A1)の質量平均分子量が前記下限値以上であると、成形体の機械特性に優れる傾向にあり、前記上限値以下であると、溶融成形時の流動性に優れる傾向にある。重合体(A1)の質量平均分子量の下限値は、50,000以上がより好ましい。また、重合体(A1)の質量平均分子量の上限値は、150,000がより好ましい。
なお、本明細書において、質量平均分子量は、標準試料として標準ポリスチレンを用い、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを用いて測定した値とする。
本発明の熱可塑性樹脂組成物の全体の質量(100質量%)に占める(メタ)アクリル樹脂(A)の含有量は、55質量%以上99質量%以下が好ましい。前記下限値は70質量%がより好ましく、90質量%がさらに好ましい。また、前記上限値は98質量%がより好ましく、97質量%がさらに好ましい。すなわち、本発明の熱可塑性樹脂組成物の全体の質量(100質量%)に占める(メタ)アクリル樹脂(A)の含有量は、70質量%以上98質量%以下がより好ましく、90質量%以上97質量%以下がさらに好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物の全体の質量(100質量%)に占める(メタ)アクリル樹脂(A)の含有量が前記下限値以上であれば、本発明の熱可塑性樹脂組成物を成形した成形体が、透明性、耐熱性及び耐侯性等のアクリル樹脂本来の性能を損ないにくく、前記上限値以下であれば、本発明の熱可塑性樹脂組成物を成形した成形体の耐傷付性に優れる傾向にある。
<耐衝撃性改良剤(D)>
耐衝撃性改良剤(D)は、本発明の熱可塑性樹脂組成物の構成成分の1つである。
本発明の熱可塑性樹脂組成物が耐衝撃性改良剤(D)を含むことにより、本発明の熱可塑性樹脂組成物を成形した成形体の耐衝撃性は優れたものになる。
耐衝撃性改良剤(D)は、特に限定されるものではなく、公知の耐衝撃性改良剤を用いることができる。
(メタ)アクリル樹脂(A)の耐衝撃性を改良するためには、耐衝撃性改良剤(D)としては、メタクリル酸アルキルエステル、アクリル酸アルキルエステル、芳香族ビニル化合物、アクリロニトリル、メタクリロニトリル又はブタジエンのいずれか一種以上の単量体由来の繰り返し単位を合計で5質量%以上、特に10質量%以上含む耐衝撃性改良剤であることが好ましい。
高度な透明性、耐候性を必要とする用途には、耐衝撃性改良剤(D)としては、メタクリル酸アルキルエステル、アクリル酸アルキルエステル及び芳香族ビニル化合物から選ばれる少なくとも一種の単量体由来の繰り返し単位を合計で10質量%以上含む耐衝撃性改良剤であることが好ましく、12質量%以上含む耐衝撃性改良剤であることがより好ましい。
耐衝撃性改良剤(D)を構成する単量体由来の繰り返し単位の構造を定性・定量する方法は、特に限定されるものではない。例えば、本発明の熱可塑性樹脂組成物を可溶溶媒に溶解したときに、耐衝撃性改良剤(D)が溶解する場合は、分取クロマトグラフィー法により耐衝撃性改良剤(D)を分取した後に、核磁気共鳴スペクトル法等の公知の分析方法を用いて定性・定量することができる。或いは又、耐衝撃性改良剤(D)が溶解しない場合は、耐衝撃性改良剤(D)を濾過して回収した後に、熱分解核磁気共鳴スペクトル法等の公知の分析方法を用いて定性・定量することができる。
また、(メタ)アクリル樹脂(A)との相溶性に優れ、本発明の熱可塑性樹脂組成物を成形した成形体の耐衝撃性に優れる傾向にあることから、ゴム弾性層である内層と硬質層である外層とを含む微粒子であることが好ましく、炭素数2〜8のアルキル基を含むアルキルアクリレート(以下、単に「炭素数2〜8のアルキルアクリレート」と言う。)由来の繰り返し単位を含むゴム弾性層である内層と硬質層である外層とを含む微粒子であることがより好ましい。
内層は、炭素数2〜8のアルキルアクリレート由来の繰り返し単位を含むゴム弾性層であることが好ましい。
ゴム弾性層に用いる炭素数2〜8のアルキルアクリレートの単独重合体のガラス転移温度は、−80℃〜25℃が好ましく、−60℃〜10℃がより好ましい。
ゴム弾性層に用いる炭素数2〜8のアルキルアクリレートの単独重合体のガラス転移温度が前記下限値以上であると、生産性に優れる傾向にあり、前記上限値以下であると、成形体の低温での耐衝撃性に優れる傾向にある。ゴム弾性層に用いる炭素数2〜8のアルキルアクリレートの単独重合体のガラス転移温度の下限値は、−60℃がより好ましい。また、ゴム弾性層に用いる炭素数2〜8のアルキルアクリレートの単独重合体のガラス転移温度の上限値は、10℃がより好ましい。
なお、本明細書において、ガラス転移温度は、ISO 3146に準拠し、熱流束示差走査熱量測定で測定した値とする。
内層を構成するための単量体単位の組成比は、本発明の熱可塑性樹脂組成物を成形した成形体の耐衝撃性に優れる傾向にあることから、内層を構成する全単量体の合計の質量(100質量%)に対して、炭素数2〜8のアルキルアクリレート由来の繰り返し単位の合計の含有割合が40質量%〜88.9質量%、炭素数2〜8のアルキルアクリレート以外の非架橋性単量体由来の繰り返し単位の合計の含有割合が10質量%〜58.9質量%、架橋性単量体由来の繰り返し単位の合計の含有割合が0質量%〜10質量%、グラフト交叉剤の合計の含有割合が0.1質量%〜10質量%であることが好ましく;炭素数2〜8のアルキルアクリレート由来の繰り返し単位の合計の含有割合が60質量%〜84.8質量%、炭素数2〜8のアルキルアクリレート以外の非架橋性単量体由来の繰り返し単位の合計の含有割合が15質量%〜38.8質量%、架橋性単量体由来の繰り返し単位の合計の含有割合が0質量%〜5質量%、グラフト交叉剤の合計の含有割合が0.2質量%〜5質量%であることがより好ましい。
炭素数2〜8のアルキルアクリレートとしては、例えば、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、iso−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、iso−ブチルアクリレート、sec−ブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等が挙げられる。
これらの炭素数2〜8のアルキルアクリレートは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの炭素数2〜8のアルキルアクリレートの中でも、成形体の耐衝撃性に優れる傾向にあることから、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレートが好ましく、n−ブチルアクリレートがより好ましい。
