明 細 書
極座標変調回路、極座標変調方法、集積回路および無線送信装置 技術分野
[0001] 本発明は、高効率な送信器を実現する極座標変調方式において、位相変調信号 と振幅変調信号との合成時の同期を確保する極座標変調回路、極座標変調方法、 集積回路および無線送信装置に関する。
背景技術
[0002] 近年の携帯電話サービスでは、音声通話に加えてデータ通信に対する需要が拡 大していることから、通信速度の向上が重要である。例えば、主に、ヨーロッパ、アジ ァ地域にて普及している GSM (Global System for Mobile communications )システムにおいては、従来、搬送波の位相を送信データに応じてシフトする GMSK 変調にて音声通話が行われてきた。さらに、搬送波の位相及び振幅を送信データに 応じてシフトすることで、 GMSK変調に対して、 1シンボル当たりのビット情報を 3倍に 高めた 3 π Z8rotating8— PSK変調(以下 8— PSK変調と略す)にて、データ通信 も行う EDGE (Enhanced Data rates for GSM Evolution)方式が提案され ている。
[0003] 8— PSK変調のように振幅変動を伴う線形変調方式では、無線機送信部の電力増 幅部に対する線形性の要求が厳しい。また、一般的に、電力増幅部の線形領域での 電力効率は飽和領域での電力効率に比べて低い。したがって、線形変調方式に、 従来の直交変調方式を適用すると、電力効率の高効率化が困難であった。
[0004] そこで、送信信号を定振幅位相信号と振幅信号に分離して、定振幅位相信号をも とに位相変調器にて位相変調をかけ、電力増幅部が飽和動作をするレベルの定振 幅位相変調信号を入力するとともに、電力増幅部の制御電圧を高速に駆動すること で振幅変調を合成する方式が知られている。これは、 EER法(Envelope Eliminat ion & Restoration)、め ヽ ί 、 polar modulation方式 (ポ ~~ τ ~~変! ^方式、 極座標変調方式)と呼ばれ、線形変調方式にて電力増幅部の高効率化を実現する 方式である (例えば、非特許文献 1参照)。なお、以下では、直交変調方式と異なる
変調方式であることを明確にするため、極座標変調方式と呼ぶ。
[0005] 図 11は 8— PSK変調時の振幅信号に関して、 GSMの 1タイムスロット(577[ /z s]) 中 200〜400 s]部分を抽出してプロットした図である。図 11において、横軸は当 該タイムスロットの開始力もの経過時間、縦軸は振幅信号の振幅である。極座標変調 方式では、定振幅位相変調信号を電力増幅部に入力するため、電力増幅部を飽和 動作点にて使用可能であり、電力効率の面で有利である。
[0006] しかしながら、図 11のような 2[ s]以内に、振幅の極大値 極小値の変極点が存 在する振幅信号を表現するためには、電力増幅部の制御電圧を高速に駆動する必 要がある。そこで、入力制御電圧の変化に対する電力増幅部の出力応答性は、改善 技術 (歪補償技術)が必要である。
[0007] また、極座標変調方式は、送信信号を振幅信号と位相信号とに一度分離し、再合 成する方式であるため、分離後、再合成するまでの間に、振幅信号と位相信号との 間の同期が外れると、再合成時に、送信信号を正確に表現することができない。よつ て、振幅信号と位相信号との間の同期をとる同期調整技術が必要である。
[0008] ここまで説明してきたように、極座標変調方式において必要とされる 2つの技術に関 する従来技術につ!、て説明する。
[0009] まず、極座標変調方式での歪補償及び同期調整に関する従来技術として、所定入 力高周波信号振幅での飽和動作型電力増幅部において、制御電圧に対する出力 信号振幅特'性(AM— AM : Amplitude Modulation to Amplitude Modulat ion conversion)と、通過位相特'性(AM— PM : Amplitude Modulation to P hase Modulation conversion)とをメモリに蓄積しておくものがある。この従来技 術では、前記メモリを参照してプリディストーション方式の歪補償を実施するとともに、 送信信号を振幅信号と位相信号とに分離した後、振幅信号あるいは位相信号の経 路に遅延調整部を配置し、両信号間の同期を確保する (例えば、特許文献 1参照)。
[0010] 図 12は特許文献 1に記載された従来の送信装置を示すブロック図である。図 12に 示すように、この送信装置は、電力増幅部(PA) 900と、極座標変換部 901と、遅延 調整部 902と、メモリ 903と、振幅情報補正部 904及び振幅変調部 905を有する振 幅コントローラ部 906と、位相情報補正部 907及び位相変調部 908を有する位相変
調信号発生器 909とを備える。
[0011] 極座標変換部 901は、図示しないベースバンド信号生成部より入力された IQ信号( I、 Q)を振幅信号 rと定振幅の位相信号 Θとに分離する。遅延調整部 902は、入力す る振幅信号 rと位相信号 Θとにそれぞれ所定の遅延を与え、出力する振幅信号 と 位相信号 Θ 2との同期を確保する。メモリ 903は、電力増幅部 900に所定の入力高 周波信号振幅を与えた状態で、電力増幅部 900に入力される制御信号に対する A M— AM特性及び AM— PM特性を格納する。また、入力振幅信号 r2に応じて電力 増幅部 900の逆特性となる振幅補正信号、位相補正信号を出力する。
[0012] 振幅情報補正部 904は、メモリ 903から出力された振幅補正信号をもとに、入力振 幅信号に対する補正を行う。振幅変調部 905は、振幅情報補正部 904からの出力信 号をもとに、電力増幅部 900の制御電圧を高速に駆動する。位相情報補正部 907は 、メモリ 903から出力された位相補正信号をもとに、入力位相信号に対する補正を実 施する。位相変調部 908は、位相情報補正部 907からの出力信号をもとに、位相変 調を行う。
[0013] このようにして、電力増幅部 900への入力制御信号に対する出力特性の逆特性を 考慮して予め歪ませた振幅変調信号及び位相変調信号は、電力増幅部 900にて発 生する実際の振幅、位相歪の影響を受けて、所望の出力振幅、位相となり、入力制 御電圧に対する出力応答性 (線形性)を向上させることができる。また、遅延調整部 9 02によって、振幅信号、位相信号間の同期を確保することができるため、送信信号 を正確に表現することができる。
[0014] しかしながら、特許文献 1に記載の技術では、歪補償の具体的な方法、同期調整 の具体的な方法が開示されていない。よって、例えば、何らかの要因で振幅信号、位 相信号間の同期が外れる場合には対応できない。
[0015] 図 13は、時間経過に対して徐々に変化(単調増力!]もしくは単調減少)する制御電 圧を、電力増幅部に印加した場合の通過位相特性をプロットした図である。図 13に おいて、横軸は正規化した制御電圧、縦軸は正規化制御電圧 1を基準とした通過位 相回転量である。図中の実線は、正規ィ匕制御電圧を低電圧 (0)から高電圧(1)へと 、単調増加で徐々に変化させた場合 (上り特性)の通過位相特性である。また、図中
