WO1997019337A1

WO1997019337A1 - Boitier de fixation et de support d'echantillon biologique

Info

Publication number: WO1997019337A1
Application number: PCT/JP1996/003301
Authority: WO
Inventors: Teiji Takezaki
Original assignee: Teiji Takezaki
Priority date: 1995-11-17
Filing date: 1996-11-11
Publication date: 1997-05-29
Also published as: AU7507296A

Description

明細書生物試料の定着支持用ケース技術分野この発明は臨床医が、人体から採取した生物試料を病理検査室等に移送して、そこで顕微鏡検査すことのできる状態の薄切り標本（プレパラート）にする場合、臨床医がその生物試料を自己融解や腐敗等によって変質しないように定着、即ち生物学的に固定すると共に支持し病理検査室等に移送したり、或は、脱水、脱脂、透徹処理の際に必要な生物試料を入れ、その後、包埋処理するためのケースに関するものである背景技術従来この種の作業を行う際は、図 3 0に示すように、臨床医が不透明な多孔板で形成された蓋 4 1付きの偏平な包埋カセット 4 2での包埋カセットは、生物試料の大きさや特徴により、多孔板の孔の大きさの異なるものを選び、その包埋カセットの中に生物試料（図示していない）を収容して蓋 4 1を閉じ、そのまま生物試料の変質防止剤の入っているカプセル（図示していない）の中に入れて病理検査室等に移送する（特願平 7 - 1 6 9 0 3号参照）。

そこで生物試料を収容されている包埋カセット 4 2をカプセルから取り出して、包埋カセット 4 2の蓋 4 1をあけてその中に入っている生物試料とそこに添付されている伝票の記載事項とを照合し、両者の数量と同一性を確認してから、その生物試料を再び包埋カセット 4 2の中に戻して、そのままアルコールまたはキシレン等の入っている各容器に夫々入れて、前記生物試料を順次脱水、脱脂、透徹およびパラフィンまたは樹脂等からなる包埋剤に濱けて各処理を行う：

その後、該生物試料の上部に、若干の間隙をおいて前述の空になった包埋カセッ卜 4 2の底面を配置し、これらにその上方から熔融伏態のパラフィンまたは樹脂等からなる包埋剤を注入し、冷却することによって冷却固化すると共に、その包埋剤の中に定着支持剤と一緒に生物試料を包埋カセット 4 2の底面と共に包埋するものである:

上述の包埋カセットは、包埋カセッ卜の中から生物試料を取り出した後、その生物試料を該包埋カセットを基台としてパラフィンで固定するために、一定の剛性等の強度を要する. そのため、硬質の合成樹脂やプラスチック等で形成されており、カセットの摩さを一定限度以下にする事ができないしたがって、包埋カセットが膨大な量になると、その保管場所の確保、および移動が極めて困難になる。

また、生物試料に関する情報を直接カセッ卜に記載する際は、そのカセッ卜の側面に記載するが、そのスペースが小さいので記載しにくく、また読みにくいため、カセット内容の確認が困難になったり、他の生物試料と混同したりという事故を招くおそれがある

また、複数の生物試料を扱う場合、検査の都合上、試料を採取した順や、臓器等のどの部分から採取したかという位置関係等を示す必要のある場合が多いこの場合、カセットに入れたままの状態ならば、カセットに印をつける等してそれらを把握することができるが、生物試料が脱落したり、あるいは処理のためにそれを取り出したときには、確認することが困難となる _r

また、生物試料の大きさ等に合わせて、多孔板の孔の大きさの異なる多種類の包埋カセットを準備しなくてはならず、コスト高をまねく

この発明の目的は、前記従来の包埋カセッ卜のように、臨床医がその中に生物試料を収容したものを検査室等に移動する際、大病院及び大検査所等のようにその数量が膨大になっても、該包埋カセッ卜を保管しておく広大な場所と脱水、脱脂、透徹処理のスペースの確保に困難性を生じないようにすることであるまた、未使用の包埋カセットを在庫するためのコストを削減することである：

他の目的は、生物試料に関する情報の記載を簡便にし、カセット内容の確認が困難になったり、他の生物試料と混同したりという、いわゆるコンタミ現象を防止することである。

また他の目的は、複数の生物試料を定着させる場合、試料が脱落したり、あるいは試料をカセットから取り出したときでも、試料を採取した順や、臓器等のどの部分から採取したかという位置関係等を容易に把握できるようにし、その後試料を処理する際に混同を生じないようにすることである。発明の開示この発明の生物試料の定着支持用ケースは、定着支持剤の中に生物試料を埋め込んだ状態で定着させるための定着用支持ケースにおいて、該定着支持用ケースの一部分を構成する支持片に蓋片を開閉自在に設け、該支持片及び蓋片の何れか一方の中央部に穿設せる支持孔に多孔皿を嵌合し、その多孔皿の開口部の周縁に外側に向って張り出している鍔を、前記支持片と蓋片の間に、それらで挟持するものである。