炭素数2〜8のアルキルアクリレート以外の非架橋性単量体としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、iso−プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、iso−ブチルメタクリレート、sec−ブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシメチル−2−メチルビシクロヘプタン、4−(メタ)アクリロイルオキシメチル−2−メチル−2−エチル−1,3−ジオキソラン、4−(メタ)アクリロイルオキシメチル−2−メチル−2−イソブチル−1,3−ジオキソラン等の炭素数2〜8のアルキルアクリレート以外の(メタ)アクリレート化合物;(メタ)アクリル酸;(メタ)アクリロニトリル;(メタ)アクリルアミド、N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、メチレンビス(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド化合物;スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル等のビニルエーテル化合物;酢酸ビニル、酪酸ビニル等のカルボン酸ビニル化合物;エチレン、プロピレン、ブテン、イソブテン等のオレフィン化合物等が挙げられる。
これらの炭素数2〜8のアルキルアクリレート以外の非架橋性単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの炭素数2〜8のアルキルアクリレート以外の非架橋性単量体の中でも、成形体の外観に優れる傾向にあることから、炭素数2〜8のアルキルアクリレート以外の(メタ)アクリレート化合物、芳香族ビニル化合物が好ましく、メチルメタクリレート、スチレンがより好ましい。
架橋性単量体は、反応性が同等である複数の重合性二重結合を有する単量体であり、例えば、1,3−ブチレンジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これらの架橋性単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの架橋性単量体の中でも、炭素数2〜8のアルキルアクリレートとの共重合性に優れる傾向にあることから、1,3−ブチレンジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレートが好ましく、1,3−ブチレンジ(メタ)アクリレートがより好ましい。
グラフト交叉剤は、反応性が異なる複数の重合性二重結合を有する単量体であり、例えば、アリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これらのグラフト交叉剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらのグラフト交叉剤の中でも、炭素数2〜8のアルキルアクリレートとの共重合性に優れる傾向にあることから、アリル(メタ)アクリレートが好ましく、アリルメタクリレートがより好ましい。
内層は、単層であっても、多層であってもよいが、生産性に優れる傾向にあることから、1〜3層が好ましく、1又は2層がより好ましい。
外層は、硬質層であることが好ましく、ガラス転移温度を有する材質からなる硬質層であることがより好ましい。外層がガラス転移温度を有する材質からなる硬質層である場合、硬質層のガラス転移温度は、50〜200℃が好ましく、60℃〜150℃がより好ましい。
硬質層のガラス転移温度が前記下限値以上であると、成形体の外観に優れる傾向にあり、前記上限値以下であると、成形体の耐衝撃性に優れる傾向にある。硬質層のガラス転移温度の下限値は、60℃がより好ましい。また、硬質層のガラス転移温度の上限値は、150℃がより好ましい。
外層を構成するための単量体単位の組成比は、本発明の熱可塑性樹脂組成物を成形した成形体の外観に優れる傾向にあることから、外層を構成する全単量体の合計の質量(100質量%)に対して、炭素数が1〜4のアルキル基を含むアルキル(メタ)アクリレート(以下、単に「炭素数1〜4のアルキルアクリレート」と言う。)の合計の含有割合が50質量%〜100質量%、炭素数が1〜4のアルキル(メタ)アクリレート以外の単量体の合計の含有割合が0質量%〜50質量%が好ましく;炭素数が1〜4のアルキル(メタ)アクリレートの合計の含有割合が70質量%〜100質量%、炭素数が1〜4のアルキル(メタ)アクリレート以外の単量体の合計の含有割合が0質量%〜30質量%がより好ましい。
炭素数が1〜4のアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、iso−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これらの炭素数が1〜4のアルキル(メタ)アクリレートは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの炭素数が1〜4のアルキル(メタ)アクリレートの中でも、成形体の外観に優れる傾向にあることから、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレートが好ましく、メチル(メタ)アクリレートがより好ましい。
炭素数が1〜4のアルキル(メタ)アクリレート以外の単量体としては、例えば、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシメチル−2−メチルビシクロヘプタン、4−(メタ)アクリロイルオキシメチル−2−メチル−2−エチル−1,3−ジオキソラン、4−(メタ)アクリロイルオキシメチル−2−メチル−2−イソブチル−1,3−ジオキソラン等の炭素数が1〜4のアルキル(メタ)アクリレート以外の(メタ)アクリレート化合物;(メタ)アクリル酸;(メタ)アクリロニトリル;(メタ)アクリルアミド、N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、メチレンビス(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド化合物;スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル等のビニルエーテル化合物;酢酸ビニル、酪酸ビニル等のカルボン酸ビニル化合物;エチレン、プロピレン、ブテン、イソブテン等のオレフィン化合物等が挙げられる。
これらの炭素数が1〜4のアルキル(メタ)アクリレート以外の単量体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの炭素数が1〜4のアルキル(メタ)アクリレート以外の単量体の中でも、炭素数が1〜4のアルキル(メタ)アクリレートとの共重合性に優れる傾向にあることから、炭素数が1〜4のアルキル(メタ)アクリレート以外の(メタ)アクリレート化合物が好ましく、炭素数が1〜4のアルキル(メタ)アクリレート以外のアルキル(メタ)アクリレート化合物がより好ましい。
外層は、単層であっても、多層であってもよいが、生産性に優れることから、1〜3層が好ましく、1又は2層がより好ましい。