の点線は正規ィ匕制御電圧を高電圧(1)から低電圧 (0)へと、単調減少で徐々に変 ィ匕させた場合 (下り特性)の通過位相特性である。なお、実線、点線ともに、電力増幅 部が飽和動作する所定レベルの入力高周波信号振幅(同一値)が供給されている場 合を示している。
[0016] 極座標変調方式においては、電力増幅部の制御電圧を高速に駆動するため、電 力増幅部への制御電圧入力部における容量 (寄生容量を含む)に対する充電時間、 放電時間に差が生じる。このため、図 13のように制御電圧の印加条件が、低電圧か ら高電圧へと変化する場合と、高電圧から低電圧へと変化する場合とで、制御電圧 の変化幅が同一値でも位相変化量が異なる。すなわち、信号変化点にて位相特性 が変化し、これは、振幅信号と位相信号との間の同期が外れることを意味する。
[0017] 次に、極座標変調方式における信号変化点での同期調整に関する従来技術につ いて説明する。このような従来技術として、電力増幅部の出力信号振幅を検波し、検 波信号を微分して信号変化点を求めるものがある。この従来技術では、信号変化点 を求めた後、振幅信号及び位相信号をデジタル形式からアナログ形式に変換するデ ジタルーアナログ変換回路(以下 DAコンバータと略す)に供給する基準クロックに対 する遅延を調整する。そして、信号変化点での同期タイミングを調整する(例えば、特 許文献 2参照)。
[0018] 図 14は、特許文献 2に記載された従来の送信装置を示すブロック図である。図 14 に示すように、この送信装置は、電力増幅部 900、振幅変調部 905、位相変調部 90 8、 DAコンバータ 1101、 1102、基準クロック 1103、変化点検出回路 1104、遅延部 1105を備える。
[0019] DAコンバータ 1101は、図示しないベースバンド信号生成部より入力されたデジタ ル形式の IQ信号 (1、 Q)をアナログ形式の IQ信号へと変換する。 DAコンバータ 110 2は、図示しない極座標変換部にて前記デジタル形式の IQ信号 (1、 Q)から抽出した デジタル形式の振幅信号 (r)をアナログ形式の振幅信号へと変換する。基準クロック 1103は、 DAコンバータ 1101、 1102に変換動作の基準となるクロックを供給する。
[0020] 振幅変調部 905は、アナログ形式の振幅信号をもとに、電力増幅部 900の電源電 圧を高速に駆動する。位相変調部 908は、アナログ形式の IQ信号をもとに位相変調
信号を生成し、電力増幅部 900へと出力する。変化点検出回路 1104は、電力増幅 部 900の出力信号を微分した後、微分値の正負から、信号変化点を検出する。遅延 部 1105は、変化点検出回路 1104にて検出した信号変化点にて、 DAコンバータ 11 01と 1102での変換タイミング、すなわち、 IQ信号より抽出した振幅信号と位相信号 との間の同期を調整する。この構成により、信号変化点を検出し、信号変化点にて振 幅信号と位相信号の同期を確保することが可能となる。
[0021] 特許文献 1:特表 2004— 501527号公報 (第 11図)
特許文献 2:特表 2002— 530992号公報 (第 2図)
特干文献 1 : Kenington, Peter B、 High— Linearity RF Ampliner Design 、 Artech H ouse Pulishers (第 162頁、第 4. 18図)
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0022] 極座標変調方式にお!、て、送信信号を正確に表現するためには、振幅信号と位相 信号との間の同期を確保する同期調整技術が必要である。以上のような極座標変調 方式を実現するのに必要な技術に対して、従来技術にて解決されていない課題に ついて、次に説明する。
[0023] 特許文献 1にて示した極座標変調方式での同期調整技術では、同期確保の具体 的な方法が開示されていないため、何らかの要因で振幅信号、位相信号間の同期 がずれる場合には対応できな 、。
[0024] 特許文献 2にて示した極座標変調方式における信号変化点での同期調整技術で は、電力増幅部 900の出力信号を分岐し、フィードバックする系が必要となることから
、回路規模が増大するとともに、電力増幅部 900の出力部分での損失が増加し、送 信装置の効率が低下する。また、信号変化点以外に同期が外れる要因がある場合 に対応できない。
[0025] 本発明は、上記従来の事情に鑑みてなされたものであって、極座標変調方式にお いて、回路規模の増大を抑制しながら、位相変調信号と振幅変調信号との合成時の 同期を確保することが可能な極座標変調回路、極座標変調方法、集積回路および 無線送信装置を提供することを目的とする。
課題を解決するための手段
[0026] 本発明の極座標変調回路は、第 1に、送信データにより生成したベースバンド直交 信号から、振幅信号を生成する極座標変換部と、前記振幅信号を基に振幅変調信 号を生成する振幅変調部と、前記ベースバンド直交信号の少なくとも位相成分を有 する信号を基に、無線周波数帯の位相変調信号を生成する位相変調部と、前記位 相変調信号を入力高周波信号として入力し、前記振幅変調信号を制御信号として入 力することで、無線周波数帯の送信データを生成する増幅部と、前記振幅信号の振 幅値又は前記送信データの無線送信レベルを示す送信レベル情報に応じた前記振 幅信号と前記位相信号との経路間遅延差を補正するための遅延量情報を格納する 遅延量判断部と、前記遅延量情報を基に、前記振幅信号又は前記少なくとも位相成 分を有する信号に対して遅延を与える遅延調整部と、を含む。
[0027] この構成により、前記増幅部からの出力信号を分岐し、フィードバックする系を必要 とせず、簡易な構成で、位相信号と振幅信号の経路間遅延差を補償することができ る。
[0028] 本発明の極座標変調回路は、第 2に、上記第 1の極座標変調回路であって、所定 の振幅補正処理用プリディストーション歪補償処理データを格納し、前記振幅信号を 基に、前記振幅信号又は前記少なくとも位相成分を有する信号に対して、それぞれ 振幅補正信号又は位相補正信号を出力するメモリ部、をさらに備える。
[0029] この構成により、上記第 1の極座標変調回路での効果に加え、歪補償精度を向上 できる。
[0030] 本発明の極座標変調回路は、第 3に、上記第 1または第 2の極座標変調回路であ つて、前記遅延量情報は、前記増幅部への入力制御信号に対する前記増幅部の出 力のステップ応答特性に基づいて決定した値である。
[0031] この構成により、上記第 1または第 2の極座標変調回路での効果に加え、遅延調整 量の決定が容易となる。
[0032] 本発明の極座標変調回路は、第 4に、上記第 1または第 2の極座標変調回路であ つて、前記遅延量判断部は、前記遅延量情報を、前記振幅信号の振幅値又は前記 送信レベル情報毎に格納するデータテーブルを有する。
[0033] この構成により、極座標変調方式において、回路規模の増大を抑制しながら、位相 変調信号と振幅変調信号の合成時の同期を確保することができる。
[0034] 本発明の極座標変調回路は、第 5に、上記第 1または第 2の極座標変調回路であ つて、前記位相変調部は、前記遅延調整部より出力される位相情報を基に、所定の 振幅値を有する直交信号を生成する直交座標変換部と、前記直交信号を基に、無 線周波数帯の位相変調信号を生成し、前記増幅部に対して出力する直交変調部と を備える。