またこの発明の生物試料の定着支持用ケースは、定着支持剤の中に生物試料を埋め込んだ状態で定着させるための定着支持用ケースにおいて、該定着支持用ケースの一部分を構成する支持片に蓋片を開閉自在に設け、その支持片及び蓋片を、硬質のシートをその中程から開閉自在に折り畳んで形成し、該支持片の中央部に支持孔を形成し、該支持孔の周縁部に、硬質の通液性シートで形成される多孔皿の開口部の外周縁に張り出している鍔を、掛脱自在に掛け止めるものである臨床医の採取した生物試料を硬質の通液性シー卜で形成される多孔皿の底部内側に所定の数量を所望の配置状態で収容し、該生物試料の上方及び周囲にグルコマンナンとホルマリン等の試料保存兼防腐安定液とからなる定着支持剤を充塡し、生物試料を変質しないように定着すると共に、通液性の多孔皿内で移動しないように支持する。

このようにして定着支持ケース内に収容されている伏態の生物試料をそのままの状態で生物試料の変質防止剤を混入したゲル化剤の入つている別のカプセルの中に定着支持ケースごと入れて病理検査室等に移送する。そこで前記カプセルの中に収容されている定着支持ケースを取り出し、そのままアルコールまたはキシレン等の入っている各容器に夫々入れて、前記生物試料を順次脱水、脱脂、透徹およびパラフィンまたは樹脂等からなる包埋剤に漬けて各処理を行う。

このようにして定着支持用ケース中に容された状態の生物試料を、そのままの状態でアルコール中に浸漬して脱水、脱脂し、キシロールに漬けて脱アルコール（透徹）し、さらにパラフィンまたは樹脂等からなる包埋剤に漬けて包埋剤に置換し、その後定支持用ケースの中から定着支持剤中に埋め込まれているゲル状プロックの状態で取り出して、これをそのまま包埋皿上に載置する：

該ゲル状プロックの上部に、若干の間隙をおいて別に用意されている包埋カセット等の包埋用支持基台を配置し、これらにその上方から熔融伏態のパラフィンまたは樹脂等からなる包埋剤を注入し、その後冷却することによつて冷却固化すると共にその包埋剤の中に定着支持剤と一緒に生物試料を包埋用支持基台の底面と共に包埋するものである。

さらにこの発明の生物試料の定着支持用ケースは、定着支持剤の中に生物試料を埋め込んだ状態で定着させるための定着支持用ケースにおいて、該定着支持用ケースを構成する多孔板で形成した偏平容器と蓋板を開閉自在に嵌合し、該偏平容器および蓋板の何れか一方に通液性の多孔皿を設置するための窓孔を形成し、その窓孔の周縁に前記偏平容器の内側に向かって支持枠を突設し、その支持枠と前記蓋板内面との間または支持枠と偏平容器の底部との間で、前記多孔皿の開口部周縁の鍔を挟持するものである。

臨床医が人体から採取した生物試料を、蓋板または偏平容器の底面の何れか一方に形成した窓孔に係止されている多孔皿の底部に収容し、これらをその伏態で予め別に用意されているカプセルに入れて、その中の変質防止剤に浸清し、その生物試料が包埋カセット中で変質しないように定着させると共に、保持する前記の処理が終わった後、蓋板を偏平容器に嵌合して密閉した包埋カセットとし、その包埋カセットを所定の処理場に移送し、そこでカセットごと順次脱水、脱脂、透徹、包埋剤の各処理剤で処理する，その後、生物試料を包埋皿上に載置すると共に、その上部に前記空の包埋カセットの偏平容器（包埋支持基台）の底部を配置し、該包埋カセットを介して生物試料の上から熔融状態のパラフィンからなる包埋剤を注入してその包埋剤で生物試料を直接包埋し、該包埋剤を冷却して固化し、前記包埋カセットの底部（偏平容器）の少なくとも一部（包埋支持基台）と生物試料と包埋剤を一体的に固化して包埋ブロックを形成する図面の簡単な説明図 1は、この発明の生物試料の定着支持ケースの実施形態の平面図である；図 2は、図 1の I I - I I線部分の断面図である。

図 3は、図 1および図 2の一部分の斜面図である。

図 4は、図 1および図 2の他の一部分の斜面図である

図 5は、図 4の他の実施例の斜面図である。

図 6は、図 4の更に他の実施例の斜面図である。

図 7は、この発明の生物試料の定着支持ケースの他の実施例の断面図である。図 8は、図 7の一部分の平面図である,:，

図 9は、図 8の IX— IL線部の断面図である:'