内層と外層の質量比は、内層と外層との合計の質量(100質量%)に対して、内層の質量の割合が20質量%〜80質量%、外層の質量の割合が20質量%〜80質量%が好ましく;内層の質量の割合が50質量%〜70質量%、外層の質量の割合が30質量%〜50質量%がより好ましい。
内層と外層との合計の質量(100質量%)のうち、内層の質量の割合が前記下限値以上であり、外層の質量の割合が前記上限値以下であると、本発明の熱可塑性樹脂組成物を成形した成形体の耐衝撃性に優れる傾向にあり、内層の質量の割合が前記上限値以下であり、外層の質量の割合が前記下限値以上であると、(メタ)アクリル樹脂(A)との相溶性に優れる傾向にある。
ゴム弾性層である内層と硬質層である外層とを含む微粒子の製造方法としては公知の方法を採用することができ、例えば、懸濁重合法、乳化重合法等が挙げられる。
これらのゴム弾性層である内層と硬質層である外層とを含む微粒子の製造方法の中でも、生産性に優れる傾向にあることから、乳化重合法が好ましい。
乳化重合で用いる乳化剤としては、公知の乳化剤を採用することができ、例えば、モノ−n−ドデシルオキシテトラオキシエチレンリン酸ナトリウム(以下、「乳化剤E」とも言う。)、
ジ−n−ドデシルオキシテトラオキシエチレンリン酸ナトリウム(以下、「乳化剤F」とも言う。)、
乳化剤Eと乳化剤Fの1:1(質量比)の混合物(以下、「乳化剤G」とも言う。)、
乳化剤Eと乳化剤Fとドデシルオキシトリオキシエチレンオキシエタノールの1:1:0.2(質量比)の混合物(以下、「乳化剤H」とも言う。)、
モノ−n−ドデシルオキシヘキサオキシエチレンリン酸ナトリウム(以下、「乳化剤I」とも言う。)、
ジ−n−ドデシルオキシヘキサオキシエチレンリン酸ナトリウム(以下、「乳化剤J」とも言う。)、
乳化剤Iと乳化剤Jとドデシルオキシペンタオキシエチレンオキシエタノールの1:0.3:0.3(質量比)の混合物(以下、「乳化剤K」とも言う。)、
モノ−イソトリデシルオキシヘキサオキシエチレンリン酸ナトリウム(以下、「乳化剤L」とも言う。)、
ジ−イソトリデシルオキシヘキサオキシエチレンリン酸ナトリウム(以下、「乳化剤M」とも言う。)、
乳化剤Lと乳化剤Mとイソトリデシルオキシペンタオキシエチレンオキシエタノールの1:1:0.2(質量比)の混合物(以下、「乳化剤N」とも言う。)、
乳化剤Lと乳化剤Mとイソトリデシルオキシペンタオキシエチレンオキシエタノールの1:1:0.1(質量比)の混合物(以下、「乳化剤O」とも言う。)、
乳化剤Lと乳化剤Mとイソトリデシルオキシペンタオキシエチレンオキシエタノールの1:1.5:0.05(質量比)の混合物(以下、「乳化剤P」とも言う。)、
乳化剤Lと乳化剤Mとイソトリデシルオキシペンタオキシエチレンオキシエタノールの1:0.4:0.4(質量比)の混合物(以下、「乳化剤Q」とも言う。)、
モノ−n−ドデシルオキシペンタオキシエチレンリン酸カリウム、ジ−n−ドデシルオキシペンタオキシエチレンリン酸カリウムとn−ドデシルオキシテトラオキシエチレンオキシエタノールの1:3:1(質量比)の混合物)(以下、「乳化剤R」とも言う。)、等が挙げられる。
乳化重合における単量体等の添加方法としては、例えば、一括添加法、分割添加法、連続添加法等が挙げられる。
これらの添加方法は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの添加方法の中でも、耐衝撃性改良剤の品質に優れる傾向にあることから、分割添加法が好ましい。
ゴム弾性層である内層と硬質層である外層とを含む微粒子の質量平均粒子径は、10nm〜1000nmが好ましく、50nm〜500nmがより好ましい。
ゴム弾性層である内層と硬質層である外層とを含む微粒子の質量平均粒子径が前記下限値以上であると、成形体の耐衝撃性に優れる傾向にあり、前記上限値以下であると、成形体の耐薬品性に優れる傾向にある。
なお、本明細書において、質量平均粒子径は、キャピラリー・ハイドロ・ダイナミック・フロー・フラクショネーションで測定した値とする。
ゴム弾性層である内層と硬質層である外層とを含む微粒子の紛体化方法としては、公知の方法を採用することができ、例えば、凝固法、噴霧乾燥法等が挙げられる。
これらの紛体化方法の中でも、耐衝撃性改良剤の品質に優れる傾向にあることから、凝固法が好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物に含まれる、(メタ)アクリル樹脂(A)の質量(100質量部)に対する耐衝撃性改良剤(D)の含有量は、5質量部〜99質量部が好ましく、8質量部〜50質量部がより好ましい。
(メタ)アクリル樹脂(A)100質量部に対する耐衝撃性改良剤(D)の含有量が前記上限値以下であると、(メタ)アクリル樹脂本来の性能を損ないにくく、前記下限値以上であると、成形体の耐衝撃性に優れる傾向にある。耐衝撃性改良剤(D)の含有量の下限値は、8質量部がより好ましい。また、耐衝撃性改良剤(D)の含有量の上限値は、50質量部がより好ましい。
<シリコーン(B)>
シリコーン(B)は、本発明の熱可塑性樹脂組成物の構成成分の1つである。
本発明の熱可塑性樹脂組成物がシリコーン(B)を含むことにより、本発明の熱可塑性樹脂組成物を成形した成形体の耐傷付性は優れたものになる。
特に、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、シリコーン(B)と後述する脂肪酸化合物(C)を併用することにより、その両化合物が有する耐擦傷性向上効果が相まって、脂肪酸化合物(C)の含有量を増量することなく、得られる成形体の耐傷付性をさらに良好なものにできるので、透明性、耐熱性及び耐侯性等の(メタ)アクリル樹脂本来の性能を損ないにくい。
さらに、シリコーン(B)と脂肪酸化合物(C)を併用することで、成形体の耐傷付性を良好としつつ、熱可塑性樹脂組成物の流動性を良好にできるので、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、薄厚の成形体の製造に好適である。
本発明において、シリコーン(B)としては、本発明の熱可塑性樹脂組成物を成形した成形体の耐傷付性を優れたものにしやすいとの観点から、シロキサン結合に有機基がついたポリオルガノシロキサンを主成分とする重合体を含むシリコーンであれば、特に限定されるものではない。
シリコーン(B)は、少なくともシリコーンオイル又はシリコーンレジンのいずれかを含むことが、本発明の熱可塑性樹脂組成物を成形した成形体の耐傷付性を改善しやすいため好ましい。
シリコーンオイルは、2官能性シロキサン単位を主骨格とする直鎖構造を有する重合体である。分子量としては2000以下である重合体が好ましい。
シリコーンオイルは未変性シリコーンオイルであってもよいし、変性シリコーンオイルであってもよい。
未変性シリコーンオイルとしては、例えばジメチルシリコーン、メチルフェニルシリコーン、メチルハイドロジェンシリコーン等が挙げられる。
変性シリコーンオイルとしては、有機変性シリコーンが挙げられる。有機変性シリコーンとしては、反応性の有機変性シリコーン及び非反応性の有機変性シリコーンが挙げられる。