[0035] この構成により、位相変調信号と振幅変調信号の合成時の同期を確保するための 回路規模を低減することができる。
[0036] 本発明の極座標変調回路は、第 6に、上記第 1ないし第 3の極座標変調回路であ つて、前記遅延調整部は、前記極座標変調回路を構成するデジタル信号処理部の 所定動作クロック単位での遅延調整を行う第一の遅延調整部と、前記クロック単位未 満での遅延調整を行う第二の遅延調整部とを備える。
[0037] この構成により、デジタル信号処理部の所定動作クロックの制約を受けることなぐ 遅延調整ステップの精度を向上することができる。
[0038] 本発明の極座標変調回路は、第 7に、上記第 6の極座標変調回路であって、前記 第二の遅延調整部は、所定動作クロック単位での遅延調整後の複数の信号振幅値 と前記遅延量情報とに基づき線形補間する。
[0039] この構成により、簡単な構成にて、遅延調整ステップの精度を向上することができる
[0040] 本発明の極座標変調回路は、第 8に、送信データにより生成したベースバンド直交 信号から、振幅信号を生成する極座標変換部と、前記振幅信号を基に振幅変調信 号を生成する振幅変調部と、前記ベースバンド直交信号の少なくとも位相成分を有 する信号を基に、無線周波数帯の位相変調信号を生成する位相変調部と、前記位 相変調信号を入力高周波信号として入力し、前記振幅変調信号を制御信号として入 力することで、無線周波数帯の送信データを生成する増幅部と、前記振幅信号の振 幅値又は前記送信データの無線送信レベルを示す送信レベル情報に応じて、前記 振幅信号と前記位相信号との位相差を補正するための位相調整量情報を格納する
位相調整量判断部と、前記位相調整量情報を基に、前記振幅信号又は前記少なく とも位相成分を有する信号の位相を調整する位相調整部と、を備える。
[0041] この構成により、位相変調信号と振幅変調信号の合成時の同期を確保するための 回路規模を低減することができる。
[0042] 本発明の極座標変調回路は、第 9に、上記第 8の極座標変調回路であって、所定 の振幅補正処理用プリディストーション歪補償処理データを格納し、前記振幅信号を 基に、前記振幅信号又は前記少なくとも位相成分を有する信号に対して、それぞれ 振幅補正信号又は位相補正信号を出力するメモリ部、をさらに備える。
[0043] この構成により、位相変調信号と振幅変調信号の合成時の同期を確保するとともに
、歪補償精度を向上できる。
[0044] 本発明の極座標変調回路は、第 10に、上記第 9の極座標変調回路であって、前記 位相調整部は、前記位相調整量情報と前記位相補正信号とを乗算する乗算回路に より構成される。
[0045] この構成により、位相変調信号と振幅変調信号の合成時の同期を確保するための 回路規模を低減することができる。
[0046] 本発明の極座標変調回路は、第 11に、上記第 9の極座標変調回路であって、前記 位相調整量判断部は、前記位相調整量情報を、前記振幅信号の振幅値又は前記 送信レベル情報毎に格納するデータテーブルを有する。
[0047] この構成により、極座標変調方式において、回路規模の増大を抑制しながら、位相 変調信号と振幅変調信号の合成時の同期を確保することができる。
[0048] 本発明の極座標変調方法は、第 12に、送信データにより生成したベースバンド直 交信号から、振幅信号を生成する極座標変換ステップと、前記振幅信号を基に振幅 変調信号を生成する振幅変調ステップと、前記ベースバンド直交信号の少なくとも位 相成分を有する信号を基に、無線周波数帯の位相変調信号を生成する位相変調ス テツプと、前記位相変調信号を入力高周波信号として入力し、前記振幅変調信号を 制御信号として入力することで、無線周波数帯の送信データを生成する増幅ステツ プと、前記振幅信号の振幅値又は前記送信データの無線送信レベルを示す送信レ ベル情報に応じた、前記振幅信号と前記位相信号との経路間遅延差を補正するた
めの遅延量情報を格納する遅延量判断ステップと、前記遅延量情報を基に、前記振 幅信号又は前記少なくとも位相成分を有する信号に対して、遅延を与える遅延調整 ステップと、を備える。
[0049] この方法により、前記増幅ステップ後の出力信号を分岐し、フィードバックするステ ップを必要とせず、簡易に、位相信号と振幅信号の経路間遅延差を補償することが できる。
[0050] 本発明の集積回路は、第 13に、上記第 1ないし第 11のいずれかの極座標変調回 路を実装したものである。
[0051] この構成により、上記第 1ないし第 11のいずれかの極座標変調回路による効果に 加え、回路規模を低減できる。
[0052] 本発明の無線送信装置は、第 14に、上記第 1ないし第 11のいずれかの極座標変 調回路又は上記第 13の集積回路を有する。
[0053] この構成により、高効率な無線送信装置を実現することができる。
発明の効果
[0054] 本発明によれば、極座標変調方式において、回路規模の増大を抑制しながら、位 相信号と振幅信号の経路間遅延差を補償することが可能な極座標変調回路、極座 標変調方法、集積回路および無線送信装置を提供することができる。
図面の簡単な説明
[0055] [図 1]本発明の第 1の実施形態による極座標変調回路の構成を示す図
[図 2]本発明の第 1の実施形態による電力増幅部の AM— AM特性、 AM— PM特性 を示す図
[図 3]本発明の第 1の実施形態による極座標変調回路の他の構成を示す図
[図 4]本発明の第 1の実施形態による電力増幅部の構成を示す図
[図 5]本発明の第 1の実施形態による電力増幅部のステップ応答特性を示す図
[図 6]本発明の第 2の実施形態による極座標変調回路の構成を示す図
[図 7]本発明の第 3の実施形態による極座標変調回路の構成を示す図
[図 8]本発明の第 4の実施形態による遅延調整部の構成を示す図
[図 9]本発明の第 5の実施形態による極座標変調回路の構成を示す図
圆 10]本発明の第 5の実施形態による電力増幅部の AM— PM特性を示す図 圆 11]従来の技術による 8— PSK変調時の振幅信号一例を示す図 圆 12]従来の技術による送信装置の構成を示すブロック図
[図 13]従来の技術による電力増幅部の AM— PM特性の変化を示す図
[図 14]従来の技術による送信装置の構成を示すブロック図
符号の説明
101、 302、 903 メモリ
102 遅延量判断部
103、 103B、 104、 301、 902 遅延調整部
103C 第一の遅延調整部
103D 第二の遅延調整部
105、 900 電力増幅部
106、 901 極座標変換部
107、 904 振幅情報補正部
108、 905 振幅変調部
109、 906 振幅コントローラ部
110、 907 位相情報補正部
111、 908 位相変調部
112、 112B、 112C、 909 位相変調信号発生部
111C 直交変調部
113 直交座標変換部
201 AM— AM特性
202、 701、 702 AM— PM特性
203 振幅信号
204 補正後振幅信号
205 位相補正信号
401 トランジスタ
402 ベース端子
403 ェミッタ端子
404 コレクタ端子
405 ベース コレクタ間容量
501、 502 電力増幅部もステップ応答特性
503 遅延量
601 位相調整量判断部
602 位相調整部