図 1 0は、この発明の生物試料の定着支持ケースの更に他の実施例の平面図でめる。

図 1 1は、この発明の生物試料の定着支持ケースの更に他の実施例の平面図である。

図 1 2は、この発明の生物試料の定着支持ケースの更に他の実施例の平面図である。

図 1 3は、図 1 2の XI I I - XI I I線部の断面図である。

図 1 4は、この発明の生物試料の包埋カセットの図 1〜図 1 3とは異る実施形態における斜視図である。

図 1 5は、図 1 4の包埋カセットの使用状態を示す I I一 I I線部の断面図である。図 1 6は、図 1 5の一部分の斜面図である。図 1 7は、この発明の他の実施例の斜面図である。

図 1 8は、図 1 7の実施例の使用状態を示す V V線部の縦断面図である。図 1 9は、この発明のさらに他の実施例の斜面図である：

図 2 0は、図 1 9の使用状態を示す VI I - VI I線部の縦断面図である

図 2 1は、図 1 9に示す実施例の一部分を変更した実施例の斜面図である：. 図 2 2は、図 1 9の実施例の使用状態を示す IX— IX線部の断面図である:：図 2 3は、図 1 9の実施例を部分的に変更した実施例の斜面図である:

図 2 4は、図 2 の施例の使用状態を示す X I - XI線部の断面図である：図 2 5は、図 2 3の実施例を部分的に変更した実施例の斜面図である。

図 2 6は、図 2 5の実施例の使用状態を示す XI I I - XI I I線部の断面図である図 2 7は、図 1 5の他の一部分の斜面図である

図 2 8は、図 2 7の他の実施例の斜面図である

図 2 9は、図 2 7の更に他の実施例の斜面図である _u

図 3 0は、従来の生物試料の定着支持用ケースである ₍ 発明を実施するための最良の形態この発明の実施例を添付図面の図 1乃至図 3によつて説明すると、この発明の生物試料の定着支持用ケースは、厚紙や厚手の和紙等のように全面に亘つて滲浸性を有する長方形の通液性シート、もしくはポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等の硬質合成樹脂または厚紙、パラフィン紙等の所定の部分に多数の小孔 1 aを穿設した長方形の通液性シ一ト 1からなり、その中程の折ぐせ線 2で開閉自在に折り畳んで支持片 3と蓋片 4を形成し、その支持片 3の中央部に支持孔 5を形成している

該支持孔 5の周縁部 6の内側面に、透明な硬質合成樹脂製の通液性シートでー体的に形成されている多孔皿 7の開口部 8の外周縁に張り出している鍔 9を、掛脱自在に掛け止めする。

臨床医が人体から、必要な生物試料 1 2を採取し、その生物試料 1 2を硬質の通液性シートで形成される多孔皿 7の底部 1 3に所定の数量を所定の状態で図 2 に示す如く収容し、該生物試料 1 2の上方及び周囲にグルコマンナンとホルマリン等の試料保存兼防腐安定液とからなる定着支持剤 1 4を充塡する：

その後、蓋片 4を折ぐせ線 2から支持片 3に重ね合わせるように折り畳んで、多孔皿 7の開口部 8を閉じて、その蓋片 4が開かないように舌片 1 5を折り曲げ線で折り曲げ、それを支持片 3に形成されている細孔 1 6に挿入し、図 2の伏態に捲き込むと共に、蓋片 4の両側に突設した係止片 1 7を支持片 3の両側に形成した凹欠部 1 8に合 _:してその状態を保持する ₌

これらをその状態で予め用意されているカプセル（図示されていない）に入れてグルコマンナンのゲル化剤（図示していない）に浸漬して、該グルコマンナンをゲル化することによって、その生物試料 1 2を変質しないように定着すると共に、多孔皿 7の中で相互に移動しないようにそれと一体的に支持する

このようにして定着支持ケース内に収容されている状態の生物試料 1 2をカブセルの中に入れた状態で病理検査室等に移送し、そこで前記カプセルの中に斗又容されている定着支持ケースを取り出し、そのままアルコールまたはキシレン等の入っている各容器（図示していない）に夫々入れて、前記生物試料 1 2を従来通り順次脱水、脱脂、透徹およびパラフィンまたは樹脂等からなる包埋剤に漬けて、その後定着支持用ケースの中から生物試料 1 2を定着支持剤 1 4中に埋込まれているゲル状ブロックの状態で取り出して、これをそのまま包埋皿（図示していない）上に載置する。

その後は本発明の発明者と同一の発明者の発明に係る前記特願平 7— 1 6 9 0 3号の明細書に記載した通り、該ゲル伏プロックの上部に若干の間隙をおいて別に用意された包埋用支持基台の底面を配置し、これらにその上方から熔融伏態のパラフィンまたは樹脂等からなる包埋剤を注入し、それを冷却することによって冷却固化すると共にその包埋剤の中に定着支持剤 1 4と一緒に生物試料 1 2を包埋用支持基台の底面と共に包埋するものである。