これらのシリコーンオイルの中でも、成形体の耐傷付性に優れる傾向にあることから、ある態様としては、ジメチルシリコーン、メチルフェニルシリコーン、及びメチルハイドロジェンシリコーンからなる群より選ばれる少なくとも1種を含むシリコーンオイルが好ましく、別の態様としては、有機変性シリコーンを含むシリコーンオイルが好ましい。
有機変性シリコーンは、アクリル樹脂(A)との相溶性に優れているので、有機変性シリコーンを含む熱可塑性樹脂組成物の流動性が良好となり、前記熱可塑性樹脂組成物を成形した成形体の耐傷付性と耐衝撃性が優れたものになることから好ましい。
ジメチルシリコーン、メチルフェニルシリコーン、メチルハイドロジェンシリコーン、有機変性シリコーンとしては、市販品を使用することができる。
反応性の有機変性シリコーンとしては、アミノ変性、エポキシ変性、カルビノール変性、メルカプト変性、カルボキシル変性、メタクリル変性、ポリエーテル変性、フェノール変性、シラノール変性、アクリル変性、カルボン酸無水物変性、ジオール変性、側鎖アミノ・両末端メトキシ変性シリコーンオイルなどがあり、それぞれの有機基が側鎖型、両末端型、片末端側、側鎖両末端型の置換をされた有機変性シリコーンが挙げられる。
非反応性の有機変性シリコーンとしては、ポリエーテル変性、アラルキル変性、フロロアルキル変性、長鎖アルキル変性、長鎖アルキル・アラルキル変性、脂肪酸エステル変性、脂肪酸アミド変性、フェニル変性、ポリエーテル・メトキシ変性、ポリエステル変性シリコーンなどがあり、それぞれの有機基が側鎖型、両末端型の置換をされた有機変性シリコーンが挙げられる。
これらの有機変性シリコーンの中でも、(メタ)アクリル樹脂(A)との相溶性、熱可塑性樹脂組成物の流動性、及び、本発明の熱可塑性樹脂組成物を成形した成形体の耐傷付性と耐衝撃性に優れる傾向にあることから、ポリエステル変性シリコーンを含む有機変性シリコーンが好ましい。
ポリエステル変性シリコーンとは、ポリジメチルシロキサン(PDMS)の側鎖に飽和ポリエステル基が付加したシリコーン化合物をいう。
ポリエステル変性シリコーンとしては、例えば、エボニック社製のTEGOMER H−Si6441P、TEGOMER H−Si6440P及びTEGOPREN 6846等の市販品を使用することができる。
シリコーンレジンは、3官能性シロキサン単位又は4官能性シロキサン単位を主成分とする3次元網目構造のシリコーン、あるいは直鎖構造を有する比較的分子量の大きなシリコーンであり、例えば、固形シリコーンレジン(固形分100%)、無溶剤の液状シリコーンレジン、他のポリマーと固形又は液状シリコーンを混練混合(ブレンド)したタイプの有機変性シリコーンレジン、シリコーンに他の官能基を付加又は他のポリマーを共重合させたタイプの有機変性シリコーンレジンなどが挙げられる。また、分子量が1000以下のシリコーンオリゴマーなどが挙げられる。
固形シリコーンレジンとしてはメチルシリコーンレジン、メチルフェニルシリコーンレジン、エポキシ樹脂変性シリコーンレジン、アルキッド樹脂変性シリコーンレジン、ポリエステル樹脂変性シリコーンレジンなどが挙げられる。また、これらをトルエン、キシレン、イソプロピルアルコール等の溶剤に分散させた溶剤分散タイプのシリコーンレジンがある。
無溶剤の液状シリコーンレジンとしてはメチルシリコーンレジン、メチルフェニルシリコーンレジン、エポキシ樹脂変性シリコーンレジン、アルキッド樹脂変性シリコーンレジン、ポリエステル樹脂変性シリコーンレジン、(メタ)アクリル樹脂変性シリコーンレジンなどが挙げられる。
他のポリマーと固形又は液状シリコーンを混練混合(ブレンド)した有機変性シリコーンレジンにおける他のポリマーとしてはポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、6ポリアミド、66ポリアミド、ハイインパクトポリスチレン、ポリアセタール、ABS、ポリカーボネート、ポリブチレンテレフタレート、フッ素(テフロン(登録商標))などが挙げられる。
シリコーンに他の官能基を付加又は他のポリマー成分を共重合させた有機変性シリコーンレジンにおける他のポリマー成分としてはポリプロピレン、ポリエチレン、エチレンエチルアクリレート、エチレンエチルメタアクリレート、エチレン酢酸ビニル共重合体、アクリルニトリルスチレン共重合体、飽和ポリエステル、ポリスチレン、6ポリアミド、66ポリアミド、ポリアセタール、ABS、ポリカーボネート、フッ素(商品名:テフロン)などが挙げられる。
シリコーンオリゴマーとしてはアルコキシシリル基とメチル基又はフェニル基を持ったシリコーン、アルコキシシリル基とエポキシ基、メルカプト基、アクリル基、メタクリル基、ビニル基などの他の反応性基を持ったシリコーン、アルコキシシリル基は持たずエポキシ基などの他の反応性基を持ったシリコーンなどが挙げられる。
シリコーン(B)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
またこの他に公知のシリコーンゴムやシランカップリング剤などを前記組成物に配合してもよい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物に含まれる、(メタ)アクリル樹脂(A)の質量(100質量部)に対するシリコーン(B)の含有量は、0.1質量部〜10質量部が好ましく、0.2〜8質量部がより好ましい。
(メタ)アクリル樹脂(A)100質量部に対するシリコーン(B)の含有量が前記下限値以上であると、成形体の耐傷付性に優れる傾向にあり、前記上限値以下であると、透明性、耐熱性及び耐侯性等の(メタ)アクリル樹脂本来の性能を損ないにくい。シリコーン(B)の含有量の下限値は、0.2質量部がより好ましい。また、シリコーン(B)の含有量の上限値は、8質量部がより好ましい。
特にシリコーン(B)がポリエステル変性シリコーンを含む場合、本発明の熱可塑性樹脂組成物に含まれる、(メタ)アクリル樹脂(A)の質量(100質量部)に対するポリエステル変性シリコーンの含有量は、0.1質量部以上1.0質量部未満が好ましく、0.2質量部以上0.5質量部未満がより好ましい。
(メタ)アクリル樹脂(A)100質量部に対するポリエステル変性シリコーンの含有量が前記下限値以上であると、成形体の耐傷付性に優れる傾向にあり、前記上限値未満であると、透明性、耐熱性及び耐侯性等の(メタ)アクリル樹脂本来の性能を損ないにくい。ポリエステル変性シリコーンの含有量の下限値は、0.2質量部がより好ましい。また、シリコーン(B)の含有量は、0.5質量部未満がより好ましい。
<脂肪酸化合物(C)>
脂肪酸化合物(C)は、本発明の熱可塑性樹脂組成物の構成成分の1つである。
本発明の熱可塑性樹脂組成物が脂肪酸化合物(C)を含むことにより、成形体の表面滑り性が向上するので、本発明の熱可塑性樹脂組成物を成形した成形体の耐傷付性を優れたものにしやすい。