1101、 1102 DAコンバータ
1103 基準クロック
1104 変化点検出回路
1105 遅延部
[0057] (第 1の実施形態)
本発明の第 1の実施形態は、極座標変調回路における電力増幅部の動作を解析 して遅延発生要因を推定し、前記遅延発生要因を特定することで、プリディストーショ ン方式の同期調整を行い、電力増幅器力もの出力信号を分岐するフィードバック系 を用いな!/、で同期を確保する方法につ!、て説明するものである。
[0058] 図 1は、本発明の第 1の実施形態における極座標変調回路の概略構成の一例を示 す図である。図 1に示すように、この極座標変調回路は、電力増幅部 105と、極座標 変換部 106と、振幅情報補正部 107及び振幅変調部 108を有する振幅コントローラ 部 109と、位相情報補正部 110及び位相変調部 111を有する位相変調信号発生部 112と、メモリ 101と、遅延量判断部 102と、遅延調整部 103、 104とを備える。
[0059] 極座標変換部 106は、本発明の極座標変調回路を送信装置に用いた場合に、図 示しない送信装置のベースバンド信号生成部より入力された送信データである IQ信 号 (1、 Q)を、振幅信号 rと定振幅の位相信号 Θとに分離する。ここで、例えば、振幅 信号 r (t)は最大値が 1となるように正規化される。
[0060] 振幅情報補正部 107は、メモリ 101から出力された振幅補正信号をもとに、入力振 幅信号に対する補正を行う。振幅変調部 108は、振幅情報補正部 107からの出力信 号をもとに、電力増幅部 105の制御電圧を高速に駆動する。
[0061] 位相情報補正部 110は、メモリ 101から出力された位相補正信号をもとに、入力位 相信号に対する補正を実施する。位相変調部 111は、位相情報補正部 110からの 出力信号をもとに、無線周波数帯の位相変調信号を生成し、電力増幅部 105に対し て出力する。
[0062] 電力増幅部 105は、位相変調部 111より出力される位相変調信号を入力高周波信 号として入力するとともに、振幅変調部 108より出力される振幅変調信号を制御信号 として入力することで、無線周波数帯の送信データを生成する。
[0063] 送信レベル情報 S1は、本発明の極座標変調回路を送信装置に用いた場合に、図 示しない送信装置の制御部より送信される電力増幅部 105の後段に配置する図示し ないアンテナ力もの平均出力レベルを決定する情報であり、メモリ 101及び遅延量判 断部 102に入力される。ここで、送信レベル情報とは、例えば、 900MHz帯 GSMバ ンドにおいて 8— PSK変調にて送信している移動局の場合、 33dBmから 5dBmの間 を 2dBステップにて規定されるアンテナ出力レベルに対応するものである。
[0064] メモリ 101は、電力増幅部 105に所定の入力高周波信号振幅を与えた状態で、電 力増幅部 105に入力される制御信号に対する AM— AM特性と AM— PM特性とを 格納する。
[0065] また、メモリ 101は、極座標変換部 106より出力される振幅信号 r(t)を参照信号とし て、格納されている AM— AM特性と AM— PM特性とにアクセスし、前記 AM— AM 特性の逆特性となる振幅補正信号 Rcomp (t)を振幅情報補正部 107に出力し、前 記 AM— PM特性の逆特性となる位相補正信号 Tcomp (t)を位相情報補正部 110 に出力する。
[0066] また、メモリ 101では、送信レベル情報 S1をもとにした AM— AM特性の正規化処 理を行っている。具体的には、所望出力レベル (平均電力)に対して、変調方式に応 じた振幅情報の最大値 平均値 (ピークファクタ)を考慮した最大送信電力をもとに、 格納 AM— AMデータにおける出力信号振幅の正規ィ匕を実施することで、所望出力 レベルごとに補正を行うものである。この正規ィ匕によって、入力振幅情報 r (t)をァドレ ス指定信号とした AM— AMデータへのアクセスが可能となる。
[0067] 遅延量判断部 102は、極座標変換部 106より出力された振幅信号!: (t)の振幅値と
送信レベル情報 siとに対応する予め求めた遅延量をデータテーブル力 参照する ことで、振幅信号 rと位相信号 Θとの間の同期ズレを算出する。そして、同期ズレを補 正するための遅延量情報を遅延調整部 103、 104に送信する。この遅延量判断部 1 02の詳細な動作は後述する。
[0068] 遅延調整部 103は、遅延量判断部 102より送信された遅延量情報をもとに、極座 標変換部 106より出力される位相信号 Θ (t)に対して、時間てだけ遅延を与えた位 相信号 0 (t— τ )を生成し、位相情報補正部 110に出力する。
[0069] 遅延調整部 104は、遅延量判断部 102より送信された遅延量情報をもとに、メモリ 1 01より送信される位相補正信号 Tcomp (t)に対して、時間 τだけ遅延を与えた位相 補正信号 Tcomp (t— τ )を生成し、位相情報補正部 110に出力する。
[0070] ここで、遅延調整部 104にて、遅延調整部 103と同等の遅延量を与えることで、位 相情報補正部 110への入力信号である、位相信号と位相情報補正信号との間の同 期を確保している。
[0071] 次に、振幅信号及び位相信号の補正方法の一例を、図 2を用いて説明する。図 2 は、電力増幅部 105の AM— AM特性、 AM— PM特性の一例を示す図である。
[0072] 図 2において、 AM— AM特性 201は、制御電圧に対する出力電圧特性 (AM— A M特性)であり、 AM— PM特性 202は、制御電圧に対する通過位相特性 (AM— P M特性)であり、ネットワークアナライザ等を用いて簡易に取得できるものである。図 2 は、所望の電力増幅部 105における出力電圧、制御電圧、位相回転量の関係を示 したものであり、歪補償方法の一例も併記して ヽる。
[0073] すなわち、 AM— AM特性 201に関して、出力電圧軸力も制御電圧軸への変換を 行うことは、 AM— AM特性 201の逆特性を求めることになり、極座標変換部 106より 出力される信号が、 AM— AM特性 201の逆特性より求めた補正後振幅信号 r2 (t) 2 04となり、振幅信号の歪補償を行うことができる。
[0074] また、 AM— PM特性 202に関しては、補正後振幅信号 r2 (t)が電力増幅部 105へ 入力する制御電圧となることから、制御電圧軸から位相回転量軸への変換を行うこと で、メモリ 101より送信される位相補正信号 Tcomp (t) 205を求めることができる。こ の位相補正信号 Tcomp (t) 205を入力位相信号カゝら減算することで、位相信号の歪
補償を行うことができる。
[0075] 以上のように構成することにより、本発明の第 1の実施形態の一つ目の効果として、 電力増幅部への入力制御信号に対する出力特性の逆特性を考慮して予め歪ませた 振幅変調信号及び位相変調信号は、電力増幅部にて発生する遅延量を考慮するこ とで、実際の振幅、位相歪の影響を受けて所望の出力振幅、位相となり、入力制御 電圧に対する出力信号の線形性を向上させることができる。
[0076] また、本発明の第 1の実施形態における送信装置の他の例として、図 3に示す構成 を備えてもよい。