この発明の実施例を添付図面の図 1乃至図 3で説明したが、この発明はその実施例のみに限定されるものでなく、本発明の要旨の範囲内においてその構成を部分的に変更したり付加して実施することが可能である ,

例えば、支持片 3及び蓋片 4の形状を、図 1 0に示すように、図 1で示す凹欠部 1 8と係止片 1 7を設けずに、舌片 1 5のみを有する形伏とし、該舌片 1 5を折り曲げ線 1 5 aで折り曲げ、それを支持片 3に形成されている細孔 1 6に挿入し、図 2の状態に捲き込むのみの構成としてもよい。

また、支持片 3及び蓋片 4の形状を、図 1 1に示すように、図 1で示す凹欠部 1 8、係止片 1 7、舌片 1 5を設けずに、単に折ぐせ線 2で折り畳むのみの形状としてもよい。こめ場合は、支持片 3と蓋片 4を折り畳んだ後、多孔皿 7に影響を与えない適宜の個所をホチキスのステ一プル又はクリップもしくはピン等（図示していない）で留めて、折り畳んだ状態を保持するようにするそして、このようにホチキスのステーブル又はクリップもしくはピン等で支持片 3と蓋片 4の伏態を保持することは図示していないが、前述の各実施例において適用しても差し支えないことは言うまでもない。

またさらに、図 1乃至図 3に示す実施例のように、多孔皿 7を透明な硬質合成樹脂製の通液性シー卜で形成する代わりに、それを半透明または不透明の硬質合成樹脂製の通液性シート、もしくは通液性のある硬質の紙等で形成しても差し支えないまた、多孔皿 7を透明な硬質合成樹脂の通液性シートで一体的に形成する代わりに、図 7乃至図 9に示すように該多孔皿 7 aの中央部に窓孔 2 0を形成し、該窓孔 2 0の内側に、枠 1 9つきの通液性のシート状薄片 2 1を設けることもできるこのシート状薄片 2 1の材質は、定着支持剤 1 4の付着しにくいもの、例えば合成樹脂製の繊維で形成されたクロス等が好ましい

図 1乃至図 3及び図 7乃至図 9に示す実施例のように、その支持片 3の中央部に支持孔 5を形成して、該支持孔 5の周縁部 6の内側面に、硬質合成樹脂の通液性シートで一体的に形成されている多孔皿 7の開口部 8の外周縁に張り出している鍔 9を、掛脱自在に掛け止めする代わりに、図 1 2および図 1 3に示すように該支持片 3の中央部に多孔皿 7 bをそれと一体的に形成することもできるなお他の実施例を示す図 7乃至図 1 3の図面符号中、前述の図 1乃至図 4の実施例で用いた図面符号と同一の図面符号の部分はその部分の名称及び機能についても同様である。

また、多孔皿 7， 7 a , もしくは 7 bに定着支持剤 1 4を充塡したのち、開口部 8に該定着支持剤 1 4に対して親和性のある親水性シート 1 0を配置してもよい ₃ この親水性シート 1 0は定着支持剤 1 4によく付着するので、これを配置することにより、定着支持剤 1 4をより確実に定着させることができる: したがつて、この場合は支持剤の濃度をより薄くすることが可能である：この親水性シート 1 0には、親水性を有し、定着支持剤 1 4の表面に付着し易い材質で、アルコールゃキシレンに^けない性質をもつもの、例えば和紙、スポンジの薄切片や布等を用いる。

更に、図 4に示す如く、親水性シート 1 0の少なくとも一側縁寄りに基準標識 1 1を表示してもよいこの基準標識 1 1は、特に複数の生物試料 1 2を入れた場合、生物試料 1 2を採取した順や、被採取臓器等のどの部分から採取したかという位置関係等を示す必要があるときに有用なもので、例えば基準標識 1 1を起点として複数の生物試料 1 2を一定の基準で並べることと予め決めておき、包埋する際に混同が生じないようにする。

さらにまた、図 4の実施例のように、親水性シート 1 0の少くとも一側縁に基準標識 1 1を表示する代わりに、図 5に示す如く四角形の親水性シート 1 0の一角に切欠部 1 1 aを形成して、それを基準標識としたり、或は図 6に示す如く、親水性シート 1 0の一角に突起部 1 1 bを形成し、それを基準標識とすることも可能である。