特に、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、脂肪酸化合物(C)と上述したシリコーン(B)を併用することにより、その両化合物が有する耐擦傷性向上効果が相まって、シリコーン(B)の含有量を増量することなく、得られる成形体の耐傷付性をさらに良好なものにできるので、透明性、耐熱性及び耐侯性等の(メタ)アクリル樹脂本来の性能を損ないにくい。
さらに、脂肪酸化合物(C)と、シリコーン(B)と上述した耐衝撃性改良剤(D)を併用することで、成形体の耐衝撃性と、熱可塑性樹脂組成物の流動性を良好にできるので、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、薄厚の成形体の製造に好適である。
本発明において、脂肪酸化合物(C)としては、本発明の熱可塑性樹脂組成物を成形した成形体の耐傷付性を優れたものにしやすいとの観点から、分子内にカルボニル基又はカルボキシル基を少なくとも1個有する鎖状炭化水素化合物であれば、特に限定されるものではない。
分子内にカルボニル基又はカルボキシル基を少なくとも1個有する鎖状炭化水素化合物とは、カルボニル基又はカルボキシル基が結合する炭素原子が炭素鎖の構成原子となっている化合物を意味する。分子内にカルボニル基又はカルボキシル基を少なくとも1個有する鎖状炭化水素化合物中の炭素鎖は、飽和であっても不飽和であってもよく、また、直鎖状であっても分枝鎖状であってもよい。
脂肪酸化合物(C)としては、例えば、脂肪酸とその誘導体、脂肪酸アミドとその誘導体、脂肪酸アルキルとその誘導体、脂肪酸グリセリドとその誘導体等が挙げられる。
これらの脂肪酸化合物(C)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの脂肪酸化合物(C)の中でも、(メタ)アクリル樹脂(A)との相溶性、熱可塑性樹脂組成物の流動性、及び、本発明の熱可塑性樹脂組成物を成形した成形体の耐傷付性と耐衝撃性に優れる傾向にあることから、脂肪酸アミドが好ましい。
脂肪酸アミドとシリコーン(B)を併用することで、熱可塑性樹脂組成物中に耐衝撃性改良剤(D)がより均一に分散するので、本発明の熱可塑性樹脂組成物を成形した成形体の耐衝撃性が良好になり、かつ、熱可塑性樹脂組成物の流動性がより良好になると推察される。また、(メタ)アクリル樹脂(A)と、シリコーン(B)及び脂肪酸アミド化合物との相互作用により、成形体の表面の摩擦係数が小さくなることに加え、熱可塑性樹脂組成物の弾性が高まり、成形体が衝撃物に接触した場合に、成形体の表面が可塑的に変形したり、接触した部分が欠損したりしにくくなるので、成形体の耐傷付性がより良好になるものと推察される。
脂肪酸アミドとしては、本発明の熱可塑性樹脂組成物を成形した成形体の耐傷付性をより優れたものにしやすい観点から、分子内に脂肪酸基とアミド基を有する化合物であれば、特に限定されるものではなく、例えば、飽和脂肪酸アミド、不飽和脂肪酸アミド、置換アミド、脂肪酸ビスアミド等が挙げられる。これらの脂肪酸アミドは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの脂肪酸アミドの中でも、本発明の熱可塑性樹脂組成物を成形した成形体の耐傷付性に優れる傾向にあることから、不飽和脂肪酸アミドが好ましい。
飽和脂肪酸アミドとしては、分子内に飽和脂肪酸基とアミド基を有する化合物であれば、特に限定されるものではなく、例えば、ラウリン酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘニン酸アミド、ヒドロキシステアリン酸アミド等の公知の飽和脂肪酸アミドが挙げられる。これらの飽和脂肪酸アミドは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
不飽和脂肪酸アミドとしては、分子内に不飽和脂肪酸基とアミド基を有する化合物であれば、特に限定されるものではなく、例えば、エルカ酸アミド、オレイン酸アミド、ブラシジン酸アミド、エライジン酸アミド等の公知の不飽和脂肪酸アミドが挙げられる。これらの不飽和脂肪酸アミドは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの不飽和脂肪酸アミドの中でも、本発明の熱可塑性樹脂組成物を成形した成形体の耐傷付性に優れる傾向にあることから、エルカ酸アミド、オレイン酸アミドが好ましく、エルカ酸アミドがより好ましい。
置換アミドとしては、例えば、ステアリルエルカ酸アミド、オレイルパルミチン酸アミド等の公知の置換アミドが挙げられる。これらの置換アミドは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
脂肪酸ビスアミドとしては、例えば、メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド等の公知の飽和脂肪酸ビスアミド;メチレンビスオレイン酸アミド、エチレンビスオレイン酸アミド等の公知の不飽和脂肪酸ビスアミドが挙げられる。これらの脂肪酸ビスアミドは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
脂肪酸化合物(C)の炭素数は、10〜25が好ましく、17〜23がより好ましい。脂肪酸化合物(C)の炭素数が前記下限値以上であると、(メタ)アクリル樹脂(A)との相溶性、本発明の熱可塑性樹脂組成物を成形した成形体の耐傷付性に優れる傾向があり前記上限値以下であると、脂肪酸化合物(C)の製造が容易となる傾向がある。
特に、上述したシリコーン(B)がジメチルシリコーン及びポリエステル変性シリコーンを含み、かつ、脂肪酸化合物(C)が脂肪酸アミドを含むときに、本発明の熱可塑性樹脂組成物を成形して得られる成形体について、透明性、耐熱性及び耐侯性等の(メタ)アクリル樹脂本来の性能を維持しつつ、耐傷付性をさらに良好なものにできることから、シリコーン(B)が、ジメチルシリコーン及びポリエステル変性シリコーンを含み、脂肪酸化合物(C)が脂肪酸アミドを含む熱可塑性樹脂組成物が特に好ましい。
脂肪酸化合物(C)は脂肪酸アミド化合物を50質量%以上含むことが好ましく、80質量%以上含むことがより好ましく、特に好ましくは100質量%である。
本発明の熱可塑性樹脂組成物に含まれる、(メタ)アクリル樹脂(A)の質量(100質量部)に対する脂肪酸化合物(C)の含有量は、0.01質量部〜10質量部が好ましく、0.5質量部〜4質量部がより好ましい。
(メタ)アクリル樹脂(A)100質量部に対する脂肪酸化合物(C)の含有量が前記下限値以上であると、成形体の耐傷付性に優れる傾向にあり、前記上限値以下であると、(メタ)アクリル樹脂本来の性能を損ないにくい。脂肪酸化合物(C)の含有量の下限値は、0.5質量部がより好ましい。また、脂肪酸化合物(C)の含有量の上限値は、4質量部がより好ましい。
特に、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、(メタ)アクリル樹脂(A)、耐衝撃性改良剤(D)、脂肪酸化合物(C)として脂肪酸アミド、並びに、シリコーン(B)としてジメチルシリコーン及びポリエステル変性シリコーンを含む場合には、熱可塑性樹脂組成物の流動性が良好となり、熱可塑性樹脂組成物を成形した成形体の耐傷付性と耐衝撃性が優れたものとなる。