[0077] 図 3は、本発明の第 1の実施形態の極座標変調回路の概略構成の他の例を示す 図である。図 3に示すように、この極座標変調回路は、電力増幅部 105と、極座標変 換部 106と、振幅情報補正部 107及び振幅変調部 108を有する振幅コントローラ部 109と、位相情報補正部 110及び位相変調部 111を有する位相変調信号発生部 11 2と、遅延量判断部 102と、遅延調整部 103、 301と、メモリ 302とを備える。そして、 図 1の極座標変調回路において、遅延調整部 104の代わりに遅延調整部 301が、メ モリ 101の代わりにメモリ 302が、それぞれ設けられている。なお、図 1の極座標変調 回路と重複する部分については、同一の符号を付す。
[0078] 送信レベル情報 S 1は、本発明の極座標変調回路を送信装置に用いた場合に、図 示しない送信装置の制御部より送信される電力増幅部 105の送信レベル情報であり 、メモリ 302及び遅延量判断部 102に入力される。
[0079] 遅延調整部 301は、遅延量判断部 102より送信された遅延量情報をもとに、極座 標変換部 106より送信される振幅信号!: (t)に対して、時間 τだけ遅延を与えた振幅 信号 r (t— τ )を生成し、メモリ 302に対して、 AM— ΡΜ特性の参照信号として振幅 信号 r (t— τ )を出力するとともに、 AM— AM特性の参照信号として振幅信号!: (t)を 出力する。
[0080] ここで、 AM— PM特性の参照信号に対して与える遅延時間ては、遅延調整部 10 3が極座標変換部 106より送信される位相信号 Θ (t)に対して与える遅延時間てと同 一とすることで、位相情報補正部 110への入力信号である、位相信号と位相情報補 正信号との間の同期を確保している。
[0081] メモリ 302は、所定振幅の高周波信号入力時の電力増幅部 105の、入力制御信号 に対する AM— AM特性と AM— PM特性を格納する。また、メモリ 302は、遅延調整 部 301より出力される信号のうち、一方の振幅信号 r(t)を参照信号として AM— AM 特性にアクセスし、前記 AM— AM特性の逆特性となる振幅補正信号 Rcomp (t)を 振幅情報補正部 107に出力し、遅延調整部 301より出力される信号のうち、他方の 振幅信号 r (t— τ )を参照信号として AM— PM特性にアクセスし、前記 AM— PM特 性の逆特性となる位相補正信号 Tcomp (t)を位相情報補正部 110に出力する。
[0082] また、メモリ 302では、メモリ 101と同様な送信レベル情報 S1をもとにした AM— A M特性の正規ィ匕処理を行っているが、既に図 1において説明したため、ここでの説明 は省略する。なお、図 3における他の構成要件については、図 1における動作、作用 と同様であり、説明を省略する。以上のように構成することにより、図 1に示す極座標 変調回路と同等の効果を得ることができる。
[0083] 次に、遅延量判断部 102の動作を詳述する。ここで、動作説明に先立ち、極座標 変調方式に用いられる電力増幅部 105の特徴にっ 、て説明する。
[0084] 図 4は、極座標変調方式における電力増幅部 105の周辺ブロック図である。図 4に おいて、トランジスタ 401は、電力増幅部 105を構成するものであり、トランジスタ 401 のベース端子 402、ェミッタ端子 403、コレクタ端子 404により構成され、空乏層容量 405は、トランジスタ 401のベース端子 402とコレクタ端子 404との間に形成される容 量である。なお、この例では簡略ィ匕するため、電力増幅部 105がトランジスタ 401— 段にて構成されるとした。
[0085] 極座標変調方式に用いる電力増幅部 105では、図 4に示すように信号が入力され る。すなわち、ベース端子 402にベースバンド帯信号をキャリア変調した位相変調信 号が入力され、コレクタ端子 404にはベースバンド帯信号が入力される。ここで、通常 、ベースバンド帯信号とキャリア信号との周波数は大幅に異なる。
[0086] この時、ベースバンド帯の振幅信号をもとに、振幅変調部 108にて生成されるトラン ジスタ 401の制御信号、つまり、図 4では、振幅信号に応じてコレクタ端子 404のコレ クタ電位が変化するため、空乏層容量 405が変化する。特に、トランジスタ 401の出 力平均電力を低減するために、コレクタ端子 404の平均電位を下げるよう制御してい
る場合には、空乏層容量 405は増大する。
[0087] 本願発明者は、極座標変調方式では、ベース端子 402への入力信号とコレクタ端 子 404への入力信号との周波数が異なることと、制御電圧の変化に起因してベース 端子 402とコレクタ端子 404との間の空乏層容量 405が変化することに着目した。こ の場合、制御電圧の振幅値に応じた空乏層容量 405の変化の影響で、ベース端子 402に入力する位相変調信号と、振幅変調信号との信号間の相対遅延量が変化す る。
[0088] 具体的には、図 4の例では、振幅信号最大値レベルの制御電圧を印加する際に同 期を合わせても、振幅信号の最大値レベルでの空乏層容量 405の容量値と最小値 レベルでの容量値が異なり、最小値レベルでの容量値は最大値レベルでの容量値 よりも増大する。このため、振幅信号最小値レベル時には、振幅信号最大値レベル 時よりも振幅信号の遅延量が増加して同期が外れてしまうというメカニズムである。
[0089] 送信電力制御を行う無線システムでは、この容量値の変化がさらに大きくなり、最大 送信電力レベル時と、最小送信電力レベル時では、同期を取り直すことが必要となる
[0090] そこで、電力増幅部 105への制御電圧の振幅値に応じて同期を調整することで、 信号変化点以外に同期が外れる要因への対応と、電力増幅部 105の出力信号をフ イードバックする系を不要とすることを実現した。
[0091] 次に、遅延量判断部 102の動作説明を行う。上述の通り、電力増幅部 105への制 御電圧の振幅値に応じて、同期外れが生じる。そこで、制御電圧の振幅値 (振幅変 調部 108の出力信号)に応じて、どの程度の遅延が生じるのかを求めた。図 5は、電 力増幅部 105に、一定値の出力レベルを得るために、固定の制御電圧を印加する際 のステップ応答特性を示す。図 5において、横軸は制御電圧を印加してから所望出 カレベルに達するまでの起動時間、縦軸は電力増幅部 105の出力電力を示す。
[0092] また、ステップ応答特性 A501、ステップ応答特性 B502は、ステップ応答特性 A50 1、ステップ応答特性 B502の順に出力電力レベルを下げた場合のステップ応答特 性を示す。また、遅延量 503はステップ応答特性 A501とステップ応答特性 B502と の間で生じる遅延量を示す。
[0093] 図 5に示す例では、コレクタ端子 404に入力される制御電圧レベル(出力電カレべ ル)に対して 2種類のステップ応答特性を示す力 さらに細かい間隔及び、範囲を拡 大した制御電圧を印加した際のステップ応答特性を事前に取得しておくこともできる 。その場合、例えば、ターゲットとなる無線システムの送信平均電力レベルのうち、最 大値レベル時にて、振幅信号と位相信号間の同期を合わせておく。そして、送信レ ベルを制御した際には、上述のように事前に求めた、制御電圧値(出力電力)毎の遅 延量 503をもとに、送信レベル変更に伴う遅延調整を行うことで、常に同期を確保す ることができる。また、同一送信レベルでも、変調信号の振幅成分を表現する制御信 号の振幅値に応じて遅延調整を行うことで、さらに精度よく同期を確保することができ る。