この発明の各実施例は、通液性のシ一トをその中程の折ぐせ線から二重に折り畳み、その支持片に合成樹脂製シートで形成した通液性の多孔皿を設けるものであるから、定着支持ケース全体の厚さが前記従来のものより薄くなるので、臨床医がその定着支持ケース内に生物試料を容したものを検査室等に移動する際、大病院及び大検査所等のように生物試料の数量が膨大になっても、それを保管しておくための広大な場所の確保に困難性を生じない。また、脱水、脱脂、透徹の一定時間当たりの処理件数が上がるので、全体の処理スピードが早くなり、コストも低くなる。また、支持片と蓋片は、生物試料の移送の際に多孔皿を保持し、複数回の折曲げに耐えうる硬性があればよいので、厚紙やバラフィン紙等の安価な材料で作成することができる。それにより、従来の包埋カセットを使用する場合に比べて大幅にコス卜を下げることができる。

また、支持片の中央部に多孔皿を一体的に形成する場合には、多孔皿を別に作製する材料と手間が省けるので、更にコストを下げることができる ₍：

また、支持片と蓋片を折り畳んだ後、多孔皿に影響を与えない適宜の個所をホチキスのステープ/レ又はクリップもしくはピン等で留めて、折り畳んだ状態を保持するようにすれば、係止片を嵌合させたり舌片を細孔に巻き込む場合よりも処理時間を短縮することができ、単位時間当たりの処理件数を上げることができる：さらに、従来のカセットはその形状の性質上、孔の開いていない平面部分が少なかったので、試料に関する事項をカセッ卜に直接記入することは困難だったが、本発明のケースは、折り畳んだ状態における全体の形状がほぼ平面状であり、多孔皿の周囲に平面部分が広く在り、ケ一スに直接記入することが容易にできる：このため、伝票を別に作成する必要がなく、伝票の貼り間違いや紛失を防ぐことができ、他の生物試料と混同する事故を招くおそれがなくなる. また、多孔皿を透明な合成樹脂で形成した場合は、ケースを開けずにその内容を確認することができ、試料の確認をしながらケースに記入することも容易にできる

また、多孔皿を硬質合成樹脂の通液性シートで一体的に形成する代わりに、多孔皿の中央部に窓孔を形成し、該窓孔の内側に、枠つきの通液性のシート状薄片を設けて形成した場合は、このシート状薄片のみを交換することにより、多孔皿を複数回使用することが可能になる

さらにまた、定着剤を充填した多孔皿の開口部に、和紙等の定着支持剤に対して親和性のある親水性シートを配置することにより、定着支持剤をより確実に定着させることができ、生物試料の脱落を防ぐことができる。また、このシートにより定着強度が増すため、定着支持剤の濃度をより薄くすることができ、その分更にコストを下げることが可能である。

また、複数の生物試料を定着させる場合、上記親水性シートに基準標識を表示し、これを基準に生物試料を並べれば、試料を採取した順や、臓器等のどの部分から採取したかという位置関係等を容易に把握することができ、その後試料を処理する際に混同を生ずることがない。

この発明の実施例を添付図面の図 1 4乃至図 1 6によって説明すると、硬質合成樹脂等の多孔板で形成した偏平容器 2 2と同じ多孔板で形成した蓋板 2 3を、該蓋側の係合片 2 4及び係止片 2 4 aと偏平容器 1側の係合孔 2 5及び係止部 2 5 a等で開閉自在に嵌合してなる包埋カセットにおいて、該偏平容器 1に通液性の多孔皿 2 6を支痔するための窓孔 2 7を形成し、その窓孔 2 7の周縁に偏平容器 2 2の内側に向かって支持枠 2 8を突設し、その支持枠 2 8の先端縁 2 8 aと前記蓋板 2 3の内面との間で、前記多孔皿 2 6の開口部 2 9の周縁の鍔 3 0を挟持するものである前記多孔皿 2 6は、透明な硬質合成樹脂製の通液性シートで一体的に形成する

臨床医が人体から採取した検査又は治療に必要な生物試料 3 1を、図 1 5に示す如く多孔皿 2 6の底部に収容する。これらをその状態で予め別に用意されているカプセルに入れて変質防止剤に浸漬し、その生物試料が包埋カセット中で変質しないように定着させる.. 生物試料の種類によっては、移送や各処理の際に脱落しゃすいものもあるので、その場合は、例えば日本特願平 7 - 1 6 9 0 3号に開示されている定着支持剤による定着方法により、確実に多孔皿 2 6内に定着させる即ち、該生物試料 3 1の上方及び周囲にグルコマンナンとホルマリン等の試料保存兼防腐安定液とからなる定着支持剤 3 2を充塡し、これらをその状態で予め別に用意されているカプセル（図示されていない）に入れて、グルコマンナンのゲル化剤に浸漬して、該グルコマンナンをゲル化することによって、その生物試料 3 1を包埋カセット中で移動しないようにそれと一体的に支持する- 前記の処理が終わった後、蓋板 2 3を偏平容器 2 2に嵌合して密閉した包埋カセットとし、その状態の包埋カセットを所定の処理場に移送するそこでカセットごと順次脱水、脱脂、透徹、包埋剤の各処理剤で処理した後、包埋カセットの蓋板 2 3を開けて多孔皿 2 6から定着支持剤 3 2に埋設された状態で生物試料 3 1を取り出すそれを包埋皿（図示されていない）上に載置すると共に、その上部に包埋支持基台の底部を配置し、該偏平容器 2 2を介して定着支持剤 3 2に埋設された状態の生物試料 3 1の上から熔融状態のパラフィンからなる包埋剤を注入してその包埋剤で生物試料 3 1を直接包埋し、該包埋剤を冷却して固化し、定着支持剤 3 2に埋設された伏態の生物試料 3 1をミクロトームで薄切りする