その理由は定かではないが、(メタ)アクリル樹脂(A)、脂肪酸アミド、メチルシリコーン及びポリエステル変性シリコーンの相互作用により、耐衝撃性改良剤(D)が、熱可塑性樹脂組成物中に均一に分散することで、熱可塑性樹脂組成物の流動性と、熱可塑性樹脂組成物を成形した成形体の耐衝撃性が良好になると推察される。さらに、(メタ)アクリル樹脂(A)と、脂肪酸アミドと、ジメチルシリコーン及びポリエステル変性シリコーンとの相互作用により、熱可塑性樹脂組成物を成形した成形体の表面の摩擦係数が小さくなることに加え、熱可塑性樹脂組成物の弾性が高まり、成形体が衝撃物に接触した場合に、成形体の表面が可塑的に変形したり、接触した部分が欠損したりしにくくなるので、成形体の耐傷付性が良好になるものと推察される。
<他の添加剤>
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、(メタ)アクリル樹脂(A)、シリコーン(B)、脂肪酸化合物(C)及び耐衝撃性改良剤(D)以外に、他の添加剤を含んでもよい。
他の添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、難燃剤、顔料等の着色剤等が挙げられる。
これらの他の添加剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物に含まれる、(メタ)アクリル樹脂(A)の質量(100質量部)に対する他の添加剤の含有量は、(メタ)アクリル樹脂本来の性能を損ないにくいことから、0質量%〜20質量%が好ましく、0質量部〜10質量%がより好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、他の添加剤として、カーボンブラックを含むことにより、本発明の熱可塑性樹脂組成物を成形して得られる成形体において深みのある漆黒性を発現できる。
カーボンブラックとしては、特に限定されるものではなく、公知のカーボンブラックを用いることができる。
カーボンブラックの含有量は、他の添加剤を含めた熱可塑性樹脂組成物の総質量(100質量%)に対して、0.01質量%以上1.5質量%以下とすることができる。
さらに、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、他の添加剤として、カーボンブラックに加えて、染料を含むことにより、本発明の熱可塑性樹脂を成形して得られる成形体において、より深みのある漆黒性を発現できる。
染料としては、特に限定されるものではなく、公知の染料を用いることができる。例えば、赤系染料、黄系染料、緑系染料、青系染料及び紫系染料からなる群より選ばれる3種以上の染料を併用することができる。
<成形体>
本発明の成形体は、本発明の熱可塑性樹脂組成物を成形して得られる。すなわち、本発明の成形体は、本発明の熱可塑性樹脂組成物を成形してなる。
本発明の成形体を得るための方法としては、例えば、公知の射出成形法、押出成形法、加圧成形法等の公知の成形方法が挙げられる。また、得られた成形体を、さらに圧空成形法や真空成形法等の公知の成形方法を用いて二次成形してもよい。
成形温度、成形圧力等の成形条件は、適宜設定すればよい。
本発明の成形体は、本発明の熱可塑性樹脂組成物を成形して得られる。したがって、後述する耐傷付性試験前後の明度(L)の差(ΔL)を2以下とすることが可能となる。そのため、本発明の成形体は耐傷付性に優れる。
さらに、本発明の熱可塑性樹脂組成物がカーボンブラック、又はカーボンブラック及び染料を含む場合には、本発明の熱可塑性樹脂組成物を成形した成形体の耐傷付性(耐傷付性試験前後の明度(L)の差(ΔL)が2以下)を損なうことなく、色彩計を用いてJIS Z 8722に記載の5(分光測色法)に準拠して測定した明度(L)を7以下とすることが可能となるので、深みのある漆黒性を発現できる。
本発明の成形体は、耐傷付性と耐衝撃性に優れることから、例えば、洗面化粧台、浴槽、水洗便器等の住宅設備向け部材;建築部材;車両内装部材、車両外装部材等の車両用部材等に用いられ、特に、車両用部材に好適である。
また、本発明の車両用部材の別の態様としては、後述する耐傷付性試験による耐傷付性試験前後の熱可塑性樹脂組成物を成形した成形体(試験片)について、色彩計を用いてJIS Z 8722に記載の5(分光測色法)に準拠して測定した、耐傷付性試験前の明度(L)が7以下、かつ、耐傷付性試験前後の明度(L)の差(ΔL)が2以下である、熱可塑性樹脂組成物の成形体を含む車両用部材が挙げられる。
車両外装部材としては、例えば、ヘッドランプカバー、リアランプカバー、ドアミラーカバー、フェンダミラーカバー、バイザー、フロントプロテクター、ピラーカバー(サッシュカバー)、ライセンスガーニッシュ、フロントランプガーニッシュ、ピラーガーニッシュ、ナンバープレートガーニッシュ、フォグガーニッシュ、フロントグリル、リアグリル、エンブレム等が挙げられる。
また車両内装部材としては、計器カバー、コントロールパネル、ハンドルカバー、メーターカバー、オーナメント、カップホルダー、ステアリングカバー、シフトノブカバー等に好適に用いられる。
さらに、本発明の熱可塑性樹脂組成物を成形してなる成形体は、耐擦傷性、耐衝撃性に加えて、塗装品並みの漆黒性に優れているので、自動車用の意匠材に好適に用いることができる。具体的な一実施形態としては、透明又は半透明のヘッドランプカバー又はリアランプカバーと、前記ヘッドランプカバー又は前記リアランプカバーの外周又は外枠の少なくとも一部の領域に配設された、本発明の熱可塑性樹脂組成物を成形してなる成形体とを有する、自動車用の意匠材を挙げることができる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<評価方法>
熱可塑性樹脂組成物の耐傷付性は、該樹脂組成物に公知の黒色着色剤(染料、顔料等)を添加したときの初期明度(L)より評価することができる。本実施例においては、後述する方法に従って、熱可塑性樹脂組成物に公知の黒色染料を添加して得られた熱可塑性樹脂組成物の成形体について、耐傷付性試験前・後の成形体の明度、光沢性の変化の度合いを評価した。
実施例及び比較例における評価は以下の方法により実施した。
<試験片の作製>
実施例及び比較例で得られた熱可塑性樹脂組成物100質量部と、公知の黒色着色剤として、ダイアレジン(登録商標)グリーンC(Solvent Green3)の0.4質量部、ダイアレジン(登録商標)レッドA(Solvent Red1799)の0.4質量部及びダイアレジン(登録商標)ブルーG(Solvent Violet13)の0.1質量部を、二軸押出機(機種名「PCM45」、(株)池貝製)に供給し、250℃で混練し、熱可塑性樹脂組成物の黒色ペレットを得た。得られた黒色ペレットを、射出成形機(機種名「FAS−T100D」、ファナック(株)製)に供給し、成形温度を260℃とし、試験片(幅140mm、長さ140mm、厚さ3mmの平板)を得た。