[0094] すなわち、遅延量判断部 102では、上述のように求めた遅延量 503を、振幅信号 の振幅値、送信レベル情報 S1毎にテーブルデータとして用意しておき、振幅信号の 振幅値、あるいは、送信レベル情報 S1を参照信号として、遅延調整部に遅延量情報 を送信することで、振幅信号と位相信号との同期調整を行うことができる。
[0095] なお、振幅信号 r (t)の信号変化点に対応するためには、遅延量判断部 102にて、 所定時間内の振幅信号をサンプリングし、前記振幅信号の相対関係を求めることで 、信号変化点での同期確保を行うこともできる。例えば、前サンプリング値と現サンプ リング値とを引き算し、算出結果の符号が反転した場合を、信号変化点であると判断 する。
[0096] 以上説明してきたように、本発明の第 1の実施形態では、遅延量判断部 102に、電 力増幅部 105のステップ応答特性をもとにした、振幅信号の振幅値と送信レベル情 報 S1とに対する遅延量情報をテーブルデータとして格納し、振幅信号の振幅に応じ て、位相変調信号の遅延量を調整する。これにより、本発明の第 1の実施形態の二 つ目の効果として、従来技術では解決できな力つた、信号変化点を含める振幅信号 の振幅値の変化に起因する、位相変調信号と振幅変調信号との合成時における同 期外れへの対応を、電力増幅部 105の出力信号を分岐し、フィードバックする系を用 いることなく行うことができる。
[0097] なお、キャリア周波数、ベースバンド周波数に応じて、遅延量が変化するため、キヤ
リア周波数、あるいは、ベースバンド信号帯域幅に対応した遅延量のテーブルデー タを用意してもよい。そして、図示しない送信装置の制御部より送信されるキャリア周 波数情報や、ベースバンド帯域幅と等価となるシステム情報をもとに遅延量を調整す ることで、より高精度に同期を確保することができることは言うまでもない。
[0098] また、本発明の第 1の実施形態では、位相信号経路に遅延調整部を挿入し、それ に伴 、位相補正信号生成経路にも遅延調整部を挿入する構成としたが、これに限ら ず、振幅信号経路と、振幅補正信号生成経路に遅延調整部を挿入してもよい。また 、振幅信号経路、振幅補正信号生成経路、位相信号経路、位相補正信号生成経路 の両経路に遅延調整部を挿入してもよ ヽことは言うまでもな 、。
[0099] なお、本発明の第 1の実施形態では、電力増幅器からの出力信号を分岐するフィ ードバック系を使用せずに同期を確保する方法を説明したが、同期確保以外の目的 にて、フィードバック回路を設けている極座標変調回路と組み合わせて使用してもよ いことは言うまでもない。
[0100] また、本発明の第 1の実施形態における極座標変調回路を送信装置に用いる場合 には、図 1、あるいは、図 3における振幅情報補正部 107と振幅変調部 108との段間 、位相情報補正部 110と位相変調部 111との段間に、図示しない DAコンバータを配 置する。
[0101] (第 2の実施形態)
本発明の第 2の実施形態は、本発明の第 1の実施形態よりも回路規模を低減可能 な回路構成について説明するものである。
[0102] 図 6は、本発明の第 2の実施形態の極座標変調回路の概略構成の一例を示す図 である。図 6に示すように、この極座標変調回路は、電力増幅部 105と、極座標変換 部 106と、振幅情報補正部 107及び振幅変調部 108を有する振幅コントローラ部 10 9と、位相情報補正部 110と遅延調整部 103Bと位相変調部 111とを有する位相変 調信号発生部 112Bと、遅延量判断部 102と、メモリ 101とを備える。また、本発明の 第 1の実施形態に示す図 1の極座標変調回路において、極座標変換部 106と位相 情報補正部 110との段間に位置する遅延調整部 103の代わりに、位相情報補正部 1 10と位相変調部 111との段間に遅延調整部 103Bを設けるとともに、遅延調整部 10
4を削除する構成とした。なお、図 1の極座標変調回路と重複する部分については、 同一の符号を付す。
[0103] 遅延量判断部 102は、極座標変換部 106より出力された振幅信号!: (t)の振幅値と 送信レベル情報 S1とに対応する予め求めた遅延量を、データテーブル力も参照す る。そして、振幅信号 rと位相信号 Θとの間の同期ズレを算出し、同期ズレを補正する ための遅延量情報を、遅延調整部 103Bに送信する。この遅延量判断部 102の動作 は、実施の形態 1にて説明済みであり、再度の説明は省略する。
[0104] 遅延調整部 103Bは、遅延量判断部 102より送信された遅延量情報をもとに、位相 情報補正部 110より出力される位相補正後の位相信号 Θ 2 (t)に対して、時間てだ け遅延を与えた位相信号 Θ 2 (t- τ )を生成し、位相変調部 111に出力する。
[0105] なお、図 6における他の構成要件については、図 1における動作、作用と同様であ り、説明を省略する。以上のように構成することにより、図 1に示す極座標変調回路と 同等の効果を得ることができるとともに、図 1に示す極座標変調回路よりも回路規模を 低減することができる。
[0106] なお、本発明の第 2の実施形態では、位相信号経路に遅延調整部 103Bを挿入す る構成としたが、これに限らず、振幅信号経路に遅延調整部 103Bを挿入しても、振 幅信号経路、位相信号経路の両経路に遅延調整部 103Bを挿入してもよ ヽことは言 うまでもない。
[0107] また、本発明の第 2の実施形態における極座標変調回路を送信装置に用いる場合 には、図 6における振幅情報補正部 107と振幅変調部 108との段間、遅延調整部 10 3Βと位相変調部 111との段間に、図示しない DAコンバータを配置する。ただし、遅 延調整部 103Bをアナログ回路にて構成する場合には、位相情報補正部 110と遅延 調整部 103Bとの段間に図示しない DAコンバータを配置する。
[0108] (第 3の実施形態)
本発明の第 3の実施形態は、本発明の第 2の実施形態における位相変調部として 直交変調器を用いる場合にっ 、て説明するものである。
[0109] 図 7は、本発明の第 3の実施形態の極座標変調回路の概略構成の一例を示す図 である。図 7に示すように、この極座標変調回路は、電力増幅部 105と、極座標変換
部 106と、振幅情報補正部 107及び振幅変調部 108を有する振幅コントローラ部 10 9と、位相情報補正部 110と遅延調整部 103Bと直交座標変換部 113と直交変調部 111じとを有する位相変調信号発生部112じと、遅延量判断部 102と、メモリ 101とを 備える。また、本発明の第 2の実施形態に示す図 6の極座標変調回路に対して、直 交座標変換部 113を追加するとともに、位相変調部 111を直交変調部 111Cへと置 き換える構成とした。なお、図 6の極座標変調回路と重複する部分については、同一 の符号を付す。
[0110] 遅延調整部 103Bは、遅延量判断部 102より送信された遅延量情報をもとに、位相 情報補正部 110より出力される位相補正後の位相信号 Θ 2 (t)に対して、時間てだ け遅延を与えた位相情報 Θ 2 (t- τ )を生成し、直交座標変換部 113に出力する。