(図示されていない）。なお、包埋時に使用する包埋支持基台は、別に用意しておいてもよいし、生物試料を 4又容していた包埋カセッ卜の偏平容器 1を使用してもよい。

本発明の包埋カセットは前述の実施例に限定されるものでなく、本発明の要旨の範囲内で部分的に変更したり、或いは部分的に付加して実施することも可能である:，例えば、前述の実施例では窓孔 2 7を偏平容器 2 2の中央部に設け、その窓孔 2 7の内周縁に該偏平容器 2 2の内側に向かって支持枠 2 8を突設し、その支持枠 2 8の先端縁 2 8 と蓋板 2 3の内面との間で多孔皿 2 6の鍔 3 0を挟持している力、'、図 1 7及び図 1 8に示す如く、窓孔 2 7を蓋板 2 3に設け、その窓孔 2 7の内周縁に支持枠 2 8を突設し、その支持枠 2 8の先端縁 2 8 aと偏平容器 2 2の内面とで多孔皿 2 6の鍔 3 0を挟持することも可能である：.

上述の実施例において、多孔皿 2 6は透明な硬質の合成樹脂製の通液性シートで形成しているが、半透明もしくは不透明であっても差し支えない：

また、包埋カセットの底面の大きさに対して窓孔 2 7の開口面積を大きくした場合は、窓孔 2 7に格子 3 8を形成してもよいこの格子 3 8を形成することにより、多孔皿 2 6の底面部分を補強し、また包埋支持基台として使用する場合に強度が増す。また、窓孔 2 7のみの場合に比べて、包埋剤に接触する部分が増えることにより、より一体的に包埋することができる

また前記実施例の蓋板 2 3は硬質合成樹脂で形成されているものについて述べたが、その合成樹脂の代わりに、図 1 9及び図 2 0に示すようにステンレス等の不錡鋼を用いることも可能である. この場合、また係合片 3 4を係合孔 3 5に嵌合することについては前述の実施例と同様であるが、係合片の他の一方をばね状係合子 3 6とし、これを偏平容器 2 2に設けた係合突起 3 7に係合する：さらに図 2 1及び図 2 2に示す実施例は、前述の図 1 9の実施例における係合子 3 6の端縁 3 6 aが外方を向いているのに対して、その端縁 3 6 bが内方を向いている点において異つている。

さらにまた図 2 3及び図 2 4の実施例は、前述の各実施例における支持枠 2 8 が窓孔 2 7の内周縁に沿って突出されているのに対し、その蓋板 2 3の外周縁に沿って突設されている点において異つている。またこの実施例は、係合子 3 6が支持枠 2 8と兼用されている点において図 1 9乃至図 2 2の実施例と異つており、支持枠 2 8で囲まれた部分の容積が増大するので、比較的大型の生物試料 3 1を収容することが可である。

またさらに図 2 5及び図 2 6の実施例は図 2 3及び図 2 4の実施例における係合子 3 6が二つの部分で構成されているのに対し、一体的に構成されている点において異る c

なお、前述の図 1 8、図 2 0、図 2 2、図 2 4、図 2 6は、多孔皿 2 6の開口部 2 9が下向きの状態を示しているが、上述のように生物試料 3 1を収容したり或は支持枠 2 8と偏平容器 2 2の内面とで多孔皿 2 6の鍔 3 0を挟持したりする際は、その偏平容器 2 2及び多孔皿 2 6を図 1 8に示す伏態と上下逆向の伏態にして行うものである,:

上述した実施例に加えて、多孔皿 2 6に定着支持剤 3 2を充塡したのち、多孔皿の開口部 2 9に該定着支持剤 3 2に対して親和性のある親水性シート 3 3を配置してもよい。この親水性シート 3 3は定着支持剤 3 2によく付着するので、これを配置することにより、定着支持剤 3 2をより確実に定着させることができる, したがって、この場合は支持剤の濃度をより薄くすることが可能である。この親水性シート 3 3には、親水性を有し、定着支持剤 3 2の表面に付着し易い材質で、アルコールゃキシレンに溶けない性質をもつもの、例えば和紙、スポンジの薄切片ゃ布等を用いる。