<明度(L)、明度の差(ΔL)>
熱可塑性樹脂組成物の発色性の指標として、色彩計(機種名「Spectrophotometer SD7000」、日本電飾工業(株)製)を用いて、JIS Z 8113(照明用語)の3079およびJIS Z 8781−4(測色−第4部:CIE1976L色空間)で定義される明度指数(表を含む本明細書において、単に「明度」と言うことがある。)(L)について、入射光束を直径15mmとする条件で、JIS Z 8722(色の測定方法−反射及び透過物体色)に記載の5(分光測色方法)に準拠して、試験片の明度(L)を測定した。耐傷付性試験前及び試験後の試験片の明度の差(ΔL)を算出した。
<20°光沢度、20°光沢度保持率>
熱可塑性樹脂組成物の光沢性の指標として、鏡面光沢計(機種名「True GLOSS GM−26PRO」、(株)村上色彩研究所製)を用い、JIS Z 8741−1997に準拠して、上述した耐傷付性試験前及び試験後の試験片の20°光沢度を測定した。
次いで、熱可塑性樹脂組成物の耐傷付性の指標として、下記式(1)より、耐傷付性試験前後の試験片の20°光沢度保持率を算出した。
20°光沢度保持率=(耐傷付性試験後の試験片の光沢度/耐傷付性試験前の試験片の光沢度)×100 ・・・(1)
<耐傷付性試験>
本発明の成形体の耐傷付性を下記の方法に従って評価した。
得られた試験片を平台に設置し、学振型摩擦試験機(染色物摩擦堅牢度試験機、機種名「RT−200」、(株)大栄科学精器製作所製)を用い、摩擦子としてカネクラガーゼ(商品名、ケアライフ・メディカルサプライ(株)製)を5枚重ねた摩擦子を用い、図1に示すように、試験片1の表面に、射出成形時のゲート位置からMD方向(成形時の流れ方向)に、試験片1の中央部3を通過するように、摩擦子を荷重250gの条件で、試験片の表面中央部を通過するように、距離100mmを50往復させ、試験片1の表面に摩擦摩耗処理部2を形成した。
耐傷付性試験前及び試験後の試験片について、以下の基準を用いて耐傷付性を判定した。
(判定基準)
AA:明度の差(ΔL)が0.4以下、かつ、光沢保持率が98%以上。
A:明度の差(ΔL)が3.0以下、かつ、光沢保持率が82%以上。
B:明度の差(ΔL)が3.0以上、又は、光沢保持率が82%未満。
<耐衝撃性試験>
本発明の成形体の耐衝撃性を、下記の方法に従って評価した。
ISO179−1に準拠して上記の試験片の温度23℃におけるノッチ付きシャルピー衝撃強度(単位:kJ/m)を測定した。
(判定基準)
A:シャルピー衝撃強度が2.0kJ/m以上
B:シャルピー衝撃強度が2.0kJ/m未満
<流動性試験>
本発明の成形体の流動性を、下記の方法に従って評価した。
ISO1133に準拠して、温度230℃、荷重37.3Nのメルトフローレート(MFR、単位:g/10分)を測定した。
(判定基準)
AA:MFRが5.0g/10分以上
A:MFRが4.0以上5.0g/10分未満
B:MFRが4.0g/10分未満
(原材料)
実施例及び比較例で使用した化合物の略号は以下の通りである。
(メタ)アクリル樹脂(A−1):アクリペットVHS(商品名、三菱レイヨン(株)製、メチルメタクリレート由来の繰り返し単位90質量%以上含む(メタ)アクリル樹脂)
シリコーン(B−1):SH−200(商品名、東レ・ダウコーニング社製、ジメチルシリコーンオイル、屈折率:1.4)
シリコーン(B−2):SH−550(商品名、東レ・ダウコーニング社製、メチルフェニルシリコーン、屈折率:1.5)
シリコーン(B−3):TEGOMER(登録商標) H−Si6441P(商品名、エボニック社製、ポリエステル変性シリコーン(ポリジメチルシロキサンの側鎖にポリエステル基を付加した化合物))
脂肪酸化合物(C−1):エルカ酸アミド
耐衝撃性改良剤(D−1):下記の製造例1で得た耐衝撃性改良剤を使用した。
製造例1 耐衝撃性改良剤(D−1)の製造
攪拌機、還流冷却器、窒素吹き込み口、単量体追加口、温度計を備えた5口フラスコに、以下の成分を仕込んだ。(かっこ内の数字は質量部を示す。以下同様。)
脱イオン水(300部)
ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート(以下、「SFS」とも言う。)(0.48部)
硫酸第1鉄(0.4×10−6部)
エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム(1.2×10−6部)
次に、系を窒素置換しながら80℃に昇温し、下記の組成の混合物(e−1)を2時間かけて投入し、80℃に保ったまま1時間保持して重合を完結させ、ラテックス(L−1)を得た。
得られたラテックス(L−1)の重合率は99%以上であった。
<混合物(e−1)>
メタクリル酸メチル(22部)
スチレン(2.0部)
アクリル酸ブチル(16部)
1,3−ブタンジオールジメタクリレート(1.0部)
メタクリル酸アリル(0.1部)
t−ブチルハイドロパーオキサイド(0.04部)
モノ−n−ドデシルオキシテトラオキシエチレンリン酸ナトリウム(以下、「乳化剤E」とも言う。)(1.3部)
次いで、得られたラテックス(L−1)に、下記の組成の混合物(e−2)を加え、80℃で15分間保持した後、下記の組成の混合物(e−3)を3時間かけて滴下し、80℃で3時間保持して重合を完結させ、ラテックス(L−2)を得た。
得られたラテックス(L−2)の重合率は99%以上であった。
<混合物(e−2)>
SFS(0.2部)
脱イオン水(5.0部)
<混合物(e−3)>
スチレン(10部)
アクリル酸ブチル(50部)
1,3−ブタンジオールジメタクリレート(0.2部)
メタクリル酸アリル(1.2部)
クメンハイドロパーオキサイド(0.2部)
乳化剤E(2.5部)
次いで、得られたラテックス(L−2)に、下記の組成の混合物(e−4)を入れ、80℃で15分間保持した後、下記の組成の混合物(e−5)を2時間かけて滴下し、80℃で1時間保持して重合を完結させ、ラテックス(L−3)を得た。
得られた最終ラテックス(L−3)の重合率は99%以上であった。
<混合物(e−4)>
SFS(0.2部)
脱イオン水(5.0部)
<混合物(e−5)>
メタクリル酸メチル(57.0部)
アクリル酸メチル(3.0部)
t−ブチルハイドロパーオキサイド(0.1部)
n−オクチルメルカプタン(0.2部)
ステンレス製の容器に凝固剤として1.6%酢酸カルシウム水溶液300部を仕込み、混合攪拌下90℃に昇温し、得られた最終ラテックス(L−3)300部を10分間にわたって連続的に添加し、その後5分間保持した。そして、室温まで冷却し、脱イオン水で洗浄しながら、1300Gで3分間、遠心脱水し、ろ別して湿潤状の重合体を得た。
この湿潤状の重合体を75℃で48時間乾燥させて白色粉体状の重合体を得た。これを耐衝撃性改良剤(D−1)とした。
実施例1
(メタ)アクリル樹脂(A−1)100質量部、耐衝撃性改良剤(D−1)30質量部、シリコーン(B−1)1.5質量部及び脂肪酸化合物(C−1)1質量部を二軸押出機(機種名「PCM45」、(株)池貝製)に供給し、250℃で混練し、ペレット状の熱可塑性樹脂組成物を得た。