[0111] 直交座標変換部 113は、遅延調整部 103Bより出力される位相情報 0 2 (t— τ )を もとに、所定の振幅値を有する直交信号を生成し、直交変調部 111Cに対して出力 する。
[0112] 直交変調部 111Cは、直交座標変換部 113より出力される直交信号をもとに、無線 周波数帯の位相変調信号を生成し、電力増幅部 105に対して出力する。
[0113] 電力増幅部 105は、直交変調部 111Cより出力される位相変調信号を入力高周波 信号として入力するとともに、振幅変調部 108より出力される振幅変調信号を制御信 号として入力することで、無線周波数帯の送信データを生成する。
[0114] なお、図 7における他の構成要件については、図 6における動作、作用と同様であ り、説明を省略する。以上ように構成することで、直交変調器を用いて極座標変調回 路を構成することができる。
[0115] なお、本発明の第 3の実施形態では、位相信号経路に遅延調整部 103Bを挿入す る構成としたが、これに限らず、振幅信号経路に遅延調整部 103Bを挿入しても、振 幅信号経路、位相信号経路の両経路に遅延調整部 103Bを挿入してもよ ヽことは言 うまでもない。
[0116] また、本発明の第 3の実施形態における極座標変調回路を送信装置に用いる場合 には、図 7における振幅情報補正部 107と振幅変調部 108との段間、直交座標変換 部 113と直交変調部 111Cとの段間に、図示しな 、DAコンバータを配置する。
[0117] (第 4の実施形態)
本発明の第 4の実施形態は、本発明の第 1から第 3の実施形態における遅延調整 部の回路構成の一例について説明するものである。また、本発明の第 4の実施形態 は、前記遅延調整部を用いた遅延調整動作について説明するものである。
[0118] 本発明の第 4の実施形態の極座標変調回路の概略構成の一例を図 6により説明す る。なお、図 6は、本発明の第 2の実施形態にて説明したものであり、重複する部分の 説明は省略する。
[0119] 図 6に示す極座標変調回路を用いて送信装置を構成する場合、デジタル信号処理 部は、所定周波数のクロックを基準として動作するため、デジタル回路における一般 的な遅延回路を用いることで、前記基準クロックの周期単位の遅延調整 (第一の遅延 調整部)は容易である。
[0120] また、前記基準クロックを分周して周期時間を短縮することで、高精度な遅延調整 が可能である。し力しながら、分周回路を動作させること、あるいは、デジタル回路を 高速動作させることにより消費電流が増加するため、基準クロックの分周による遅延 調整の高精度化と消費電流とはトレードオフの関係となる。
[0121] ここで、本発明の第 1から第 3の実施形態における遅延調整部は、基準クロックの周 期単位未満の遅延調整ステップを実現することで、遅延量判断部からの出力信号に 応じた高精度な遅延調整を行うことを特徴とする。このため、基準クロックの分周構成 以外の方法にて、基準クロックの周期単位未満の遅延調整ステップを得ることが必要 である。
[0122] そこで、分周回路構成を用いずに、演算処理にて、基準クロックの周期単位未満の 遅延調整ステップを得る一例について説明する。
[0123] 基準クロックの 1周期をて とする。また、時刻 tに対して、基準クロックの n周期、 (n
elk
+ 1)周期の遅延を与えた時刻 (t-n X τ )、及び、時刻 (t- (n+ 1) X τ ) (ただ
elk elk し、 nは 0以上の整数)における位相信号の振幅値を 0 (t— n)、及び、 Θ (t_n+ l) とする。ここで、 1周期未満の遅延時間を τ とすると、 τ が十分に短ければ、時刻 (t
d elk
一(n X τ + τ ) )における位相信号の振幅値は、下記に示す式(1)にて近似する
elk d
ことができる。
[数 1] β t _ η + τά / τΜ ) = θ (i ^ + \) τ, + θ (ί _ ?i) x (l - rd) - , . ( 1 )
[0124] 上記式(1)を実現する遅延調整部 103Bの一構成例を図 8に示す。ここで所定の遅 延調整量を τ ( = η Χ τ + τ )として、基準クロックの η周期分の遅延調整は、第一
elk d
の遅延調整部 103Cにて行い、一般的な遅延回路として、 Z— nと表現した。また、基準 クロック単位未満の遅延調整は、第二の遅延調整部 103Dにて行うものである。
[0125] 以上のように、図 6に示す極座標変調回路において、図 8のように遅延調整部 103 Bを構成するとともに、図 5に示すようなステップ応答特性をもとに、振幅信号、あるい は、送信レベル情報 S1に応じた n及び τ を遅延量判断部 102にテーブルデータと
d
して格納し、振幅信号の振幅に応じて、位相信号の遅延量を調整することで、従来 技術のような電力増幅部 105の出力信号を分岐し、フィードバックする系を用いること なぐ位相信号と振幅信号の経路間遅延差を精度よく補償することが可能となる。
[0126] なお、本発明の第 4の実施形態では、隣接する 2つの時刻の信号振幅から、線形 補間にて所望の信号振幅を求める方法を示したが、 3以上の時刻の信号振幅を用い て、各信号振幅に対する重み付けを実施した上で加算すること、信号変化に対する 正負を考慮することで、近似精度を向上可能である。
[0127] (第 5の実施形態)
本発明の第 5の実施形態は、乗算回路により構成される位相調整部にて、本発明 の第 1の実施形態における遅延調整部と等価な作用を得る回路構成を説明するもの であり、本発明の第 1の実施形態に比べ、さらに回路規模を低減できる回路構成に ついて説明する。
[0128] 図 9は、本発明の第 5の実施形態における極座標変調回路の概略構成を示す図で ある。図 9に示すように、この極座標変調回路は、電力増幅部 105と、極座標変換部 106と、振幅情報補正部 107及び振幅変調部 108を有する振幅コントローラ部 109 と、位相情報補正部 110及び位相変調部 111を有する位相変調信号発生器 112と 、メモリ 101と、位相調整量判断部 601と、位相調整部 602とを備える。また、図 1の 極座標変調回路において、遅延調整部 103を削除し、遅延量判断部 102の代わり
に位相調整量判断部 601が、遅延調整部 104の代わりに位相調整部 602が、それ ぞれ設けられている。本発明の第 1の実施形態における図 1の極座標変調回路と重 複する部分については、同一の符号を付す。
[0129] 送信レベル情報 S1は、本発明の極座標変調回路を送信装置に用いた場合に、図 示しな 、制御部より出力される電力増幅部 105の送信レベル情報であり、メモリ 101 及び位相調整量判断部 601に入力される。
[0130] 位相調整量判断部 601は、極座標変換部 106より出力された振幅信号!: (t)の振幅 値と送信レベル情報 S1から、振幅信号 r (t)と位相信号 Θとの間の同期ズレを算出し 、同期ズレを補正するのと等価になる位相調整量情報を位相調整部 602に出力する 。この位相調整量判断部 601の詳細な動作は後述する。