更に、図 2 7に示す如く、親水性シート 3 3の少なくとも一側縁寄りに基準標識 3 9を表示してもよい，この基準標識 3 9は、特に複数の生物試料 3 1を入れた場合、生物試料 3 1を採取した順や、被採取臓器等のどの部分から採取したかという位置関係等を示す必要があるときに有用なもので、例えば基準標識 3 9を起点として複数の生物試料 3 1を一定の基準で並べることと予め決めておき、包埋する際に混同が生じないようにする。

さらにまた、図 2 7の実施例のように、親水性シート 3 3の少くとも一側縁に基準標識 3 9を表示する代わりに、図 2 8に示す如く四角形の親水性シ— ト 3 3 の一角に切欠部 3 3 aを形成して、それを基準標識としたり、或は図 2 9に示す如く、親水性シート 3 3の一角に突起部 3 3 bを形成し、それを基準標識とすることも可能である。

図 1 4乃至図 2 に示したこの発明の実施例は上迹のとおりであり、包埋カセットの偏平容器または蓋板の何れか一方に窓孔を形成し、その窓孔の周縁に包埋カセッ卜の内側に向かって支持枠を突設し、生物試料を斗又容した多孔皿を載置してそれを偏平容器と蓋板により挟持する構成としているので、偏平容器と蓋板の多孔板の孔の大きさを変えることなく、種々の大きさ、特性の生物試料を収容することができ、生物試料の変質防止から脱水、脱脂、透徹、包埋作業時のカゴの役割と、ミク口トームによる薄切時の包埋支持基台の役割を果たすことのできる生物試料の包埋カセットを提供することができ、コストの低下を図ることができる o

また、生物試料を斗又容した多孔皿を偏平容器と蓋板により挟持するので、生物試料が動いたり脱落したりせず、移送等の取扱いが容易になる,，定着支持剤を用いて生物試料を定着させた場合は、より確実に脱落を防ぐことができる

さらにまた、定着支持剤を充填した多孔皿の開口部に、和紙等の定着支持剤に対して親和性のある親水性シ—トを配置することにより、定着支持剤をより確実に定着させることができ、生物試料の脱落を防ぐことができる：また、このシ一トにより定着強度が増すため、定着支持剤の濃度をより薄くすることができ、その分更にコストを下げることが可能である

また、複数の生物試料を定着させる場合、上記親水性シートに基準標識を表示し、これを基準に生物試料を並べれば、試料を採取した順や、臓器等のどの部分から採取したかという位置関係等を容易に把握することができ、その後試料を処理する際に混同を生ずることがない. またさらに、多孔皿を透明な合成樹脂で形成した場合は、ケースを開けずにその内容を透視することができ、試料の確認が容易になる。従って、その包埋処理中に、蓋板を開閉することなく包埋カセットの中の生物試料の種類、数及び状態を確認できる。

またさらに、蓋板に不銷鋼を用いると、蓋板を複数回使用することが可能であるので、さらにコストの低下を図ることができる。産業上の利用可艇性この発明は上述のように定着支持剤の中に生物試料を埋め込んだ伏態で定着させるための定着支持用ケースの主要部である多孔皿を硬質の通液性シートを用いて形成しているので、その多孔皿の形成は単なるプレス加工によって安価に得られるこのことはこの定着支持用ケースの性質上各種医療機関で膨大な数量が使用されるものとして、特に好適であり、多数の患者の病理検査を行い易くして、検査の正確性の向上に利用できる。

Claims

請求の範囲

1 . 定着支持剤の中に生物試料を埋め込んだ状態で定着させるための定着支持用ケースにおいて、該定着用ケースの一部分を構成する支持片に蓋片を開閉自在に設け、該支持片及び蓋片の何れか一方の中央部に穿設せる支持孔に硬質シー卜で形成した多孔皿を嵌合し、その多孔皿の開口部周縁に外側に向って張出している鍔を前記支持片と蓋片の間にそれらで挟持することを特徴とする生物試料の定着支持用ケース

2 . 定着支持剤の中に生物試料を埋め込んだ状態で定着させるための定着支持用ケースにおいて、該定着支持用ケースの一部分を構成する支持片に蓋片を開閉自在に設け、その支持片及び蓋片を硬質のシートをその中程から開閉自在に折り畳んで形成し、該支持片の中央部に支持孔を形成し、該支持孔の周縁部の内側面に、硬質の通液性シー卜で形成される多孔皿の開口部の外周縁に張り出している鍔を、掛脱自在に掛け止めすることを特徴とする生物試料の定着支持用ケースし