得られた熱可塑性樹脂組成物の評価結果を、表2に示す。
実施例2〜10、比較例1〜6
表1に示す配合とした以外は、実施例1と同様に操作を行ない、ペレット状の熱可塑性樹脂組成物を得た。
得られた熱可塑性樹脂組成物の評価結果を、表2に示す。
Figure 2018173435
Figure 2018173435
実施例1〜10で得られた熱可塑性樹脂組成物は流動性に優れ、該熱可塑性樹脂組成物を成形した成形体は、シリコーン(B)、脂肪酸化合物(C)及び耐衝撃性改良剤(D)を配合しているため、成形体の耐傷付性及び耐衝撃性に優れた。
一方、比較例1で得られた熱可塑性樹脂組成物を成形した成形体は、シリコーン(B)及び脂肪酸化合物(C)を配合していないため、耐傷付性、成形性に劣った。
比較例2と3で得られた熱可塑性樹脂組成物を成形した成形体は、脂肪酸化合物(C)を配合していないため、耐傷付性、成形性に劣った。
比較例4で得られた熱可塑性樹脂組成物を成形した成形体は、シリコーン(B)を配合していないため、耐傷付性、成形性に劣った。
比較例5で得られた熱可塑性樹脂組成物を成形した成形体は、耐衝撃性改良剤(D)を配合していないため、耐衝撃性に劣った。
比較例6で得られた熱可塑性樹脂組成物を成形した成形体は、脂肪酸化合物(C)を配合していないため、流動性に劣った。

Claims (19)

  1. (メタ)アクリル樹脂(A)、シリコーン(B)、脂肪酸化合物(C)及び耐衝撃性改良剤(D)を含む熱可塑性樹脂組成物であって、
    前記(メタ)アクリル樹脂(A)が、メチルメタクリレート由来の繰り返し単位を、該(メタ)アクリル樹脂(A)の総質量に対して80質量%以上含む、熱可塑性樹脂組成物。
  2. 前記耐衝撃性改良剤(D)の含有量が、前記(メタ)アクリル樹脂(A)100質量部に対し、5質量部〜99質量部である、請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  3. 前記シリコーン(B)の含有量が、前記(メタ)アクリル樹脂(A)100質量部に対し、0.1質量部〜10質量部である、請求項1又は2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  4. 前記シリコーン(B)が、少なくともシリコーンオイル又はシリコーンレジンのいずれかを含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  5. 前記シリコーンオイルが、ジメチルシリコーン、メチルフェニルシリコーン及びメチルハイドロジェンシリコーンからなる群より選ばれる少なくとも1種を含む、請求項4に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  6. 前記シリコーンオイルが有機変性シリコーンを含む、請求項4又は5に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  7. 前記有機変性シリコーンが、ポリエステル変性シリコーンを含む、請求項6に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  8. 前記ポリエステル変性シリコーンの含有量が、前記(メタ)アクリル樹脂(A)100質量部に対し、0.1質量部以上1.0質量部未満である、請求項7に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  9. 前記ポリエステル変性シリコーンの含有量が、前記(メタ)アクリル樹脂(A)100質量部に対し、0.2質量部以上0.5質量部未満である、請求項8に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  10. 前記脂肪酸化合物(C)が、脂肪酸アミドを含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  11. 前記脂肪酸アミドが、不飽和脂肪酸アミドを含む、請求項10に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  12. 前記シリコーン(B)が、ジメチルシリコーン及びポリエステル変性シリコーンを含み、前記脂肪酸化合物(C)が、脂肪酸アミドを含む、請求項1〜11のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  13. 前記脂肪酸化合物(C)の含有量が、前記(メタ)アクリル樹脂(A)100質量部に対し、0.1質量部〜10質量部である、請求項1〜12のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  14. 請求項1〜13のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物を成形してなる成形体。
  15. 請求項14に記載の成形体を含む車両用部材。
  16. ヘッドランプカバー、リアランプカバー、ドアミラーカバー、フェンダミラーカバー、バイザー、フロントプロテクター、ピラーカバー、ライセンスガーニッシュ、フロントランプガーニッシュ、ピラーガーニッシュ、ナンバープレートガーニッシュ、フォグガーニッシュ、フロントグリル、リアグリル及びエンブレムのいずれかである、請求項15に記載の車両用部材。
  17. 透明又は半透明のヘッドランプカバー又はリアランプカバーと、前記ヘッドランプカバー又は前記リアランプカバーの外周又は外枠の少なくとも一部の領域に配設された、請求項1〜13のいずれか一項に記載の熱可塑性樹脂組成物を成形してなる成形体とを有する、車両用部材。
  18. 平台に設置した熱可塑性樹脂組成物の成形体からなる試験片について、学振型摩擦試験機(染色物摩擦堅牢度試験機)を用いて、前記試験片の射出成型時のゲート位置からMD方向(成型時の流れ方向)に、長さ20mm、幅20mmの平面形摩擦子にガーゼを重ねて装着した摩擦子(荷重250)が前記試験片の表面中央部を通過するように、距離100mmを50往復させることにより行われる耐傷付性試験による耐傷付性試験前後の前記試験片について、色彩計を用いてJIS Z 8722に記載の5(分光測色法)に準拠して測定した、耐傷付性試験前の明度指数(L)が7以下、かつ、耐傷付性試験前後の明度指数(L)の差(ΔL)が2以下である、熱可塑性樹脂組成物の成形体を含む車両用部材。
  19. ヘッドランプカバー、リアランプカバー、ドアミラーカバー、フェンダミラーカバー、バイザー、フロントプロテクター、ピラーカバー、ライセンスガーニッシュ、フロントランプガーニッシュ、ピラーガーニッシュ、ナンバープレートガーニッシュ、フォグガーニッシュ、フロントグリル、リアグリル、又はエンブレムのいずれかである、請求項18に記載の車両用部材。
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