[0131] 位相調整部 602は、位相調整量判断部 601より送信された位相調整量情報をもと に、メモリ 101より出力される位相補正信号 Tcomp (t)に対して、所定の位相調整を 行い、位相補正信号 Tcomp2 (t)を生成して、位相情報補正部 110に出力する。こ の位相調整部 602の詳細な動作は後述する。なお、図 9における他の構成要件につ いては、図 1における動作、作用と同様であり、説明を省略する。
[0132] 次に、位相調整量判断部 601と位相調整部 602の動作を詳述する。ここで、動作 説明に先立ち、同期ズレの補正と位相調整が等価となることを説明する。図 10は、補 償用の AM— PM特性を示す。図 10において、横軸は制御電圧 (x)、縦軸は通過位 相回転量 (y)を示す。
[0133] 図 10において実線で示す AM— PM特性 A701は、ネットワークアナライザ等を用 いて、制御電圧毎に電力増幅部 105の入力信号と出力信号との位相関係を求め、 グラフ化したものであり、図 2における AM— PM特性と同一のものである。また、点線 で示す AM— PM特性 B702は、実際の極座標変調回路において予想される電力増 幅部 105の入力信号と出力信号との位相関係を示している。
[0134] このような測定においては、入力信号と出力信号間の相対関係を求めているため、 例えば、図 4におけるベース コレクタ間の空乏層容量 405の影響のうち、入力信号 と出力信号との関係に作用するものに関しては、測定データに現れる。すなわち、制 御電圧が低い領域では、ベース コレクタ間の空乏層容量 405が増大し、電力増幅
部 105の出力端には、電力増幅部 105において増幅される成分以外に、増大する ベース コレクタ間の空乏層容量 405を介して入力部から出力部に漏洩する成分が 増え、通過位相特性が変化する。
[0135] 一方、本発明の第 1の実施形態において説明したように、ベース コレクタ間の空 乏層容量 405の影響のうち、振幅信号と位相信号との間に関係する影響、電力増幅 部 105で表現すると、入力信号と制御電圧との間の関係に作用するものに関しては 、測定データには現れてこない。よって、 AM— PM特性A701をそのまま用ぃょぅと すると、ベース—コレクタ間の空乏層容量 405の影響を排除するために、本発明の 第 1の実施形態に示すような同期調整技術が必須となる。
[0136] 本発明の第 5の実施形態では、同期を調整することを、位相を調整することに置き 換えること、すなわち、制御電圧を低減する領域では、ベース コレクタ間の空乏層 容量 405の影響で、振幅信号に対して位相信号が遅れることに着目した。
[0137] 具体的には、図 10の実線で示す AM— PM特性 A701と比べ、同図の点線に示す ような AM— PM特性 B702を補償データとする。すなわち、 AM— PM特性A701が 式(2)の関数にて表現できる場合に、制御電圧の低い領域ほど、ベース—コレクタ間 の空乏層容量 405が増大して、振幅信号に対して位相信号が遅れることを考慮し、 AM— PM特性 B702として式(3)に示す関数を位相調整量として与える。ここで、式 (3)における RF_freqは、電力増幅部 105の高周波信号入力端子への入力信号の 周波数を示し、ベース コレクタ間の空乏層容量 405の変化と振幅信号と位相信号 との周波数差に起因して、振幅信号と位相信号との間の同期がズレることを考慮して いる。
[数 2] = /i · · · ( 2 )
[数 3] y = Mx) f2 (x, RF_ freq) * · · ( 3 )
[0138] 図 9は、上述の同期調整を、位相調整に置換する構成を示す。すなわち、振幅信
号 r (t)と送信レベル情報 SIと既知の AM— AM特性とより、振幅信号に対する式 (3 )中の f2 (x、 RFjreq)にて示す位相調整量を求めておき、位相調整量判断部 601 に、振幅信号に対するテーブルデータとして格納し、振幅信号 r (t)を参照信号として 、位相調整量情報を位相調整部 602に出力する。
[0139] 位相調整部 602では、位相調整量判断部 601より送信されてきた位相調整量情報 をもとに、メモリ 101より出力される位相補正信号 Tcomp (t)に対して、位相調整量 (f 2 (x、 RFjreq) )を乗算して、 Tcomp2 (t)を生成し、位相情報補正部 110へと出力 する。
[0140] 以上説明してきたように、本発明の第 5の実施形態では、同期調整と位相調整とを 等価なものとして扱えるようにすることで、回路規模の大きい遅延調整部を、回路規 模の小さい乗算回路により構成される位相調整部に変更するとともに、従来技術で は解決できな力 た信号変化点以外に、位相変調信号と振幅変調信号との合成時 における同期外れの対応を、電力増幅部 105の出力信号をフィードバックする系を 用いることなく行うことができる。
[0141] なお、ベースバンド周波数に応じて、位相調整量が変化するため、ベースバンド信 号帯域幅に対応した遅延量のテーブルデータを用意し、図示しな 、送信装置の制 御部より送信されるベースバンド帯域幅と等価となるシステム情報をもとに遅延量を 調整することで、より高精度に同期を確保することができることは言うまでもない。
[0142] また、位相調整部 602での乗算処理を、メモリ 101に格納する AM— PMデータに 対して、あらかじめ実施しておいても同様な効果を実現できるとともに、回路規模をさ らに低減できることは言うまでもない。
[0143] さらに、本発明の第 1の実施形態と第 5の実施形態を組み合わせることで、さらに正 確な同期確保を実現できることは言うまでもない。
[0144] なお、上記実施の形態に記載の極座標変調回路は、メモリ部 101から振幅信号の 振幅値に応じた振幅補正信号及び位相補正信号を出力することで、電力増幅部 10 5における歪補償を行う構成を示したが、メモリ部 101、振幅情報補正部 107、位相 情報補正部 110、遅延調整部 104を省略することで、同期確保のみを目的とする極 座標変調回路も構成することができる。
[0145] なお、上記実施の形態に記載の極座標変調回路は、シリコン基板上に生成するこ とで、集積回路として構成することができる。
[0146] また、上記実施の形態に記載した極座標変調回路は、任意の IQ信号を生成する 信号発生器からの IQ信号を極座標変換部に入力し、電力増幅部 105の出力をアン テナに接続することで、送信装置として、構成することも可能である。
[0147] 本発明を詳細にまた特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の精神と範囲 を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明ら かである。
本出願は、 2005年 4月 28日出願の日本特許出願(特願 2005-131998)、 2006年 4月 1 9日出願の日本特許出願 (特願 2006-116185)に基づくものであり、その内容はここに 参照として取り込まれる。
産業上の利用可能性
[0148] 本発明の極座標変調回路は、極座標変調方式において、回路規模の増大を抑制 しながら、位相信号と振幅信号の経路間遅延差を補償することが可能な効果を有し、 同期調整方法、無線送信装置等に有用である。