3 . 定着支持剤の中に生物試料を埋め込んだ伏態で定着させるための定着支持用ケースにおいて、該定着支持用ケースの一部分を構成する支持片に開閉自在に設け、その支持片及び蓋片を硬質のシ一トをその中程から開閉自在に折り畳んで形成し、該支持片の中央部に支持孔を形成し、該支持孔の周縁部の内側面に、硬質の通液性シ一卜で形成される多孔皿の開口部の外周縁に張り出している鍔を、掛脱自在に掛け止めするとともに、前記多孔皿の開口部に、前記定着支持剤に対して親和性のある親水性シ一トを具備することを特徴とする生物試料の定着支持用ケース。

4 . 支持片と蓋片を形成する硬質のシートが硬質の合成樹脂で構成されていることを特徴とする請求項 2または 3記載の生物試料の定着支持用ケース:

5 . 支持片と蓋片を形成する硬質のシ一卜が硬質の厚紙で構成されていることを特徴とする請求項 2または 3記載の生物試料の定着支持用ケース-

6 . 支持片と蓋片を形成する硬質のシー卜が硬質のパラフィン紙で構成されていることを特徴とする請求項 2または 3記載の生物試料の定着支持用ケース。

7 . 開口部と底部を有する多孔皿を硬質合成樹脂製の通液性シートで形成し、該多孔皿の開口部の外周縁に鍔を一体的に形成することを特徴とする請求項 2または 3記載の生物試料の定着支持用ケース .

8 . 開口部と底部を有する多孔皿の底部に窓孔を有し、該窓孔の内側に通液性のシ一ト状薄片を着脱可能に設けたことを特徴とする請求項 2または 3記載の生物試料の定着支持用ケース。

9 . 多孔皿の開口部に具備されているシ一卜が和紙であることを特徴とする請求項 3記載の生物試料 φ定着支持用ケース

1 0 . 多孔皿の開口部に具備されているシ一卜がスポンジであることを特徴とする請求項 3記載の生物試料の定着支持用ケース。

1 1 . 多孔皿の開口部に具備されているシートが布であることを特徴とする請求項 3記載の生物試料の定着支持用ケース

1 2 . 多孔皿の開口部に具備されているシートの少なくとも一側縁寄りに基準標識を表示することを特徴とする請求項 3記載の生物試料の定着支持用ケース。

1 3 . 定着支持剤の中に生物試料を埋め込んだ状態で定着させるための定着支持用ケースにおいて、硬質のシ一トをその中程から開閉自在に折り畳んで支持片と通液性の蓋片を形成し、該支持片の中央部にそれと一体的に多孔皿を形成し、該多孔皿の開口部を前記蓋片側に向けることを特徴とする生物試料の定着支持用ケ一ス'

1 4 . 定着支持剤の中に生物試料を埋め込んだ状態で定着させるための定着支持用ケースにおいて、硬質のシ一トをその中程から開閉自在に折り畳んで支持片と通液性の蓋片を形成し、該支持片の中央部にそれと一体的に多孔皿を形成し、該多孔皿の開口部を前記蓋片側に向けるとともに、前記多孔皿の開口部に、前記定着支持剤に対して親和性のある親水性シ— トを具備することを特徴とする生物試料の定着支持用ケース。

1 5 . 定着支持剤の中に生物試料を埋め込んだ状態で定着させるための定着支持用ケースにおいて、該定着支持用ケースを構成する多孔板で形成した偏平容器と蓋板を開閉自在に嵌合し、該偏平容器および蓋板の何れか一方に通液性の多孔皿を設置するための窓孔を形成し、その窓孔の周縁に前記偏平容器の内側に向かつて支持枠を突設し、その支持枠と前記蓋板内面との間または支持枠と偏平容器の底部との間で、前記多孔皿の開口部周縁の鍔を挟持することを特徴とする生物試料の包埋カセット。

1 6 . 容器および蓋板の何れか一方に形成されている窓孔に格子が設けられていることを特徴とする請求項 1 5記載の生物試料の包埋カセット_;：

1 7 . 偏平容器が硬質合成樹脂で形成され、また蓋板が不銪鋼で形成されていることを特徴とする ½求項 1 5または 1 6記載の生物試料の包埋カセット _ΰ

1 8 . 不銪鋼で形成されている蓋板の一端縁に偏平容器の係合孔に嵌合する係合片を突設し、他端縁に前記蓋板の一側と係合するばね状係合子を突設することを特徴とする請求項 1 7記載の生物試料の包埋カセット：

1 9 . 多孔皿の開口部に、親水性シートを具備していることを特徴とする請求項 1 5乃至 1 8の何れか一項に記载の生物試料の包埋カセット